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忘れても好きだよおばあちゃん! みんなのレビュー
- ダグマー・H.ミュラー (作), フェレーナ・バルハウス (絵), ささき たづこ (訳)
- 税込価格:1,540円(14pt)
- 出版社:あかね書房
- 発売日:2006/10/15
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絵本
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紙の本
葉は散っても幹は残る、根は残る
2011/09/18 07:36
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
昨年の春に母が亡くなって父はすっかり表情をなくした。元々娯楽を好まなかった父で、唯一の楽しみは案外陽気な母のおしゃべりや笑い声だったのかもしれない。
記憶も遠くにあるようで、息子である私のこともどこまでわかっているのだろうか。無表情でじっと顔をみて、そのあとぐしゃりと顔を崩して涙をこぼすのは、まだ私が息子であることを理解しているようでもある。
息子としてそう思いたい。
この絵本の、かわいい女の子の「わたし」のおばあちゃんは病気だ。アルツハイマー病である。
「おばあちゃんは聞いたことを、おぼえていられない」病気なのだ。洗濯の仕方も昔のような手洗いは覚えているが、最近の洗濯機の使い方はすぐに忘れてしまう。
「名前もすぐに忘れて」しまう。
そんなおばあちゃんだが、小さいときのことはよく覚えている。
「わたし」のママはそんなおばあちゃんのことを「おばあちゃんの頭には、秋がきたのね」という。
「おばあちゃんの人生の木」は上の方の最近の葉っぱから散っていく。それは悲しいことだけど、「だれもとめてあげられない」。
やさしい「わたし」は、だけど、そんなおばあちゃんが大好きだ。
おばあちゃんと絵本を読む素敵な時間。女の子はおばあちゃんのゆっくりとした時間がお気に入りなのだ。
アルツハイマー病は今や奇病でもなんでもなくて、人生の秋にはよくみられる病気だ。私の父もおそらくその初期の、あるいは中期の段階なのかもしれない。
でも、この絵本の女の子のように、それでも私は父が好きだ。
すべての葉っぱを落とした木であっても、根っこと太い幹がその人を支えている。私はその根っこと太い幹から生まれたのだ。そのことを大事にしたいと思う。
父はこの秋、八七歳になる。
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