紙の本
或る脳科学者の研究前文
2007/06/23 22:47
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゆきはじめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
TVのバラエティー番組でお馴染みになった人物による、シリアスな書名に興味を惹かれて読んでみました。今をときめく脳科学者が、私のような一般人の間で有名になる前に書いたものを、画面を通した著者の姿を先入観にしながら、彼の頭の中を覗いてみたいと思ったのかも知れません。
読んでみると研究論文の前文を私小説的に、且つ科学者らしく淡々と綴っているように感じました。始まりは回想を主体として具体的に、進むにつれて段々と抽象的、観念的な記述が増えてゆきます。昼間に読むには深すぎて、また、まとまった時間も取れず、読み始めの勢いで3分の1を一気に読んだ後は、毎晩、眠りにつく前に少しずつ気の向くまま、読み終えるまでに2週間かかりました。その間、この世の客観を再認識させられて怖くなる瞬間もありましたが、本を閉じた後は概ね寝つきが良く、すっきりと睡眠をとることができたのは不思議です。
脳科学者はそれを解明しようとしている訳ですね。
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非常に哲学的。答えを提示しているわけではなく、ゆっくりと考えさせる仕掛けになっています。
しかし、私にはこの本はあわないようで、どうも頭の中に入ってきません。
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茂木氏はいわゆる学者の言葉を使わずに、分かりやすくストレートに語りかけてきます。と思って、「クオリア」について知りたくて数々の作品を眺めてみたのですが、なかなか難しい。その中でも読みやすい本です。
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科学とクオリア。そのふたつの矛盾するようなことをとっても論理的に、そしてきっちり考える茂木さんの姿勢に惹かれます。
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脳科学者茂木さんが33歳のときのエッセイ。あとがきによると本当は臨死体験についての考察になるはずだったそうですが、書いている間に茂木さんのこの世界に持っている興味、人が自分、他人、世の中などこの世のすべてを認識する<窓>である脳に興味をもったのがそもそもどういうところから出発しているのか、興味の方向性がどうしてこういう切り口なのか、その原体験みたいなものが垣間見れてとても面白かったです。読んでいて、例えるならば毛穴から文章の意味がするするっと入ってくるような、そんなような気持の良い感じで読みました。
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30代過ぎの頃にかかれた茂木さんのエッセイ。
この年齢というのは少々感傷的になったりするものなのか?
現在のTVでみる茂木さんとは違うイメージです。
この本のなかで印象的だったのは、茂木さんの友人がいった言葉
「この世界は、死んでいった可能性で満ちあふれている」
もしあの時こうしていたら、違う人生だったかもしれないと誰もが
一度ならず何度も思うかもしれない。
けれど、ある選択をした時点で他の選択肢は消え、あったかもしれない可能性も消える。
人生は未来にない、今生きている事がすべてと感じさせられる言葉だと思う。
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2011.02.22
とても興味深くするすると読めた。
感想を書くのが難しい。
星を付けるのも難しい。なので、評価しない、で。
内容も難しい部分が多かった。書かれている意味自体はわかるものの、自分の中にうまく入ってこない。すとん、と落ちないのだ。
私には早かったのだろうか・・・とふと思ったが、この年で早いも遅いもなかろう。
「体外離脱体験」はしたことがないものの、「覚醒夢」は何度か見たことがある。いや、正確に言えば、あった。
ここ最近は見ていない。
ここに「覚醒夢」を見るためのトレーニングが書かれている。昼間(起きている状態)の自分の存在を揺るがし、怪しいものにする、と書かれている。
そう言えば、以前の自分はそういうことをよく考えていた。
私って一体なんだろう。
私、私、というが、私って。
地球ってなんだろう。
みんな本当にちゃんといるのだろうか。
私がそこから離れた途端、みんな消えていなくなるのでは。
周りのみんなが私と同じように私の見えないところでも、家に帰ってお風呂に入って、ご飯を食べて、歯を磨いて、寝て、遊びに行ったり、本を読んだり、仕事をしたり、勉強をしたりしているのが不思議に思った時があった。
この話をしたら「何か悩みがあるの?」と問われたことがある。
そういうことは小さい子が考えるものだよ、とも言われたことがある。
だけど、少し前の私はそういうことばかりを考えていた。
だから「覚醒夢」をみたのだろうか、とここだけはすとんと腑に落ちた。
この世に存在するもののバランスはとてもすごいと思う。
バランスというか、仕上がり?組成?がとてもよく出来ている、と感じる。
脳科学や化学などをつきつめて勉強したわけではないので、一概に言いきれないが、このよく出来たものたちばかりだからこそ、解明、などは出来ないのではないだろうか、と思った。
しかし、それを解明したいのが人間なのだろう。
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養老さんの本も好きだけど、茂木さんの本もいい。
雑誌CREAの「セレンディピティ」の連載を見て思い出した。
脳の話て幸せになるために必須ではないかと思います。
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筆者が33歳の時のエッセイ。茂木健一郎の本の中では珍しく、少しネガティブな面も書かれている。筆者が何を目指して脳を研究しているのかがよくわかる。個人的にはかなり好きな一冊。
共感することが多かった。
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茂木健一郎の著作を読むと、知的好奇心が刺激されます。
こちらは結構取りとめのない内容にも見えますが、
30代の彼が生きること、死ぬこと、を彼の経験や興味から読み解いたエッセイ。
最初はなかなか入りづらかったけれど、最後の方は思ったより入り込んで読めました。
なんだか目から鱗なコンテンツが満載です。
「生きる」こと、それ自体が究極の目的になるのである。
そう言ってしまえば、そうなんだよね。
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既読。
タイトルに惹かれた。茂木先生の若き日のエッセイ。初々しい筆致にて、茂木先生の出発点が記されている。
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世界は広大だけれど、全ては頭蓋骨の中の脳で起こってることなのよねぇ。。。
いま読んでいるところです。
おもしろいです。
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人生というものは、すべて、脳というわずか1㎏の臓器の中でしか存在しないという。それでは、夢や幻想と現実の区別はどのようにされているのか。宗教や臨死体験・体外離脱といったオカルトチックな事にソフトな批判を加えながら、人生とは何かを提示しているエッセイ。読みやすく、表現も上手なので、なかなかの一冊だと思う。
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茂木健一郎の生きて死ぬ私を読みました。脳科学の第一人者が書く、脳の生理から展開した人生論でした。茂木健一郎は友人が気に入っている著者なので読んでみました。現在の科学では、人間の生活や感情、そして理性についても全て脳の中のニューロンの働きにより発生するということが常識ですが、それを前提として人間の生き方について考えをめぐらせたエッセイでした。konnokとして一番気に入ったのは、現在の物理学では、空間3次元と時間1次元(これは虚数軸)で全ての事象が固定しているはずなのに、「今」という時刻が刻々と動いていくのはなぜなんだろう、という記述でした。その他に臨死体験に対する考察も面白く読みました。おすすめです。ビートルズのインマイライフが引用されていたのが印象的で、ビートルズを最初から聴きなおしてみようかな、と思ってしまいました。
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特に印象に残ったのは、宗教に関する考察と、言葉の意味とは何か、という疑問について。このふたつの問題は、前者についてはほとんど無意識的に、後者はここ数年において意識的に気になっていたものである。前者については、ここでかなり整然と説明されているように思い、今後の指標としたいと思う。後者については、日本語と外国語との行き来に悩まされている自分にとって、非常に共感のできる部分があった。ある考え方を反映した言語を、別の価値観に基づく言語に翻訳することは、本当に難しい。けれど茂木の考えるように、この世界に流通している言語が一種の暗号のようなものだとしたら、まだ救いがある。なんでも吸収してしまう新生児のような気持ちで世界に接するしかないのだろうか。
湯川秀樹の『旅人』を読んだときにも思ったけれど、科学者の端正な文学的センスは嫉妬せずにはいられない。