紙の本
著者コメント
2006/11/27 18:11
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投稿者:松浦晋也 - この投稿者のレビュー一覧を見る
コダワリ人になろう
本書にご登場願ったのは、単なる趣味人ではない。なにか面白そうなことにと
りつかれ、結果として驚くほど素晴らしい高みに到達した人たちである。
実際のところ、取材をしてみるまで、これほどまでの人たちが、かくも沢山、
今の日本に生きているとは思っていなかった。
彼ら(そう、本書に登場するのは男性ばかりだ。これは私の取材が偏っていた
からであって、分野を選べば女性も当然入ってくるだろう)は、共通点がある。
気負わない、諦めない、楽しむ——そして突き抜ける。
彼らには趣味だからという言い訳はなしだ。気が付くと趣味どころではなく、
生活を賭けてしまったりもするが、その場合も悲壮感はない。突き抜けるプロセ
スそのものを楽しむ。その姿には精神的な余裕すら見てとることができる。
団塊世代の大量定年を控え、あちこちのメディアで趣味の講座が流行してい
る。でも、同じ趣味ならば、突き抜けてみたいと思わないだろうか。自己満足で
はなく、社会が「それはすごい」と言ってくれるほどに。
「やったぜ」とガッツポーズがとれるぐらいに、「向こう側」突き抜けてみようではないか。
もちろん、お涙頂戴も根性物語も男達の逆転ストーリーもなしだ。
楽しく、諦めることなく、そして気負わない。コダワリ人は常に朗らかである。
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趣味・好きなことを極めた人々の活動を追う。中須賀先生も登場。テーマは乗物と宇宙がほとんど。さすが松浦さん。蒸気機関車,自転車,バイク,エコマラソン,人工衛星,天体写真,プラネタリウム…。ちょっと古い本で,2002年頃の雑誌連載記事と,2006年ころの再訪を収録。この間にさらなる高みに昇った人や,ガラッと状況の変わった人もいて面白い。さらに7年ほど経った今は皆さんどうしてるんでしょうね。それにしても,男ばっかりw
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著者は、趣味に生きる意義について以下のように述べている。
「今は受験勉強が優先だ。受験勉強はくだらないけど、大学に入ったらパアッっと遊ぶぞ」というのは、若い人の考えることだから実害は小さい。しかし、中年に入って、「今は会社の仕事が忙しいから、好きなことは定年になってからやろう」と考えるのは危険だ。
人生の時間は十代の若者よりもずいぶん使ってしまっているし、いつまでも健康でいられるとも限らない。
なので、やりたいことは今すぐやるべきだ、と著者は言う。
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趣味にこだわる人を趣味人というけども、
本書は、その趣味人を超えた領域にいるすごすぎる「コダワリ人」の話。
機関車が好きすぎて、自分で線路ひいて機関車を乗るというもはや趣味の領域を超えた鉄オタの人の話や、息子に自転車で負けたのがくやしくて独自機構の高効率自転車SDVを作り出してしまう父親の話、超高性能なプラネタリウムを自分で作り上げてしまう人の話など、もはやプロ顔負けなレベルの人たちが数多く登場する。
本書の面白いところは、一度取材をした数年後に再びそのコダワリ人たちを再度取材していることだ。
これらはたいてい、数年で趣味のステージを上げている。
このレベルアップが大抵桁違いなのが面白い。
以下に面白かった点を紹介します。
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◆新しいものは始め受け入れられない。
明治時代に日本で蒸気機関車が初めて走り出した時の反応は、
「火を吐いて走るから危ない」だったというし、電話は「実際に出向いて要件を伝えるのが礼儀なのに声だけで済ますというのは無礼」だったという。
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◆リカンベント型自転車の性能は約25%高い
寝そべって乗るタイプの自転車をリカンベント型といい、一般の自転車よりも速いことが知られているが、この性能は一般の自転車で時速20㎞のスピードを出すのと同じ労力でリカンベント型は時速25㎞くらいの感じだという。
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◆リカンベント型自転車は事故に強い
リカンベント型自転車は寝転んで乗車しているので事故発生時には、お尻から落ちる可能性が高く頭を強打する可能性が低いため安全性が高いという。
ただ車からは見えにくいので注意!
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◆クラウザー・ドマーニ
理想のサイドカーを目指して作られたというが、
このフォルムゴツくてかっこよいと思った。
カッコいいだけでなくて、サイドカー特有の運転しにくさも解消されているらしい。
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◆記憶する住宅という発想
住宅を記憶媒体化するという発想に驚いた。
120TB (テラバイト)の容量があれば、生まれてから死ぬまでにみたすべての製造をMPEGファイルにして保存できるといい、これはすでに利用可能な容量だ。
・・・もうそこまで来てるのかというのに驚きました。
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◆メガスターというプラネタリウム機械
���70万の星空を投影した原版を一人で作った大平さんの話に驚いた。プラネタリウムってただ単に映すだけかと思ってたけど、奥が深かった。
大平さんの著作『プラネタリウムを作りました』を読んでみようと思った。
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一つの趣味に打ち込むことのかっこよさを本書を読んで感じました。