紙の本
世界経済はわからないけれど、読み物としてはおもしろい
2006/08/25 14:00
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
食が世界を動かす。ありますよね。
アヘン戦争は、イギリスが欲しがった中国のお茶が原因と思っているので、本書にも興味をもちました。
お茶だけではなく、陶磁器、綿織物、絹織物など、イギリスが欲しいものは中国にたくさんありました。イギリスはそのため、銀がどんどん中国に流出してしまいました。中国に「なにかイギリスのものを買え」と言っても当時、とても豊かだった中国にはイギリスに欲しいものなどありませんでした。そこで、イギリスは植民地のインドで栽培させたアヘンを持ち込みました。
アヘン中毒にかかった中国は、その銀でアヘンを輸入し始めます。中国は銀本位制だったため、国が傾いていきます。さらに国民のアヘン中毒は蔓延していきます。
やがて1840年、アヘン戦争が起こります。この戦争に負け、中国は香港を100年間、イギリスに割譲しました。
本書もそのように、経済と食を連動させた読み物。「世界経済がわかる」まではいきませんが、鏡のように映しあう経済と食の流れは読み物としてはおもしろい。
大航海時代、スパイスを求めたヨーロッパ人。ファーストフードとアメリカ型工業にまねた農業システム。フランスの食による世界戦略など、
ただ結論はあいまい。いま、経済のパラダイムシフトが起こり、同時に食にも起きている。つまり、アメリカ型工業から、アジア型食文化へ。
健康志向で、欧米を始め、日本食が世界的なブームになりつつあります。そのなかで、日本がどのように経済的な意味合いを持つのか。そこが描かれていません。日本食を外交手段にしか用いる提案に留まります。
そのところを示して欲しかったな。
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食べ物こそ文化であり、国家戦略とは切り離せない。時には国が発展するか衰退するかをも左右する。「食」という観点から世界の歴史を見るとそれが実によくわかる。
製造業の危機に対してアメリカは、資本主義のシステムやルールを自国に有利な方向に変更し、モノづくりでは劣勢になっても金融の力で利益が上がるようにするという思い切った産業構造の転換を図っているという指摘は説得力がある。見ようによっては文化なき国の経済侵略とも言えるのではないだろうか。
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この本を読むと食に対する認識を新たにする。歴史観も変わる。よって既成概念が変わる。
ヨーロッパのほうが食文化では進んでいるような印象を受けるが、実は全く正反対。中国や日本などアジアの食べものはすごいです。とにかく和食を食べたくなる。
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プランテーションした方が勝ち。しかし、人間は食べないと生きてゆけないから、経済の中心ではないだろうか。食料の余りから、ブラックマンデーになったとういうのは初めて知った。
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食が世界を動かす。食=人間の欲。欲が世界を動かす訳で。それが、最後に戦争に導く。経済の戦争である外為の専門家が食の世界から世界経済を論じるもの当然か。
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フランスの大統領が
「食べ物のまずい国は信用しない」
とイギリス首相にいったエピソードからはじまる食事文化比較論。
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榊原英資氏の本。2006年。世界の食文化から経済を観察する内容。フランスや日本は食事を文化として捉え、アメリカやイギリスなどは食を資源として捉えており、ハンバーガーやコーラが庶民の口の中は入っていることを思考として危険であると解説する。一流フランス料理を食べているときに、ウェイターにコーラを注文する外交官もいたらしく、欧米人の職のセンスを疑うが、当人たちにとっては至って自然なこと。ハンバーガーも同じ味で安価に提供されているのは多くの人にとってうれしいことだが、そもそも食事は車などと異なり大量生産には適していない。したがって、不健康な食材を人工的な調味料で加工して世界中に提供されるのは当然であり、口にする人の健康にも決して良いとはいえない。人口増加の懸念から、多くの食が必要になる。そのときに、資源としてではなく文化として食を確保できるか不安なところ。氏は国内の農業政策にも力をいれており、今後の日本食と政府の動きに期待する。
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世界の食には大きく2つの潮流がある。(1)食=資源…イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、キーワード:ファーストフード、貧しい食文化、金融業、システマティック、効率主義、グローバリゼーション、アングロサクソン、(2)食=文化…中国、日本、フランス、イタリア、スペイン、アルゼンチン、キーワード…スローフード、豊かな食文化、製造業、手工芸的、品質主義、ローカリゼーション。世界の食がリ・オリエント(東洋回帰)になり、日本食文化の輸出がされる中で日本料理的な価値観、非効率な中から得られる豊かさ、多様性を認める教育が必要だとする。ポルトガル、スペインが植民地経営に失敗した収奪型、単一商品作物型で自立経済の育成に失敗したのに対し、イギリスはプランテーションを中心とする形で経済を自立させた。1930年代までは主要産業は農業だった、(世界恐慌も農産品の価格下落が原因)、フランス料理が確立したのは17世紀、イタリア・メディチ家からの婚姻がキッカケ(ナイフとフォーク)で、その後革命を経て、庶民に伝播し、19世紀に現代の形式になった(=レストランも登場)のに対し、中国は紀元前5世紀頃(孔子の時代)からレストランがあり、食は何でも食べるをスタンスに、商人に基づく豊かな食文化を築いていた。日本は中国の影響を受けつつも、仏教、禅の要素を織り込み、繊細な食文化を仕上げた。19世紀江戸には6000もの外食産業があった。「農業が豊かでなければ近代化できない。工業化のベースに農業革命があり、農業の生産性の増大がある」という言葉があるが、食の豊かさ(文化的な面と量的な面)の維持が求められると感じた。
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大恐慌 第一次世界大戦でヨーロッパの農業生産が低下 新大陸からの農業輸出が盛んになりバブル 戦争が終了すると新大陸で農産物の在庫が積み上がり価格暴落 株価暴落の背景は、農産物価格から国よっておかしくなった中南米経済 中世の時代にギリシャローマの文明を継いでいたのはヨーロッパでなくイスラム骨化 ジャガイモ 日本へはオランダ人が伝えた。オランダはジャカルタを本拠地としていた。ジャカルタからきたいもだからじゃがいも。 かぼちゃはポルトガル人がつたえたが、カンボジアを本拠地としていたのでカンボジアが転じてかぼちゃ 孫文 「西洋は覇道、東洋は王道、日本はどちらの道をえらぶか?」 西洋列強のように力ずくで他者を支配するのは覇道であり、東洋の価値観は仁義に基づく王道である。
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2010.4.28
榊原さんの本。食から経済を見る。
食を資源と見るアングロ・サクソン、食を文化だと見るアジア・ヨーロッパ。
工業化の前提は農業生産性の上昇。イギリス・フランスの場合は、植民
地におけるプランテーション栽培。
21世紀は食=健康になってくから、医食同源の発想があるアジアが食の中心になっていく。
フランス料理はメディチ家とブルボン家の政略結婚から生まれたこととか、トマト・トウガラシはアメリカ大陸が原産だとかのエピソードも面白い。
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言わずと知れた榊原氏による、食を通じて世界を語る本。全体の半分が、世界史を食の観点から解説しており、残りが食というものがどういう意味をもつかという視点による文化論といったところである。確かに世界史で習うような、戦争や様々な出来事はその事実は知っていても、背景には食にまつわる因果が隠されていることに気がつく。人間が生きていくうえで欠かせない食が、どのようにして文化として花開き、そのきっかけとなるのは実は、コロンブスのアメリカ大陸発見などの、誰もがしっているような世界を変える出来事であるのである。また、アメリカやイギリス、ドイツなど食文化が乏しいと思われている国は、アングロサクソン系が多く、反対に世界に誇れる食文化を持つ国は、フランス、イタリア、スペインなどのラテン系、および中国、日本などをはじめとするアジア地域である。その根底には、食を単なる栄養接収の手段としてとらえ、効率のような工業的価値観を持ち込むアングロサクソンと、食は、快楽の対象と考える後者の国、地域である対比でもある。本書は経済学などの視点から本格的に切り込んだものではなく、国際経験豊かな榊原氏の視点により分かりやすく書かれている、どちらかというとカジュアルな雑学本であり、。ちなみに、タイトルは世界経済がわかるとあるが、比率的には世界経済に関する部分は少ない。むしろ、世界がわかるのほうが的確ではないかと思う。
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食を『文化』ととるか、『資源』ととるか。
生きていくために必要な『衣食住』
衣・住はなくても場所によってはなんとかやっていけそうな気がする。
しかし、食はそうはいかない。
食べることはすなわち生きること。
その『食』にはただ栄養を取り入れるという以外にも文化という側面がある。
『食』という観点から歴史をたどり、現在の食に対する考えを改める一冊。
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著者はしばしばTVで見かけるが、元財務官という大蔵官僚上がりにしては極めて個性的なキャラの立った人物と思えた。
本書もマクロ経済書かと思ったら、趣味(?)の食文化の考察書だった。
リラックスしてうんちくを上から目線で語っているが、イヤミにならないところが面白い。学問的な厳密さはかけらもないがナルホドと思わせる一定の説得力はある。
日本文化の自慢話のように感じられるところも多々あるが、教養書か心地よいエッセイとして軽く読むには良い本であると思った。
2017年11月読了。
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言わずと知れた榊原氏による、食を通じて世界を語る本。全体の半分が、世界史を食の観点から解説しており、残りが食というものがどういう意味をもつかという視点による文化論といったところである。
確かに世界史で習うような、戦争や様々な出来事はその事実は知っていても、背景には食にまつわる因果が隠されていることに気がつく。人間が生きていくうえで欠かせない食が、どのようにして文化として花開き、そのきっかけとなるのは実は、コロンブスのアメリカ大陸発見などの、誰もがしっているような世界を変える出来事であるのである。
また、アメリカやイギリス、ドイツなど食文化が乏しいと思われている国は、アングロサクソン系が多く、反対に世界に誇れる食文化を持つ国は、フランス、イタリア、スペインなどのラテン系、および中国、日本などをはじめとするアジア地域である。その根底には、食を単なる栄養接収の手段としてとらえ、効率のような工業的価値観を持ち込むアングロサクソンと、食は、快楽の対象と考える後者の国、地域である対比でもある。
本書は経済学などの視点から本格的に切り込んだものではなく、国際経験豊かな榊原氏の視点により分かりやすく書かれている、どちらかというとカジュアルな雑学本であり、。
ちなみに、タイトルは世界経済がわかるとあるが、比率的には世界経済に関する部分は少ない。むしろ、世界がわかるのほうが的確ではないかと思う。
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アングロサクソンと、それ以外の国の人で食の考え方が違う。
なるほど。
アングロサクソンであるアメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダの人は食文化がなく、フランス、スペイン、中国、日本などは食文化がある。