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性と暴力のアメリカ 理念先行国家の矛盾と苦悶 みんなのレビュー

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みんなのレビュー19件

みんなの評価3.7

評価内訳

17 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

戦争国家の背中は暴力を語る

2006/11/15 13:08

12人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:後藤和智 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「親父の背中」とか「男は背中で語るものだ」という表現があるけれども、その表現に倣うとすれば、アメリカの背中はまさしく「権力」と「暴力」を語っている。暴力論や権力論に関しては、理論面から考察した様々な名著があるけれども、アメリカという国の成り立ちを描きつつ権力と暴力の深層まで語った本書は、まさに権力や「愛国心」を語る上で欠かせない本に仕上がっていると言えるだろう。
 私としては、本書の第2章「「暴力の特異国」への道」は、騙されたと思って読んで欲しいと思っている。私の読んだ限りでは、この部分こそが本書の根幹であり、そして米国の根幹でもある。
 米国にとっては、その独立を決めた独立戦争自体が、常備軍ではなく民兵によって担われていた。暴力は最初から一般市民のものにあった。元々米国自体が英国の集権的体制に反発して建国されたものであったため、中央政府は小規模な軍事力しか持たず、他方ではものすごい勢いで開拓が進んだため、僻地においては治安維持のために自警団が結成されるようになった。そして憲法はそれを容認するために改正された。それと中世的騎士道精神による決闘の精神の輸入と相まって、民間に武器や暴力による紛争解決が普及する運びとなる。
 また、自警団による私刑(リンチ)は、当初は裁判所に代わって犯罪者を裁く、というものであったが、次第に処刑を伴うようになる。そして犠牲者の主体が白人から黒人に変わる。これは、南北戦争に伴う奴隷解放により、黒人の社会的地位の向上に伴う白人の不安の増大が原因である。悪名高きKKKもこの流れで生まれている。また、フロンティアの時代が終了すると、黒人へのリンチは減少したが、その代わりにマフィアに代表される巨大な地下組織ができるようになった。それを取り締まるためにFBIが結成されるが、これはマフィアの組織解明に手間取ったばかりではなく、一人の人物による私物化が起こっていた。それを象徴するのが、マーティン・ルーサー・キング牧師の暗殺である。この暗殺事件に対して、国家機関であるFBIによるリンチの疑惑が浮かんだのだ。
 軍事的超大国としての米国を見ることに関しても、この流れを無視することはできない。それは冷戦体制と共に幕を開ける。個人的に興味深いのは大学と軍隊の関係の部分で、大学から軍人を排出することでシビリアン・コントロールが保たれる、ということがインセンティヴとなっていたり、アカデミズムが軍隊に近寄ることによって軍隊の社会的地位が上がったり、という指摘は、とてもおもしろかった。
 第2章の概要を書くと、大体このような感じになる。もちろん本書において、第2章以外の部分も見逃すこともできないだろう。しかし、米国がなぜ、そしていかにして軍事的超大国と化したか、さらには国家とは、統治とは、暴力とはなにか、ということに関しては、権力や「愛国心」を語る上で絶対に避けることができないもの大のはずである。そのことを理解していない人が、特に「愛国心」の押しつけに反対している「はずの」勢力に多すぎる。私が第2章にこだわる理由はここにある。
 治安の悪化が虚構といっても差し支えないにもかかわらず(この点に関しては、浜井浩一『犯罪統計入門』日本評論社、久保大『治安はほんとうに悪化しているのか』公人社、などを参照されたし)、我が国は米国流の監視社会の道をたどっているように見える。そういう現実に対処する目的でこそ、本書は読まれるべきだ。そして、形骸化して「戦後民主原理主義」と化した左翼勢力にも言っておく。左翼よ、暴力と統治を語れ。
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紙の本

先入観なく読みたい著書

2011/10/15 23:25

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Genpyon - この投稿者のレビュー一覧を見る

著者は、アメリカという国家を「人為的な集団統合という理念を追い求める実験国家」と規定し、これにより、アメリカ社会は性や暴力の問題が大きな社会的問題とならざるをえない構造を宿命的に背負ってしまったと見る。

この視点を裏付けるため、著者は、アメリカ社会における性と暴力の問題について、その歴史的・法的・政治的・社会的・文化的な側面を、多くの資料を用いて総合的に検証していく。

反米本ともとられかねないタイトルの本著であるが、著者は非常に冷静かつ抑制的にこのテーマを論じている。大学での講義ノートを元にしているとのことで、アメリカ社会の性と暴力の問題を、アメリカの地域文化論という純粋な学問的対象としてとらえようとしている姿勢が伺える。

現在、唯一の超大国となってしまったアメリカに対しては、好き嫌いのいずれであれ、激しい感情を持つ人も多いかもしれない。アメリカに対する批判らしい批判はほとんど述べられていない本著であるが、性と暴力という切り口自体が反米的であると考える向きもあろう。

本著の切り口は、確かに、そういった感情を刺激しがちであるとは思うのだが、できれば、一度、少しでも自分の感情をニュートラルに戻すようにしたうえで、本著に取りかかるほうがいいかもしれない。

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2007/01/06 18:40

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2007/10/10 21:00

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2008/05/22 23:56

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2010/03/21 21:32

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2010/06/29 21:28

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2010/11/25 17:42

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2011/11/13 13:49

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2014/03/30 21:09

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2015/11/17 23:12

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2016/11/20 23:25

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