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天帝のはしたなき果実 みんなのレビュー

新書 第35回メフィスト賞 受賞作品

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みんなのレビュー51件

みんなの評価3.5

評価内訳

51 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

圧倒される優雅な「舞台」。絢爛豪華な「本格」世界。

2008/02/28 13:57

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ばー - この投稿者のレビュー一覧を見る

第35回メフィスト賞受賞。

すごいのである。ものすごいんである。

 有栖川有栖が述べているように、今作は、中井英夫の『虚無への供物』の影響が見られる本格推理物。また、「読者への挑戦」に近い、「劇場より」(作者は、この物語を一つの舞台として扱っている)があることからも、有栖川有栖などの本格推理に強い影響を受けていることが分かる。つまり、読者参加型完全本格推理。つまりつまり、私が大好きなフェアプレイ精神溢れる推理物。

 音楽神(ミューズ)を捉まえるために――
 主人公、古野まほろは、県立勁草館高等学校吹奏学部の第一(ファースト)ホルン。全国大会に出場するために、個性豊かな仲間たちと練習にあけくれる毎日。光輝く青春時代の毎日の中、突然行われる殺人という凶行。犯行声明文の中には、彼らの課題曲『天帝のはしたなき果実』に関連する言葉が並ぶ。次々と行われる殺人。学園の七不思議。軍部と警察の暗躍。淡い恋。浪漫的であり、ペダンティック、そして優雅で独特な筆跡(テンポ)で描かれる、青春群像本格ミステリ。

 まず、独特な文章。
様々な雑学、専門知識で埋め尽くされている。それに伴うたくさんのルビ(創作的で面白いのも多い)。しかし、たとえその知識が些細で込み入ったものであろうとも、そこにはこちらを押しつぶすような圧迫感、いやらしさがない。つまり、知識の出し方、書き方が巧い。読み始めは慣れるまで少ししんどいかもしれないが、独特のテンポは、貴族調であり、優雅であり、高等遊民的であり、浮世離れしている。「ふん、なんだよ、お高くとまりやがってさ!」まあ、確かにそう思う人もいるかもしれないが、その超越的な嫌らしさは、思春期というハードルを取っ払っても十分に許容範囲だろう(私だけかなあ)。

 物語自身の内容はどうか。
 登場人物の独特の経歴、性格は、「すわ、これもキャラ小説か!?」うーん、どうだろう。だけどこれだけ(800頁を使って)有効的に消化されて、織り交ぜているのなら、おーるおっけー?後半に向かうにつれて様々な事実が表れてきて、「いや、ちょっとそれは推理というよりエンタメじゃん」と思う「かも」しれないが、本当に自由に生き生きと人物が踊っている。演じている。
 推理は本格物、しかも読者参加型のため、古典的だが面白いトリックが並ぶ。ガジェットは幾度も使われてきた物たちばかりだが、うん、ある意味冒険活劇。トム・ソーヤー?スタンド・バイ・ミー?
 なによりも見物は、種明かしの場面での、「関係者ほぼ全員」での推理披露会。推理に次ぐ推理。否定に次ぐ否定。「これでQEDなのね」いやいや、実はそれも打ち消し。『虚無への供物』はアンチ・ミステリらしいけど、こういう「物語内での推理否定(のようなもの)」がそれへのオマージュなのかな?でもそれは、驚きの真実で覆われるけど。その真実の部分がアンチ・ミステリなのか?どこかで見たことある手法だけどさすがに言えません。

 推理小説にリアルを求める人は嫌うかもしれないが(「こんなのありえないよ。本格の癖に」)(…私自身、本格の定義はおぼろげですが)、「超常、異能、エリートの人間らによる、本格推理」という優雅で雄大な「舞台」。殺人の非人間性がかすんでしまいかねない超越性。青春という舞台装置で描かれる殺人劇。ペダンティック、ペダンティック、ペダンティック。「芸術至上主義者」の私も、さすがにこう思う。

 「舞台で繰り広げられる演劇に目を瞑って応えるのは無作法だろう」

 やられました。超おもしろい。おススメです。

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2007/02/05 19:10

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2007/03/13 20:47

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2008/04/03 22:03

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2008/09/04 03:59

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2009/03/16 23:39

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2009/07/05 14:52

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2010/01/17 11:24

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