紙の本
多愚痴さんの本屋日乗
2006/10/01 16:26
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:栗山光司 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「情事OL・1984年」は知らぬ間に過ぎ去ってしまった。ジョージ・オーエルのおぞましい近未来は未だ到来していないように見える。田口久美子さんはもう35年も一書店員として『1984年』(ハヤカワ文庫)を乗り越えて、21世紀の只今のリアル書店の最前線で頑張っている。とまあ、かようなオヤジ(オバサン)ギャグも本書にときたま登場するが、この「情事OL〜」はお客様からのネタです。メモ用紙にそう書かれて「この本?ありませんか」と問われたのですって(笑)。
田口さんは本の販売だけでなく、リブロ池袋店時代から、著者のサイン会、トークイベントを積極的に仕掛けた人なので、本や、著者にまつわるエピソードを沢山、記憶保存している。トークイベントで聴いた面白い話は、翌日、仲間達に話すことにしているらしい。斎藤孝によれば、声を出して聴かせてあげれば忘れないで長期保存されるらしい。
前作の『書店風雲録』もそうだったが、彼女の語り口は対面で愚痴も多々紛れ込むがサービス精神旺盛な面白噺を拝聴している趣がある。でも、彼女の真骨頂は辛口批評だと思う。『拒否できない日本』(文春新書)がアマゾンで一年以上の品切れ表示になっていたと「アマゾンの販売拒否事件」の項が所載されていたので、今回は怒りモードを強調した出版流通を入り口にコラム時評でも熱く書いているのかと思いきや、もちろんそのような剛速球はメインテーマでなく、オヤジ的にはちょっぴり残念だったけれど、話題はむしろ書店業界内のネタが多く、最終項の「若い書店員へ」という一文につながる。
《気がついたら書店員で、そのままおさまってしまった、という私と違って今回取材させてもらった彼らは第一志望でこの業界に入ってきた、確信犯の書店員なのだ。厳しい出版状況にありながらも、本の話になると目を輝かせながら何時までも話し続けるヤツらなのだ。この連載で彼らの現場の声を読者に届けることが、何ほどかの力になるかもしれない、と実は小さな野望をいだいていた私であった。手と体をいつも動かし続けている地味な職人たち(書店で働く多くの青年たちを象徴させて書いたつもりです)が、これからも伸び伸びと働ける職場であってほしい。それが日本の出版界の元気の素につながると私は信じる。》
ウェブマガジン『ポプラビーチ』に連載されたもので、個々の書店員を念頭に置いて書かれた「書店日記」をテクストに再構成、加筆、訂正されたものです。そういう由来もあってか、前作より、一般の読書人にとって、あまりにもリアル書店内部の業界ネタがありすぎるのではないか、むしろ、読書人を読み手にネット書店とリアル書店を田口さんならではの「書店論めいたもの」で比較批評した一文が読みたかったという密かな望みがありました。
ジュンク堂にしろ、大手のリアル書店はネット販売もやっている。でも、アマゾンにしろ、bk1にしろ、リアル書店はやっていなくて、多分、これからもやらないと思うのですが、にもかかわらず、大手のリアル書店が巨大フロアーの出店をやめてネット書店に100%移行ということは考えられない、本屋さんはやっぱし消えないと思うのです。
何故、消えないのか、斜陽であった映画館がコンプレックス方式で方々に出来はじめた。僕も最近は劇場で映画を見る機会が増えましたね、観客の一員となって映画を見る楽しみは家でDVD鑑賞するのとどこか違う。本屋って冷やかしだって楽しいものです。棚を見るのも、僕も含めたお客様の挙動を見るのも色々と発見があって楽しい。時たま万引きらしい不審人物にも遭遇しますけれど、僕にとって本屋は街であり、公園・遊園地でもあるのです。いくらアマゾンが色々サービス提供しても「街場」を売ることは出来ないのです。
歩行と記憶
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「webマガジン ポプラビーチ」で連載中、毎回欠かさずチェックしてました。色んな客がいるなぁ…と呆れたり、最近の本の分類の難しさなど…。色々と勉強になりました。
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うーん…時々店員のただの愚痴を連ねた感も拭えなかったのですが…
お客さん側からすると情報を(出版社・関連本・正規タイトル)完璧に覚えて来店される方ばかりではないと思うんですけどそれにいちいち文句を言ってもね……
ただお客さんがトイレに籠もって…?!の下りには店側に同情しました。。
多分ジュンク堂や本屋さんにお勤めの方には面白い業界本になるんではないでしょうか?
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書店員さん(店員っていうか副店長だけど)が語る書店の裏側。書店員さんの奮闘ぶり。とても面白いです。店員さんが、どんな熱意で私たちを本まで導いてくれてるかがわかる本です。
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キディランド書籍部→リブロ→ジュンク堂と書籍界を渡り歩いた著者。現在もジュンク堂でカリスマ店員として働いておられる。だからこそ、今実際の書店の内情がわかって面白い。ジュンク堂とリブロ、彼女が見てきた世界の比較など、普段使っている書店のテーマがよくわかった。
売上を考えつつ、でも数少ないニーズにあわせて、専門書も置く。そうなると、冊数が多くなるので、本が見つけにくい。
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以前週間ブックレビューで著者が出演していたので、気になっていた本。書店員さんの苦労がわかる。書店のトイレにひきこもる女性の話にはびっくり。トイレで弁当食べておいしいのだろうか?(H19.3.17)
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TVでジュンク堂書店の特集をしていて,その中で店員さんの田口さんが出演していたので興味があって池袋のジュンク堂書店で買ってきた.
書店の仕事内容が色々と書いてある.欲しい本があれば,アマゾンで充分だろうが,欲しい情報や知識を知りたい時には実際に本を手にとって読んで見ないと分からない.検索サイトを使ってネットサーフィンをしているみたい.自分の欲しい情報と本の内容がマッチしている検索サイトがあれば図書館を利用する時も便利なはず.
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地方の小さな書店に勤めてた者からすると、「わかるー」と共感する所と、専門的すぎてついていけない天下のジュンク堂の場面があってなかなかおもしろい。
書店に勤めたいと思ってる人にはこの本をぜひ読んでから決めていただきたい。そのくらい書店はシビアなのです。
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ジュンク堂の舞台裏がわかる1冊。実際に書店員をしている田口さんの語り口調で独特なテンポの文章から、リアルに伝わってきますし、本屋さんに行きたくなってきます。本屋業界のことがわかって、どの業界も大変なのだなぁとしみじみしました。
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池袋ジュンク堂の副店長が
書店員としての毎日や思ったこと、書店についてを
書いている本
本屋といえば
私の中ではジュンク堂
それは幼き頃に
父に大阪のジュンク堂は座って本読めるんだよと
言われてからそんなミラクルな本屋あるの!?と
これがきっかけ
実際ほんとに座りながら好きなだけ本が読める
だから私はジュンク堂が昔から大好きなんです
東京の新宿に初出店と聞いた時は本当にうれしかった
今回
この本を読んだことで
ジュンク堂について私が知ってることって少ないんだなと実感。
もちろんジュンク堂のみならず本屋の仕事について
あんまり考えることは今までなかったな
でも確かに
同じ本屋でも
居心地のいい本屋と悪い本屋がある
それは書店員の工夫次第なのかもしれない。
ああ
とりあえず
ジュンク堂に行きたくなる本。
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<内容>本屋さんの棚には、私たちの未来がつまっている-。書店の店頭で日々奮闘する若い書店員たちの「右往左往」を書きとめた一冊。本屋さんの事件簿、大型書店オープンまでの道のりなど、書店の裏話が満載。
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前著も面白かったけど、今回も面白い。ぜひ、読んで欲しい。あのジュンク堂だって注文の取り寄せには苦労しているんだということを知って欲しいし、棚作りに悩んでいることを知って欲しい。もっとも後者については僕等は棚のスペースが少なすぎることに悩み、彼女等は広すぎる棚をどう埋めるかに悩むんだけど。それでも、ジュンク堂の棚の作り方は勉強になった。書籍担当者の皆さんはぜひ読みましょうね、業界で活躍している人、活躍していた人が何人も出てくるし、それだけでも楽しい読み物になっています。
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リブロやジュンク堂をよく知っている人、書籍全般に造詣が深い人には面白い本かもしれないけれど、私のようなごく一般的な本好きには面白いと思える箇所はあまりなかったなぁ。久世番子の『暴れん坊本屋さん』をイメージして読むと、ちょっと期待はずれかも。
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ジュンク堂の書店員、田口久美子氏による連載をまとめたもの、らしいです。
書店からみた本を取り巻く環境のアレコレを書いていますが、本に関してとか、ジュンク堂や大型書店に関して多少の予備知識が必要(それでもわかんないことが多々あった)です。本屋好きには面白いと思います。
実際、本屋大賞の内情だったり、どうして本屋で本を注文するとあんなに遅いのかっていう理由だったりがわかって面白いっちゃ面白いんですが…若い世代に対して、かつ、地方への無理解みたいなものがあって、読んでて気持ちのいいものじゃない時もありました。
話も飛ぶし、6割方「愚痴」になってるところが不愉快。
本人も「多愚痴」っていわれちゃ、かなわないから~みたいな文章書いてましたが、まさに「多愚痴」氏です。
かつ、自分の部下に対して「あなたは恵まれてる。ジュンク堂○○店開店の時はうんたらかんたら」と説教?したりしてる模様。
個人的に、こういう「俺の時代は大変だった」みたいな話大っきらいなので(そのあとに絶対「だからお前らの苦労なんてへの突っ張りにもならない」っていうニュアンスが含まれてるから)この本を評価したくもありませんが、面白いところもあったので、☆2つということで。
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本が好きなら面白いです。
書店業界の裏側がわかりますから。
私も書店勤務にあこがれたこともありましたが、
読むジャンルが限られていますから。
幅広く読まないと難しいですね。
司書の仕事にもあこがれますがそれもね・・・