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怪奇小説傑作集 新版 5 ドイツ・ロシア編 みんなのレビュー

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みんなのレビュー4件

みんなの評価4.5

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4 件中 1 件~ 4 件を表示

紙の本

凍る大地から来た妖女その他

2009/04/25 16:49

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る

ドイツ編とロシア編です。ドイツと言えばまずホフマン、「イグナーツ・デンナー」は一人の篤実な狩人が謎の盗賊、その実は魔術使いであるイングナーツ・デンナーに取り憑かれる物語。デンナーの生い立ちや、秘法の根源などが明きらかになるにつれ、その邪悪さや宿命がますます重くのしかかってくる。恐るべき奸知と魔力に、人々は翻弄され、次々に繰り出される悪魔の計略に物語は二転三転する。その中で魔術あるいは錬金術が、単なる驚異や怪奇でなく、使い手と人々の運命を弄ぶという点で悪魔的なものであることが、丹念な人物描写の中から浮き出てくる迫力は並々ならぬ。エーヴェルス「蜘蛛」は、魔に取り憑かれ、破滅していく男を描いているが、早いうちに展開が読めてしまうのだが、そしてたぶん主人公自身もそうでありながら、悲劇へまっしぐらに向かっていく人間心理を止めることがどうしてもできない。舞台(TV画面)に向かって「志村ーっ、後ろーっ」と叫ぶ子供の気持ちそのままのようなドキドキものだ。クライスト「ロカルノの女乞食」は一風変わった幽霊ものだが、劇的な展開がうまい。ケルナー「たてごと」は悲しく美しい愛の物語。
ロシア編は、社会主義リアリズムの時代には黙殺されていた、ロシアの幻想物語を苦労して採集したとのことで(本書は1969年刊)、しかしいずれも迫力ある作品となっている。ゴーゴリ「妖女」は土精と呼ばれる伝承の魔女の恐怖を描いたもので、波のように繰り返して襲いかかる恐怖は、ジェームズ・キャメロンの映画のようでもある。さすが文豪。チェーホフ「黒衣の僧」は、狂気、幻覚とも幻想ともつかない思想に溺れていく男、自己の精神の動きを見つめる主人公の誠実さに打たれる。さすが。A.N.トルストイ(文豪じゃないトルストイ)「カリオストロ」は、かの怪人カリオストロ伯爵がペテルブルグに滞在した帰り道に引き起こす騒動の一つということになるだろうか。カリオストロは死者を蘇らせる秘術を披露するが、物語は混乱していて、恐怖と錯乱、愛と邪悪が錯綜する。それは、カリオストロというストレンジャーを迎え入れた人々が陥る混乱とも言えるだろう。そういう世間から外れた価値観やテクノロジーを持つ、ストレンジャーの存在の発見の物語なのかもしれない。するとアルツィバーシェフ「深夜の幻影」も、超自然的驚異の姿に借りて、新しい観念に対する人間の知力の限界を揶揄しているとも読めなくもない。レミゾフ「犠牲」は寓話的な物語だが、寓話がどこまでも残酷になれることを突き付けるのは、もちろん現実自体の残酷さにも比されるに違いない。
ロシア編への編・訳者原卓也氏による解説が、上に触れたようにまさに悪戦苦闘記とも、民衆の視点での文学状況記とも読めて興味深い。
本書のシリーズは怪奇小説と謳ってはいますが、ホラー小説と呼ばれる色彩よりは、幻想文学という範疇の怪奇寄りのものを集めたという印象で、お化け屋敷系の苦手な人でも読みやすい本です。そして本書に顕著なように、怪奇、恐怖と言うよりは人間の暗黒な面に注目してできた文学シリーズと言えそうです。

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2016/11/03 17:11

投稿元:ブクログ

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2017/02/19 22:26

投稿元:ブクログ

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2023/05/24 01:53

投稿元:ブクログ

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