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紙の本
話は始まったばかり
2007/02/12 11:58
10人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くにたち蟄居日記 - この投稿者のレビュー一覧を見る
読みながら違和感を感じつづけた点をまず正直に表明したい。
例えば この本を世界の本当に貧しい人が読んだらどう思うのか?彼らからしてみると 日本の貧富の差などは 差でも何でもないと思うだろう。本当の貧富の差とは 収入額の差以前に まず生きていけるかどうかであるという現実が 世界にはあるのだと思う。
勿論 逆にそういう極端な海外の事例を引き合いに出して 日本の格差社会を論じるのも 乱暴だという反論もありえよう。「日本」という社会の中での「格差」を論じることは それなりの重要性があり 海外との比較は意味が無いとも言えるかもしれない。
但し その一方では ジニ係数にて 「海外の先進国」との比較は行っているのも本書である。ジニ係数が 正しく「格差」を意味するかどうかの検証という手続きにおいてもう一つ僕に対しては説得力が無かった。北欧でのジニ係数と 日本のジニ係数が どこまで単純比較できるのかという点にも疑問が残った。
「格差問題」は 今後10年間の日本が抱えた 大きな課題なのだと思う。但し それをどのような座標軸で見ていくことが正しいのか。どのような世界観の中で論じられていくべきなのか。その点についての 本書からの明快な答えは見つからなかった。おそらく 本書も 「格差問題」を扱った初期の代表的な一冊ということにはなるのかもしれない。その意味では まだ始まったばかりである気がする。
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格差論の問題をざっと知るために
2017/08/28 09:08
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:もちお - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は前作で論争となった日本社会は格差が拡大していると改めて主張し、格差社会があることはどこが問題で格差是正に向けた提言をしている。格差論の問題をざっと知るためには一読してもいいかな。
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相対的貧困?ハア?
2006/10/30 10:36
21人中、17人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る
大竹文雄氏の名著「日本の不平等」で完膚なきまでに打ちのめされた橘木俊詔。その橘木が満を持して放った概念が「絶対的貧困」ならぬ「相対的貧困」というヘンテコ概念だ。働かなくても、若いときに犯罪の限りを尽くして40代になって働き口がなくなった元暴走族や麻薬常習者でも「生活保護」という美味しい蜜にありつける福祉大国・日本」(日本では若いときから勉強もせずスーダラを決め込み、老齢になるまで生活保護をもらい続け、最後は特別介護老人ホームに優先入居するのが最も美味しい人生という話さえある)。その日本で貧困、貧困と橘木はわめく。いくら騒いでもだれも注目してくれないので、ついに自分が説く「貧困」とは「絶対的貧困でなく相対的貧困だ」といらぬ説明をし始めた。しかし、これって、隣がベンツ買ったらカローラに乗っている私は貧乏だという嫉妬心であって、それ以上でもそれ以下でもないじゃん。そんなにベンツが欲しかったら、もっとい働いてもっと貯金してベンツを買えば良い話。それが出来ないならカローラこそ私のベンツと「我慢」することが生活の知恵であり人生の知恵ではないか。大衆の嫉妬心をあおりおもねる似非学者橘木。その本性というか馬脚が表れたのが本書だ。
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見苦しい強弁
2015/10/08 07:10
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タヌ様 - この投稿者のレビュー一覧を見る
これほど多産な経済学者もめずらしい。日本経済学会会長までやっておられる方だが。評論家なら結構いるのだが、書き捨てとまでは言わないけれど、そこそこまでの理論で報道受けのよさ、時流に乗っかてっうまいネーミングテーマで売るスタイルである。
氏の格差論は理論と実証の粗雑な組み立てであったことは致命的なほどに大竹文雄氏によって明らかにされており、あざとく自説を包括する新たな用語まで繰り出して強弁するのは見苦しい。経済学も米国一点張りのPh.Dをありがたがってもどうにも日本の実例分析で外国で名をあげる奇妙な事態になっている。
あまりに専門外に手をだせば失敗はあるのは当然。なかったかのように書きまくるのは理解できない。