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日本の歴史 改版 21 近代国家の出発(中公文庫)

日本の歴史 改版 21 近代国家の出発 みんなのレビュー

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みんなのレビュー3件

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紙の本

啓蒙的?歴史シリーズ

2013/03/31 15:22

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:コーチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る

戦後日本の歴史学は、あらゆる歴史を、虐げられた民衆が時の権力者を倒し、より民主的な制度が徐々に形成される過程として描いてきた。そこでは時の政府は、いつでも悪者で、民衆は善人である。唯物史観にもとづくこのような歴史解釈は、自らの無謬性を誇示し、あらゆる批判を拒絶しつつ、学校教育やマスメディアへと浸透し、そのまま戦後の長きにわたって国民の歴史観を形成してきた。ようやく彼らの独断と偏見に気づき、戦後史観への反省が一般的となったのは最近になってからである。昭和40年に刊行されたこの中公文庫『日本の歴史』全26巻も、そのような歴史観のもとに編集され、国民の啓蒙、いや洗脳に少なからぬ影響をあたえたシリーズといってよいだろう。
 たとえば、明治10年代から日清開戦までを描いた本巻においては、自由民権運動に沸く民衆と、それを抑えて近代的な中央集権国家確立をめざす明治政府の抗争が大きなモチーフとなっている。著者の色川がヒーローとして描くのは、自由民権運動の志士たちである。運動が過激化した結果起こった秩父事件など一連の騒乱については、松方財政による農民への重税と、それに乗じた高利貸しのせいにしている。
 自由民権運動は、真に民衆のための政治を実現することなく中途半端に終わり、国家統一を進め、国民の愛国心を煽る明治政府にうまく利用されたというのが、色川の解釈のようである。だが、私に言わせれば、欧米列強に負けない国づくりをするという至上の急務をつきつけられながら、民権運動の要請を最大限に取り入れ、維新後二十年ほどで憲法制定、国会開設を行った明治政府、特に伊藤博文・山形有朋の実行力にはすさまじいものがある。他の国ならば、おそらく権力者が自分の保身のために独裁化を強め、かえって国力を弱めたであろうところを、日本の指導者は決して自分一個の利益だけを考えて行動はしなかったことを、これは証ししている。
 大日本帝国憲法の制定式についての記述が、本書ではとくに印象的だった。かつて自分の妻を殺した黒田清隆が、総理大臣として天皇から憲法を受け取る。皇后のそばには黒田の新しい「不貞の妻」が控え、欧米からの国賓がそれを好奇の目で見つめている。スキャンダラスな点では伊藤も山形も同じで、彼らの手は血に塗られている。(到幕時代の話だろうか。)彼らの頭の中にはそれぞれの思惑がドロドロと渦巻いていた。悪高官どもによる十分ほどの茶番を記した後に、こう結ぶ。「儀式は始終いかめしく、きらびやかだったが、そこには、フランス大革命によって人民の憲法が獲得されたときのような、こみあげてくる歓喜も、深い劇的感動もなかった。」
 フランス革命では、明治維新とは比べようもないほどのおびただしい血が流された。憲法制定後も政争につぐ政争で、その政治は安定を知らなかった。「こみあげてくる歓喜も、深い劇的感動も」、殺人者の陶酔に似た一時的な気分の高揚にすぎなかったことは明瞭である。それに対して、どんなに小人たちの我欲に満ちていようとも、明治憲法の制定式は、近代日本の成長を示す確実な一歩であった。黒田のような人殺しが総理大臣をやっている事実さえ、明治政府が人材不足の中、いかに国家生き残りのため奮闘したかを物語るものとして、逆に感動的である。その後の歴史を見れば、欽定憲法のもと国民が一致団結して協力をし、日清、日露戦争を通じて大国への道を踏み出してゆく日本と、一時的な歓喜に沸き立ちながらも、革命の残忍さとナポレオンによってずたずたとなったフランスの、どちらの道が賢明であったかなど、今さら言うまでもあるまい。

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2015/04/24 15:28

投稿元:ブクログ

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2017/10/23 01:02

投稿元:ブクログ

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