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本書では明確な目的・戦略を持ち、なおかつ住民も巻き込んだイギリスでの様々なまちづくり関連の取り組みが紹介されていました。
欧州には「Aging is Fun」(歳を取るのは楽しい)という言葉があり、実際に欧州では歳を取るほど幸せだと感じる人が多いという調査結果もあるそうです。
本書では、ショッピングセンターに電動車椅子などを置き、それを使って高齢者や障害者もショッピングを気軽に楽しめるようにしている取り組みも紹介されていました。
今の時代、スマホ一つで日用品も食事も家に届きますが、人との交流がほとんど無い生活になると生きる活力も失われてきそうですし、まちなかでの人の交流が減っていくと、まちの活力も失われてくるでしょう。
日本でも高齢化が益々進むことが目に見えているので、体の機能が低下しても楽しくまちなかに出かけることができるように道路や公共交通や制度を整備していくべきでしょうが、それに力を入れすぎると日本では高齢者優遇の政策だといった批判もありそうなのでさじ加減が難しいなと思います。(実際にはこういったインフラ整備は今若い人も将来的には恩恵を受けることになるんですが)
政府や自治体の力だけでできることは限られているので、全体でビジョンを共有して、私たち自身も関わっていかなければ環境は変わっていかないと思うので、本書はそれを考える一助になるかと思います。
なお、1ページ目から頻繁に出てきた(イギリスでの)ショップモビリティという言葉の説明が41ページ目までなかったので、前半は読みにくさがあったです。日本ではタウンモビリティと言われることが多いようで、検索してもよく意味が分からず厄介でした。