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短編集ですが「高瀬川」たまりません。見られてるのか、と思うほど性描写とその心の動きがリアルです。世代が近いと言うことで。
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やはり、この方の作品は解りません。
読書に心の潤いを求める私としては、言葉遊びになんの感慨も感じられませんので。
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日蝕で挫折したリハビリ。表題作『高瀬川』はあと4年経ったら読み直したい。壁一枚向こうであるような奇妙なリアリティがある。とにかく印象的でドキドキしてしまった氷塊。でもなんだかんだで追憶が一番好きです。読みやすいので平野氏を敬遠している方にもオススメ。
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純文学というのは、とっつきにくくてどうも苦手です。
「清水」「追憶」は、どうしても読めませんでした。
「清水」は、阿部公房のような、いわゆるシュールレアリズムというものでしょうか?
文庫版を電車の中で読んでたら疲れてしまいました。
「追憶」も同じく。実験的すぎて、頭に入ってこなかった。
こういう類の作品は、静かなところで落ち着いて読まなければならないな、と思いました。
「高瀬川」「氷塊」は、見事です。
丁寧な心象描写にぐいぐいと引き込まれていきます。
特に「氷塊」に出てくる少年の思春期らしい、真っ直ぐで繊細な感情は、読んでるこちらにもひしひしと伝わってきて、身を切られる思いでした。
収録4編とも、すべて毛色の違う、盛りだくさんな一冊でした。読み応えは十分あります!
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作者前著のノリで読み始めてみたら、
『高瀬川』が、
エロい( 一一)。
電車で読んでて、思わず周囲をキョロキョロ(゜o゜)してしまったではないか。
『氷塊』は面白かった。
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3/6
「氷解」は上下二段で別の視点人物から物語を描いており、二人が共有する世界を描くときだけ中段に文字が置かれる。
言説/内容にもう一つの観点が用いられるようになった現代小説の先鋒。
青山真治の解説も秀逸。
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4編の短編小説の中では『清水』がいちばんよかった。
何がどう良かったのかを説明するのはとても難しいのだけれど、言葉の紡ぎ出す世界の中に ”すとん” と入ることのできる作品であるというところが好きなのかもしれない。
文章には選ばれた言葉が放つ気配がある。そしてその気配が織り成す空間があり、その空間には新しい世界が生まれる。
言葉が生み出す別の世界に連れて行ってくれる小説が私はいい小説だと思う(なかなかそういう作品はないのだけれど、、、)。
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表題作。高瀬川。京都の一夜。その「性」をどっぷり。ただ性欲を満たすだけならば小説などなんの意味も立たない。SEX本。心理学本。そんなの意味がない。恍惚感。死の気配。隠された過去。本能。アンバランス。否定。肉体から心まで奪うこと。過去を消しさること。一度傷ついた心。もどらないこと。心の平安を取り戻すこと。二人の絡み合った下着。押し込まれたペットボトル。衝動に駆られて決行した。心と心がどれだけ近づけるか。距離だ。ひとつになれるか。そうでなきゃ。切ないだろ。
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この作家は一所に落ち着かず、新しい手法に果敢にトライしていく。この本は、最後まで読んで計算され尽くした顛末に思わず嫉妬すら覚えてしまった。
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芥川賞作家、平野啓一郎氏が描く『現代』。実験的な作風を数多く取り入れたのが特徴です。ラヴホテルで一夜を共にする男女を描いた表題作に、少年と女性の運命が交錯する『氷塊』など4つの物語が収録されています。
芥川賞作家、平野啓一郎氏による短編集です。『ロマンティック三部作』の完結編ともいえる『葬送』を刊行した後にはガラリと作風を変えて、現代が舞台となっている他、『追憶』では活字を音符のように使ったり、『氷塊』では二つの物語が同時に展開し、ある一転で交差するなどの実験的な試みをいくつもされていることが特徴的な一冊です。
それでも印象的なのは表題作である『高瀬川』と最後の収録されている『氷塊』でございました。『高瀬川』は大野という新進作家と、女性ファッション誌の編集者である裕美子とのラヴホテルで過ごす濃密な『一夜』が描きこまれております。二人の『出会い』のきっかけから京都の夜で過ごす瞬間。ジャズの流れる店で交わされる会話やその後のラヴホテルの様子。前作である『葬送』から一転した作風で、コレをリアルタイムで読んだ方は本当にびっくりしたことであろうと察せられます。二人が一夜を過ごし、お互いの下着をつめたペットボトルを川に投げ込む瞬間がとても印象に残っております。
個人的に読んでいて一番面白かったのは最後に収録されている『氷塊』でした。これは前述したとおり、二つの物語が上下で同時に進行する作品となっており、筆者の『意気込み』が伝わってくるようでございました。上の段で展開されるのは母親を失った少年の物語で、彼は図書館に日参しながらある女性のことを目で追い、母親の『影』を追うようになります。その少年の繊細な内面描写は『母を失った』という喪失感を抱えながら、父親の再婚相手にも打ち解けることなく、『本当の母親』を求めるというなんとも切ない展開でした。
対して下の段では東京で文学部の美学科を専攻し、大学院の修士課程まで出た女性が主人公です。彼女は親の反対を押し切って画廊に就職するのですが、仕事に行き詰まりを感じ…。故郷の新美術館の学芸員に親の勧めでなることで帰省するのですが思惑が外れてその計画が凍結され、彼女が配属されたのが県庁の教育委員会文化課美術館新設室という箇所でした。彼女は倦んだ毎日を送り、不倫をするようになります。その待ち合わせに使っていた場所が上段の少年が通っている図書館でした。『不倫』という形で逢瀬を重ねる彼女の中に去来するものを本当に丁寧に描き込んでいて、とても読んでいて複雑な女性の心理というものを楽しむことが出来ました。
そんな二人の運命がところどころで『交錯』する瞬間があり、二人の物語が同時進行で進んでいるということと、最後のほうでそれが交わっていくというラストに平野氏の持つ『技量』というものを存分に感じさせるものでした。本書に収録されている物語は結構前衛的な試みがなされているものもあるのでそういった意味では最初に違和感を感じるかも知れませんが、読み進めていくとやはり面白かったです。
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まずかたい、難しい。読むのがね。
んで色々と崇高な事が散りばめられて。でもそれいらない。から、読みやすくしてほしい。
明治の文豪がえらいんじゃなくて、ギリシャの文化が偉いとしたら、ギリシャの神話やセネカ本は、誰でも読めるように平易に、深いことが書いてある。
形式だけカッコいいのは好かないので、この本も彼の書き方も、いいや、と。
でも「氷塊」は面白かった。
たぶん、彼の本石田衣良みたいに休憩用ではなくて、それ用にスペースを開けて、脳みそを使って読む用なんだろうけど。それは難しいな。だってどのみちホモン、小説だからね。脳みそ使って読む難しい知識書としては数々の名著が控えているから、そのジャンルで順番は回ってこない。
となるとやっぱり小説は、石田衣良とか、古典の翻訳に落ち着くのだなと。
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小説は、他者と自己の関係というテーマを絶えず題材としてきた。
そんな中で、タイトルにもなっている「高瀬川」という短編は、男女の性にからんだ人間の関係性を、男と女がホテルで一夜を過ごすというシチュエーションで、こんなにリアルに掘り下げることができるのか、と驚かされる作品だった。
遠い昔にサトウトシキのピンク映画を初めて見た時に、タブーである男女の性にまつわる心理描写をこんなにリアルに描く世界があるのか、と当時学生だった僕は驚いたのだが、それに似た、しかしそれを純文学としてさらりとやれるんだなあ、という感嘆と呆れが混じったような。。
どこまでが作者自身の体験に基づくものかは知らないが(知っちゃいけない気もする)、こんなに感情的な一コマを客観的な心理描写で重ねられると、僕だったら(同性だけど)怖くてこの人とはつき合えないなと思う。体を許した後に女性が、心を許すべく、自分の秘密を語り始める描写などは、リアルすぎて吐き気がした。
「大野」が主人公の短編は「フェカンにて」もあるが、いずれも読後感がたまらない。くせになる。
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近作『空白を満たしなさい』の感想ツイートがわたしのTLを潤す今日このごろ、待って待ってまだ追いかけ切れてない作品いっぱいあるねん!! ということで読んでみた『高瀬川』。
ざっくり言うとおもしろかったです。
■清水
この人の小説には、いつも説明が明晰すぎるところがあると思う。「存在が、――そう、今はもう疑うべくもなく、この私の存在が、次々と過去へと放り出されてゆくのだった。」(p22、原文は「この私の存在が」に傍点)この段落を書けるならば、この小説はあまり書かれる必要がなかったのではないか、というような気がした。滴り落ちていく清水とか、鳩の屍体とか、そういったイメージを付随することに意義があるというなら異論はとくにないけれど。
■高瀬川
生々しいのになぜか下品ではないエロス。
会話文のぎこちない感じは相変わらずだなあと思ったけど、細かい心理描写はけっこう楽しく読めた。
鴎外の『高瀬舟』は、どのくらい関係あるのかな。裕美子が流産について語るところは、弟殺しの罪を告白する喜助と通じるところがあるかも。
そういえば、流産も「流れる」といいますね。
最後の、鷺が流れずにひっかかっちゃったペットボトルを不思議そうに眺めているシーンが好き。
余談ですがこれ読んでたら、電車の中で男子高校生がチラチラこっちを見ていた。
うーん、きみには、ちょっとまだはやいかな~(笑)
■追憶
レイアウトを駆使した視覚的な作品。
おぼろげ。読むというより絵のように眺めて鑑賞するものかな。
最後には全文がついているので、そこを読むと何が書いてあったのかはわかるけど。
これだけ視覚的だと、文庫と単行本では、同じ小説なのに全然違う作品になるのじゃないか。
■氷塊
少年と女性の両方の視点から二段組で同時に描かれる(二人にとって共通な部分は一段になる)という面白い試み。
少年は女性を見て死んだと聞かされていた母親が実は生きていたのだと思い込み、女性は少年を見て不倫相手の息子なのだと思い込む。
なんかアンジャッシュのコントに似てる。
少年パートを最初に読むか、女性パートを最初に読むか、どういう読み方をするかで感じ方が変わってきそう。わたしは両方少しずつ読んだ派。もどかしい感覚。
こんな風にいろんな文体や技法を駆使していろんな小説を書く作家である平野啓一郎が、「分人」という概念を思いついたのは、なんだかよく分かる気がするな、などと。
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表題作は平野啓一郎の顔がチラつくので勘弁してほしかったが、会話やプロセスがやけにリアルで、あと時々笑ってしまうシーンなんかもあり、まぁ全体的には嫌いではなかった。
「追憶」はデザイン的な演出よりも、その散文としての音的な美しさに魅力を感じた。
ほかは、まぁそれほどでも。
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じっくりと腰を据えて読みたい短編集。実験的な要素も高いけれど、その言葉の紡ぐ美しさは、やはり、平野啓一郎。その感想を言葉にするのは、とても難しいけれど、なんだろう…水の滴をたどるような感じでした。