サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

e-hon連携キャンペーン ~5/31

hontoレビュー

ほしい本の一覧を見る

聖断 昭和天皇と鈴木貫太郎 みんなのレビュー

文庫

予約購入について
  • 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
  • ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
  • ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
  • 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。

みんなのレビュー13件

みんなの評価4.6

評価内訳

  • 星 5 (7件)
  • 星 4 (6件)
  • 星 3 (0件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
13 件中 1 件~ 13 件を表示

紙の本

平成の国難に直面した今こそ、かみしめて読むべき名著

2011/05/24 12:12

18人中、16人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書は「聖断 昭和天皇と鈴木貫太郎」とあるが、正確には海軍大将にして男爵、海軍省事務次官、連合艦隊司令長官、外務大臣、終戦時の内閣総理大臣、そして枢密院議長も務めた鈴木貫太郎の生涯を綴った伝記である。著者の半藤一利氏は終戦の玉音放送吹き込みと放送の前後を綴った『日本のいちばん長い日』の著者としても知られ、なんだか終戦にこぎ着けるドラマの別バージョン(平たく言えば、『日本のいちばん長い日』の二番煎じみたい)に思ってしまう人が多いと思うが(私もそう思って、長らく積読していた)、これは署名の付け方に問題があるのであって、正しくは「日本民族を滅亡の淵から救った海軍大将鈴木貫太郎の生涯」とでもすべき内容のものである。

本書を読んで、鈴木貫太郎という人は、本当に偉い人なんだと心の底から思うと同時に、本書にもふんだんにそこに展示されている鈴木貫太郎海軍大将を描いた油彩画を収蔵している千葉県野田市にある鈴木貫太郎記念館に是非足を運んで、その遺徳を偲びたいという思いを強くした。

それにしてもだ。本書を読んで、日本という国は意志決定が出来ない国、意志決定に困難を来す国なんだなという思いを強くした。日本社会は基本的に民主主義の基本であるはずの多数決原理を認めていない。全員一致、全会一致でないかぎり、物事を決めてはならない構造になっている。マンションの建て替え、土地の立ち退き含め、およそあらゆる私権制限は全会一致が基本であり、ひとりでも反対者がいると、残り全員が我慢を強いられるという不合理な社会である。私は常々この仕組みが嫌いで、「日本社会にかけているのはリーダーシップでは無い。フォロワーシップだ」などと叫んでいたが、まさか日本民族が存亡の淵に立たされた瀬戸際でも、少数の狂信的な連中(宮城事件を起こした少壮軍人、竹下正彦、椎崎二郎、稲葉正夫、井田正孝、畑中健二ら)は終戦を昭和天皇陛下が決意し、軍に銃を置くよう命令したにもかかわらず「万世一系の天皇を戴く君主制こそ日本の国体であり、それを護らねばならぬ」「(昭和天皇は悠久の歴史を誇る我が日本の国体のパーツの一部であり)その天皇の一部にすぎぬ裕仁天皇より、国体が優先する」という訳のわからない言語を並べ立て(彼ら狂信的陸軍軍人にとっては原子力爆弾を何発食らおうと、北海道からロシアが攻め込んできて日本の北半分を占領し日本国土を分割統治しようも)、最後の一兵が玉砕するまで戦い抜くのが「真の天皇」であり、仮に目の前の昭和天皇が、「徹底抗戦を辞めて武器を置け」と命令を下したとしても、それは「本来のあるべき天皇から逸脱した、乱心した天皇であり、そんなものは除去しても構わない」という論理なのだ。もはや気が狂ったとしか思えない。首謀者のひとり、畑中は皇居前で拳銃自殺を遂げたそうだが(当たり前だ)、井田、稲葉は国家反逆罪で銃殺となるべきところ、終戦の混乱の中で罪を問われることも無くのうのうと生き延び、ただただ害悪でしかない言辞を垂れ流して自然死している。こんなバカなことがあっていいのだろうか。

本書を読んでの発見は、最後まで徹底抗戦を主張し、鈴木貫太郎首相のポツダム宣言受諾の方針に反対し続けた阿南惟幾陸軍大臣が実は大変偉い人で、彼がいたからこそ、日本民族は滅亡せず今日の繁栄を享受していられるのだと分かったことだ。阿南は、鈴木貫太郎が侍従長として昭和天皇に仕えた時、同じく侍従武官として昭和天皇に仕えていた。鈴木とは上司と部下の関係であり、共に昭和天皇の信認篤い人徳者だった。阿南の偉さは何か。それは最後まで陸軍大臣を辞任せず、鈴木貫太郎内閣を支え続けたこと、これに尽きる。戦前の内閣制度は悪名高い軍部大臣現役武官制を敷いており、陸海軍の意に沿わないことを時の内閣が行おうとすれば大臣を辞任させ後任を出さないことで内閣を倒し、政治を軍部が壟断することが出来た。昭和20年も4月以降になると、既に陸軍内部では公然と鈴木内閣倒閣の動きが表面化し、阿南陸軍大臣には「早く辞任しろ」と猛烈な圧力がかかった。しかし阿南は頑としてこれを受け入れなかった。最後の最後まで鈴木内閣を支え続け、最後はポツダム宣言受け入れの終戦詔書に副署している(いくら天皇陛下が「聖断」を下しても、これが正式な日本政府の意思となる為には内閣閣僚全員が閣議決定の稟議書に副署しなければならない。この終戦の詔書に阿南惟幾は確かに署名している。直前まで徹底抗戦を主張していたにもかかわらず。つまり阿南にとって、鈴木の意に反し、ポツダム宣言受諾に最後まで反対し最後の一兵まで徹底抗戦を主張したのは、いわば陸軍大臣という立場がとらせた「表の顔」であり、実は彼の真意は、とうの昔に日本の敗北を認め、これ以上の抵抗は無辜の民をいたずらに傷つけるだけの何の益も無い無益な戦いであり、これは直ちにやめねばならないというものだったのである。こうして阿南惟幾は鈴木内閣を最後まで支え通し、その後、有名な「一死を以て大罪を謝し奉る」という有名な遺書を残し、割腹自殺を遂げるのである。その血染めの遺書は、今も靖国神社付属の軍事博物館遊就館に現物が展示されている。この遺書には同時に「神州不滅を確信しつつ」とも書き添えられている。8月15日の午後二時、玉音放送が全国に流された後に鈴木は臨時閣議を招集し、阿南陸相の自刃を閣僚に報告すると同時に、彼が残した辞世の句を披露したという。「大君の深き恵に浴みし身は言い遺こすべき片言もなし」。

我々は有史以来この列島で最高の繁栄を享受している只中にいる。昨今、東北の一部で原子力発電所の事故が起きたことで騒ぎが起きている。これを「国難」などと大仰に騒ぐ輩もいる。しかし、原子力爆弾を二発も暗い、ロシアが公然と満州を蹂躙し北海道にも上陸し、その北半分の割譲を要求し、日本中の主要都市がB29の絨毯爆撃で文字通り焼け野原となった昭和20年当時、78歳の後期高齢者鈴木貫太郎は毅然と国難に立ち向かい、自らの命を気の狂ったテロリストに狙われながらも粛々と為すべきことを為し、日本国と日本民族を滅亡から救った。我々は今こそ、鈴木貫太郎と彼を支えた阿南惟幾の赤誠を見習い、平成に生きる我々を襲った困難に毅然と立ち向かう勇気を奮うべきではないのか。本書を読んで、そう強く感じた。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

「聖断」読んで

2023/04/12 12:22

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:英ちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

太平洋戦争で、日本がボツダム宣言を受け入れるべきか否かで内閣及ぶ軍部で喧々諤々の議論が交わされた様が克明に描かれて、文字通り手に汗にぎる興奮を読者に呼び覚まさますほどの力作です。
 当時の首相鈴木貫太郎の出生から死に至るまでを軸に、ことに昭和天皇の侍従長として仕えた期間、および終戦を受け入れるかの時が詳しく描かれとても読み応えのある作品といえます。大日本帝国憲法下では,天皇が二つの側面すなわち立憲君主としての天皇と統帥君主としての大元帥の役目。その二重性こそが陸軍にうまく利用されたとなっている。いずれにしろ原爆投下とかソ連の参戦を背景に連合国の意見を取り入れ終戦に持ち込むか否かが克明に描かれ、読みごたえがあります。。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

2007/03/31 00:20

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2010/04/12 15:02

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2013/04/11 15:27

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2013/08/28 23:23

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2015/03/18 19:25

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2015/12/18 10:00

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2016/06/11 15:31

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2020/08/30 17:56

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2021/02/13 22:51

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2021/06/28 22:15

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2022/12/17 19:06

投稿元:ブクログ

レビューを見る

13 件中 1 件~ 13 件を表示
×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。