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奈良の大仏を作る話な上にこの表紙、受けるイメージはかなり渋めなのだけれど、おもしろい。意外に読みやすい。「仏像」を全く違う視点から見るきっかけを与えてくれるような逸品です。
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やっぱり帚木蓬生は面白い。固そうでそうでもなく、かと言って緩すぎず。文章に適度な重みがあっていい。
広国が死んだ辺りまでは、国人が課役から逃げ出していく話になるのかなぁ、と思いながら読んでいたんだけど、段々に国人は仏の教えに染まっていって、なんだか複雑。ただ、彼が信じているのは、ある意味、治世に利用されている仏教ではなく、本当に日本に伝わってきた仏典の中の仏教で、そこには私自身も共鳴できるものが多いとも思った。今、私の身近にある、世俗化した仏教ではなくて、日本に入ってきたばかりの仏教。涼やかな感じがする。
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天平時代を生きた人達の物語。当時の社会状況が、ことこまかに描かれている。現代ではもう見られなくなった、さまざまな職種の人達も登場。渡来人、百済人もよく描かれている。船や橋、建物などの記述も鮮やかでとてもよい。当時の食文化も読み応えがあった。鮨などにいたっては、当時から1200年以上の時を経て、やっと世界中で食べられるようになったのであるから、釈迦の真の教えが世界にあまねく広まるのは、まだまだ先のことであろう。金曜の夜に馬鹿騒ぎをし、ジーンズを履いて犬を散歩させ、大型スクリーンを眺めて暇を潰し、果てには飲酒運転で暴走してしまう、至極退屈な現代の日本人達と、当時を必死で生きた天平人、どちらが幸せな日本の姿であったであろうか。といっても、日本人の行動が世界中から注目されているのは事実であろう。きのう乗ったルーズベルト島とマンハッタン島を結ぶケーブルカーの中でおもしろい会話を聞いた。「俺は、朝6時に起きて毎朝運動をしている。おまえはロシア時代に軍隊を経験しているから、朝、運動をしているのか?」「ああ、ストレッチをしている。」「日本人も朝、運動をしているそうだな。」云々。皆、鮨を食べて運動をして長生きしたいのでせうか。
下巻の詩句に
宴安消霊根
酖毒可不恪
無以肉食資
取笑葵與藿
というのがあった。大日如来も現代日本人には苦笑いであろうか。
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今ここで生きてることにありがとう!!と言う気分が無性にこみ上げるハナシでした(シラフで)。ラストの漢詩がもうね…
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奈良時代。
銅を題材にした、さまざまな者や物と出会うドラマ。
冷静な文章で書かれてある。
生きるとは何か、考えさせられる物語。
2008年05月04日読了。
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若い頃「師」と呼べるような人と出会えることは本当に幸せなことだと思う。
この物語に出てくる主人公「国人」もそのような出会いを経て次第に成長していく。
時には死者もでる程過酷な大仏建立の課役を務めつつ、様々な人との出会い、別れを乗り越えて「自分の仏」=アイデンティティを確立していく主人公の様子を、徐々に出来ていく大仏と平行させて描いている。
「国人」が次第に魅力的な人間に成長していく過程を「景信」をはじめ様々な個性あふれる登場人物や、大仏建立作業はもちろん、その他にも当時の都の様子、食べ物等の細かい風俗描写を織り交ぜて描いており、全く飽きずに読み進めることができた。そして最後には本当にさわやかな気持ちにさせてくれた。ちょっと悲しかったけどね。
飽食の今、なんでも手に入る今、この本に出てくる数々の質素な食事のなんと旨そうなことか。1冊の詩集からでもなんといろんなことが学べるか。
今の僕より国人の方が豊かな心のような気がする。精進精進。。。
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まぁ、読みづらい。久しぶりに読み通すのがつらかった。でもこれを読んだときに、ちょうどNHKで大仏を再現するというスペシャルをやっていて、おかげでその番組を興味深く見ることができた。
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借本。
著者の本はこれが初めて。
仏像の造り方に携わる人の話が読みたくて。
久々にいい本にめぐりあえた。
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ならの大仏建立の物語です。
銅を作り上げるまで。
銅を流し込んで大仏にするまで。
その過程を体験する一人の若者が苦役に耐えて成長する姿を描いています。
人生でほんとうに大事なものは何か。
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奈良旅行をきっかけに読み始めました。
この時代を描いた小説は珍しいのではないでしょうか…。
国人という青年を通して見た都、人間、そして仏の教え。
まっすぐで、一生懸命な国人は周囲の人をも優しくする。
彼のその生き方は、多くの人を揺り動かす。
厳しい生活や苦役の中でも、この話が苦しくなりすぎないのはそんな人の優しさを見ることができるからかもしれない。
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苛酷な労働に耐え、都に献上する銅を作る国人が、大仏造営の命を受け、奈良へ旅立つまで。
素直で、ひたむきな主人公と仲間と師匠と、ちょっと気になる娘も・・・と、ベタな展開ではあるんだけれど、素直にいいなぁと思えるお話。
下巻でも頑張ってね、と思わず応援したくなる。
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奈良の大仏を作った人たちの話。
奈良の大仏の銅は長門からはるばる掘り出されて運ばれてきた。
それだけでもすごい物語だ。
掘り出された銅は船に載せられ、その船は人の力で漕ぐ。
そして集められた大量の銅をまた溶かす。
課役という半強制労働で各地から何万という人が集められ
大仏作りに加わった。
現代に例えたらどんな感じだろうか。
各地区で10人が徴兵され、連絡の一切取れない辺境に行かされて、
任期は3年なのか、5年なのか、
それともそこで死ぬことになるのか、それすらわからない。
言葉だって、今で考えたら外国語なみに通じないのではないか。
今、歩いて行くことは到底できないから、
せめて鈍行に乗って、奈良の大仏に会いに行きたくなる。
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私は先に「水神」の方を読んでしまったが、この「国銅」があって「水神」がある、そんなことが自ずと頓悟された。
非常によくできた二昔前ぐらいの連続テレビドラマを観ているかのようだ。
主人公の国人が絵に描いたような善人の模範で、周りの人々や環境にも異様なほど恵まれる、などといったフィクションならではの好都合も随所に見られるが、本作全体を貫き通す真っ直ぐな流れは揺らぐことなく、読者の真情に迫る。
物語の中には、謎もどんでん返しもトリックも出てはこないが、“生きる”とはどういうことなのか、そんな命題に真っ向から取り組み、そのプロセスを経て得られた著者なりの答えが示されている。
「水神」同様、作中に出てくるなんでもない食べ物の数々や、また医師ならではの見地から描かれた疾病の表現などが印象に残る。
大仏建立の具体的な方法についても、ここまでよく調べられたものだと感服する。
奈良登りの掘り口や釜屋、吹屋もそうだが、登場人物たちが働いている現場の暑さ寒さまで伝わってくるような臨場感だ。
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奈良の大仏を作るための銅をつくる人足が主人公。
その後、奈良で実際に大仏造営にもたずさわる。
1000年
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よくもまあこんなに幅広くジャンルを拡げて小説をまとめられるものだ!
筆を持つほどに自ずと文章が溢れ出るのであろう。