紙の本
眉唾だよな、でも面白いからいいか、と、論理のアクロバットというよりは、こじつけのような謎解きに思わず次女と、ヨーヤル
2006/10/20 23:24
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
カバーには、表題以外に帯に使われる文句がスマートに処理されてデザイン化されています。それは実物を見てもらうに限るんですが、文字情報だけを拾えば
「御手洗潔、疾はし走る!
中篇2作収録のシリーズ最新作」
「石岡君、象みたいにもたもたするんじゃない、
こうしている間にも、
人の命が失われるかもしれないんだ」
「これは極楽寺坂だ。
鎌倉幕府が開いた切り通しを、
今LPガス車で抜けていく。
この道ができて千年も経つのに、
われわれの移動手段に大差はない。
ぼくにジェット・ヘリを一機くれたら、
日本中から迷宮入りの
事件なんてなくなるのにね!」
これらが、カバー全体を利用して、抜群のセンスでレイアウトされています。そんな装幀は 岡孝治、ちょっとミステリアスなカバー写真はATSU(Art Works/Visual Notes)。
収められている二篇とは
UFO大通り (小説現代二〇〇四年一月増刊号メフィスト):昭和56年、1981年の出来事。鎌倉の極楽寺に住む小平ラクさんというお婆さんが見たUFOと三人の宇宙人、そして37歳になる小寺隆の密室での殺人事件という二つの謎を、鎌倉署刑事課、猪神俊正という、殆ど愚かとしかいいようの無い、現代日本の教育関係のトップによく見るような精神主義的
傘を折る女(小説現代二〇〇六年五月増刊号メフィスト):名古屋市郊外の安西市で、雨の夜、たまたま見かけられた不思議な光景。女性が雨に濡れながら、傘を道路の窪みに横たえて自動車に轢かせようとしていたことと、東名高速で起きたバスジャック事件で母親を殺された功徳院雪子の悲劇
読後感が悪い、っていうのは二篇に共通しています。なんていうか、最も悪いはずの行政、会社、マスコミといったものが、何のお咎めもなしで終わって、犯人だけが逮捕されている。無論、これを読めば、島田が告発しているのは、最後に捕まった犯人ではなくて、原因となった事件を起こした人間であることはわかるんですが、何とも中途半端。
それにしても、こじつけるよなあ、って思います。なんていうか、論理のアクロバット。山田風太郎やチェスタントンのレベルまでは達していないので、何となくユーモラス、で終わっているのが難点ですが、楽しめることは間違いありません。ともかく、この本を読み終わった次女と話したんです、島田さんの頭の中って、ドーナッテンダロウ?って。
でもねえ、巨悪ではなく小悪が蔓延る世の中って、ムシャクシャしますねえ。
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9月5日購入。9月6日読了。大風呂敷もいいけれどこういうちょっと変な出来事から発展していく事件もいいね。だけどやっぱり文章下手になったかも…。
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若い御手洗さんの作品だったので◎。最近落ち着いた作品が多かったから、御手洗&石岡コンビのバタバタ感のあるこの本は面白かったな〜。そして、UFO。
あぁ、こういう風に持ってきたのかと感心。
最近UFO目撃談とか
矢追純一のスペシャルとかって無くなったよね。
結構好きだったから寂しいわ。
なんでなくなったのかなぁ。表題作より、「傘を折る女」のほうが作り的に面白かったデス。大体オチがわかってしまったけどね。女の闘いは怖いね…。御手洗シリーズを中編で読むのってなかなか新鮮で私はこれからも書いて欲しいなぁと思いました。
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巻頭に、「故鮎川哲也先生に─」とあるが、これの意味がよくわからない。鮎川作品を意識した内容なのだろうか。なんとなく通じるものはあるが、本家に比べて淡白すぎるのが嫌でも目立つ。御手洗のイメージも微妙に違う。変人さは微塵もなく、至極まともな人種として描かれている──こんなキャラだったのか? 表題作より二作目の方が出来がいい。謎の提示から場面展開、そして御手洗の安楽椅子探偵へと繋がっていく流れはとても面白かった。しかし、肝心のオチに意義あり。しばらくは開いた口が塞がらなかった。
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大好きな御手洗潔シリーズ。「UFO大通り」「傘を折る女」どちらもおお〜!という感じだけれど個人的にスッキリ度が何故か低かった・・・(読了'07.03)
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中編2作。どっちも石岡くんがいて嬉しい(T^T)←それかよ!何でもない日常の謎に潜んだ意外な真実、ってのは島田御大としては珍しい部類なのでは?
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島田荘司としてはアベレージか。
相変わらず状況の奇想はお手の物で、UFOやら宇宙戦争やらわけが分からない。それが最終的には納得いく解決が見られるんだからね。多少、弱さも感じたけど。
併録の「傘を折る女」は、前半の展開が好きだ。ああいう「九マイルは遠すぎる」とか「ジャケット背広スーツ」みたいな展開はそそる。後半は倒叙で、それもまた良し。
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今日の買い物
僕の大好きな御手洗潔シリーズの最新作。うん、この人、どうにもやりきれない話を書くのが得意なんですかね。表題作じゃなくて、2編目の『傘を折る女』、僕なんかは犯人の方に共感してしまうんですけど。
まあ、推理の方はちょっと無理があるかなー、って感じですけど。ちょっと古いタイプの、名探偵が出てきて、バーンって快刀乱麻に解決!みたいなノリが嫌いじゃなければ楽しく読めます。
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あれのお話しが2本。長くないし、長編にくらべてだいぶ話しの内容がわかりやすいのですらすらっと読めましたが、ハングリー精神旺盛なひとにはちょっとものたりないかもです。でも久々に御手洗と石岡君でセットの作品を読んだので、それだけでもう満足。
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『UFO大通り』
御手洗潔シリーズ
ガス・スタンド勤務をやめた小寺の死。ガムテープで目張りされた部屋。天井からつるされたガムテープ、ヘルメットをかぶり白いマフラーで毛布をかぶった状態での死。事件から2日後近所に住むラクさんが見た「宇宙戦争」。小寺の恋人・柴田明美の死。銀色のスプレーで塗装された死体。
『傘を折る女』
御手洗潔シリーズ
雨の日に車の傘をひかせた折る女。過去に起きたバスジャック事件。事件当時バスから逃げ出した祖父江宣子。いらだった犯人に母親を殺害された雪子。宣子の部屋のハムスター。祖父江宣子の部屋で発見された宣子の遺体と町屋歌子という女性の遺体。
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「石岡君、象みたいにもたもたするんじゃない、こうしている間にも、人の命が失われるかもしれないんだ」。
御手洗潔、疾走る!中編2作収録のシリーズ最新作。
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御手洗シリーズ。この二人はやっぱり一緒のほうが楽しい☆ 「傘を折る女」が好き☆
2008.10.24
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宇宙人が早朝、宇宙戦争をしているという坂の謎を解く『UFO大通り』。
ラジオに投稿された、雨の中車に傘を折らせるという謎の行動をする『傘を折る女』。
御手洗潔が解く、これらの謎の真相とは・・・?
まさかミステリーの小説に宇宙戦争が出てくるとは思わず驚きました。
島田荘司さんの長編を読める人には、二話ともそこまで長くないのですぐに読めると思います。
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御手洗と石岡くんの気になるやりとり。
「~略~ならば、乾かさなくてはならない。しかしその洗濯機に乾燥機が付いていなければ…」
「ぼくらみたいに」
「そうだ、そうならどうする?」
「ヘヤードライヤーでガーッと…」
「時々君がやってるね。しかし相手がワンピースなら、これはとてつもなく時間がかかる」
「はいそうです」
私は言った。
この御手洗の、
日本のシャーロック・ホームズ的な奇人ぶりと
ワトソン的な従順さをもつ石岡くんのコンビが
とても面白いシリーズです。
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これぞ御手洗もの! という感じ。とかくわけわかんない事件に、しっかりとした謎の解決。これは面白かった~。いつものことだけど、「こんなん論理的に解けるのっ!?」という心配はまったくの杞憂でした。
表題作「UFO大通り」も良かったけれど、「傘を折る女」の方が好きかなあ。出だしは案外普通で、事件の全貌も案外早く明かされて、「これ以上何が残ってるの?」と思ったら……うわあ、なんなんだよその展開は! とひっくり返りそうになりました。でも当然、しっかりきっちり解決。つくづく凄いよなあ……。