- 現在お取り扱いが
できません - ほしい本に追加する
- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
紙の本
「星の王子さま」を好きだと言うのは、少しばかり勇気がいる。特に大人になってしまうと。
2006/12/17 23:53
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:栗太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「星の王子さま」は不思議な本だ。
甘くお洒落な童話、大人の為の寓話、人が生きていくことについての示唆に満ちた、美しい詩のような物語。様々な解釈をされ、様々な言語に訳され、様々な読まれ方をされてきた世紀のベストセラーは、世界中で聖書の次によく読まれている作品らしい。これには、誰もがちょっと驚くと思う。もっと偉大な文学はあるだろう、もっと売れた本はあるだろう、と。実は私も、そう思う一人だ。世界で二番目に多くの人に読まれているというほどの力が、この小さな物語のどこにあるのだろう。
そんな謎めいた部分も作品の魅力の一つなのか、2006年は、まさに百花繚乱、様々な解釈による王子様が書店に並んだ。色々と手にとって感じるものは、翻訳の妙であり、日本語の豊かさであると共に、本を造る人びとの姿だった。訳文は元より、装丁から挿絵、文章のレイアウトまで原典に忠実であることを第一にした本、豊富な注釈をつけ原典の解説書としての機能を持たせようとした本、もっと身近な一冊にするべく普及版として出版されたもの、それぞれの本の向こうに作り手の存在を感じることができて、ついあれやこれやと見比べてしまった。
新潮社から出た「星の王子さま」は、そんな中で「もっと気軽にこの本を読んでみよう」という心根に満ちた作りになっている。コンパクトな文庫本で、値段も476円(税別)というお手ごろさ。でも表紙や中身には他の文庫本たちよりもちょいと良い紙を使って、挿絵もカラーと、ほんの少し贅沢な作り。
実のところ、大人になってから「星の王子さま」を手に取るのは、少しばかり覚悟がいることなのだ。ましてこれまで読んだことがない人だと、「今更こんなピュアな話……」と言った照れもあるし、「もし感動しなかったら、私は冷たい人間なのかも……」と言った恐れもあるだろう。
余計なことを考えず、もっと肩の力を抜いて読んでみようよ。その結果、人生の宝となる一冊に巡りあえるかもしれないし、全然面白くないと思うならそう思う自分を大事にすれば良いだけのこと。もうすぐクリスマス、自分自身への贈り物としても、家族や友人への気の張らない贈り物としても、嬉しい一冊だと思う。
河野万里子氏の訳は、優しい素直な日本語でありながらベタベタしたところはなく私はとても好きだが、人の好みはそれぞれなので訳が最高と薦めることはできないが、実は縦書きの「星の王子さま」は新鮮だ。
そして敢えてこの題名を選んだ訳者の想いを感じとる。それは確かに原題に忠実な訳ではないかもしれないが、サン=テグジュペリが「Le Petit Prince」という言葉に込めたものを、とても良く表していると思う。無数の星の中で、王子様が帰っていた星だけが、僕の中で特別な輝きを持つ意味が心に染み入ってくる。
紙の本
作者は星になった。
2008/06/17 22:30
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る
星の王子さま サン・テグジュペリ 新潮文庫
著者の経歴に魅力を感じる。フランス貴族として生まれ、パイロットとなり、1944年離陸後帰還せず。この物語の内容にその事実がそのままあてはまる。前半は読みにくい。何が書いてあるのかわからない。いつの時代でも、国籍がどこでも人間が思うことは同じ、そのようなことが書かれていると思う。
王子のモデルは知的障害のこどものようだ。だんだん読むことが苦痛になってくる。大人と子どもとを比較して矛盾点の争いをしている。たとえ話の主題がわからない。大人=欲、こども=無欲か。無数の星は個人ひとりひとりで、大人は数字を追求する。しかし、どの人も孤独だ。
キツネをなつかせるあたりから物語は柔らかく、わかりやすくなってくる。無数の星の中の1個の星にこだわりだす。スピードを求める大人への批判だが、パイロットである著者の職業とは相反する。誠実であることはお馬鹿なことか。そのお馬鹿が王子であり著者であるのか。著者は人間の「行為」に「意味」を求めてくる。最後は日本民話「鶴の恩返し」を読み終えたような感覚でした。
紙の本
幅広い世代の心にしみる本
2020/05/10 19:20
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:makiko - この投稿者のレビュー一覧を見る
恥ずかしながら初めて読みました。平易な文章とほんわかした絵で、すぐ読み終わりますが、たぶん込められている意味は深いのだと思います。子どもでも読めるけど、大人になって読んだら自らの来し方と照らし合わせて一層深く味わえると思います。
紙の本
深かったなぁ
2019/07/28 12:08
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:般若泡とネクトル - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み終わってからから一月ぐらい経ったかな。見えない何かって何なのか。それを多面的に描いてたね。特にあるひとつの大きなテーマについては、「日の名残り」と対偶的に同じ事を描いていたよ。おそらくそれが著者が生きた最後の場所を決めた事にもなっているんだけどね。
この本には一人にとってもみんなにとっても大切な何かをその時々で感じ取って大事にしなきゃねって言っている深いメッセージがこもっているね。