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最後の一球 みんなのレビュー

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みんなのレビュー20件

みんなの評価4.0

評価内訳

20 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

人生は野球だという人にも、野球なんて知らないという人にも贈りたい

2007/05/17 01:02

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:けい - この投稿者のレビュー一覧を見る

 高校野球とプロ野球の違いを一番感じるのは、スイングのスピードでもなく、変化球のキレでもなく、試合に負け、球場を去る姿です。甲子園はトーナメント形式。負けたら次はない、という緊迫感。それが「最後まであきらめない」というひたむきな姿を生みます。プロ野球の試合で大差がついていれば、心のどこかで「今日はもうダメだ」という想いが出てくるのではないでしょうか。たとえ「次は絶対勝つぞ」という決意があっても、あきらめの気持ちはどこか見るものの温度を下げてしまうものです。
 特待生制度をめぐる高校野球界のドタバタを耳にすると、一生懸命やっている高校球児たちはかわいそうだなぁ、と思わずにはいられません。細かい背景などはわからないのですが、どうもルールのほうがおかしいんじゃないか、とも感じてしまいます。特に私学では知名度のアップや生徒の獲得など経営に関わる問題も絡んでくるので、難しいところもあるのでしょうが、裏金とか不正とか、そういうことではない限り、気持ちよく頑張らせてあげられる環境を先に生まれたものが整えてあげるべきだと思います。
 本書『最後の一球』の作者はミステリ界の重鎮、島田荘司先生。奇想天外で大胆なアイデアが売りの著者ですが、今回、最も魅力を感じたのはミステリの部分ではありませんでした。もちろん、島田流のトリックと物語を引っ張る謎は用意してあるのですが、それにもまして本作ではひたむきに野球に打ち込む主人公の姿が魅力です。
 主人公は家庭環境から野球で稼ぎ、人生を切り開いていく道を選んだ、選ぶしかなかった男です。懸命に、誰にも負けないほど努力を重ねてきた男の前にさまざまな壁が立ちはだかります。努力では埋めがたい才能の差、運、そして、才能あるものさえもつぶしてしまう人間の悪意。
 困難をどう克服していくか、勝つだけというわけにはいかない人生で負けたときにどうするか、それでも大切なものと向き合うこととはどういうことか。主人公が野球に打ち込む姿は、厳しい人生を生きていこうとする姿に重なります。ですから、これは野球に興味がなくても、決して楽ばかりではない、むしろ、しんどいことやどうしようもないことのほうが多くて、なんとか日々を生きていこうとする人にはひきこまれる物語だと思います。
 登場人物たちが過ごし、築き上げてきた人生、熱いドラマの展開、そういったものがトリックや謎に見事に結びつき「最後の一球」に至る周到に計算しつくされたきれいなミステリでもあります。
 甲子園を目指さなくても野球をやっている球児たちに、夢の甲子園に行けなかった元球児たち、野球に興味のないかたにも読んでいただきたい一冊。
 そして、最後にアルプススタンドからではないけれど、パソコンの前から高校球児たちにエールを。

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紙の本

野球嫌いの私も思わず納得。借金はする人間だけの問題じゃないんですよね。高利貸しをのさばらせる政府のあり方にも疑問がいっぱい!

2006/12/24 00:01

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

時代は1993年、「ロシア幽霊軍艦事件」のあった年の10月です。馬車道にある御手洗の事務所に、山梨県の秋山村で美容院をやっているという美容師がやってきます。彼の依頼というのは、母親の遺言状のことのなです。何箇所も二本線で書き直してあるそれが友好であるのか、ということから始まって、店にやってくる奇妙な客の話になっていきます。
ただし、母親は遺言を遺すような年齢ではありますけれど、未だ存命中で元気こそありませんが、決まった時間に近所の喫茶店で知人たちとお茶をしたり、息子である依頼人との仲も良くて、問題といえば、その不思議な文言が多い遺言状と、料金代わりにお好み焼きを置いていく謎の客ということになります。
そのような事件に、あの御手洗が興味を持つわけがない、という石岡の予想は見事にはずれ、名探偵は中央線を利用して美容院のある秋山村に向かい、依頼人の母親がよく行くという喫茶店で彼女の話を聞くことになります。ここまでは野球の気配もありません。ところが一転して・・・
野球の話の中心に居るのは、傑出した才能はないものの、持ち前の努力で野球界に何とか繋がりを持っている投手の竹谷亮司です。彼の父親は連帯保証人となったために自殺に追い込まれ、亮司は母を助けるためにも野球選手になる道を選びます。努力の亮司に対して天才として登場するのが、野手である武智明秀です。彼はその才能を見事に花咲かせ、野球選手としての王道を歩むことになります。そして・・・
最近の島田は、あいも変わらずド派手な、トリックを主体にした本格ミステリを書き続けていますが、その犯罪や犯行解明の動機の現代の司法界(法曹)の持つ矛盾へ、或いは今まで殆ど原因不明故に語られることもなかった人間の奇妙な行動へと移ってきています。なかでも冤罪についての継続的な問題提起は、その中心にある、といってもいいでしょう。
それが今回は金融、高金利でお馴染みの街金です。最近も利息制限法をめぐって国民の意思そっちのけの、国会議員だけの議論で新しい決定がなされようとしています(したのかな、自民党がいかにも高利貸し寄りの決定をしようとしたことまでしか知りません)が、今回はそれに対する島田なりの主張でしょう。
私はどちらかと云うと借金をする、という人間のほうに同情はしないほうなのですが、そこに詐欺そのものの手口を使って借り手を追い詰めていく金融界、その裏で如何にも奇麗事をしている風な銀行、そこから資金を吸い上げていく政治家、特に自民党と、政権の甘い汁を吸ったことで権力から逃れられなくなった公明党には、正直うんざりしていますので、思わず借金をしている側を応援したくなりました。
ちなみに、私は野球、特に高校野球が大嫌いで、その暴力体質が日本のスポーツ界を薄汚れたものにしている、と確信しているので、実はこの本についても、タイトルや出版案内を見て「読まずに済まそうか」と思っていました。でも、この小説における野球の扱いは、現実のものとは大きくことなり文学ならではの美しいものです。
予想外に面白かったし、石岡の出番が少ないのも、よかったなあ、と思います。

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紙の本

努力が奇跡を起こすミステリー

2006/12/12 21:18

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:PNU - この投稿者のレビュー一覧を見る

 御手洗と石岡のもとを相談に訪れた青年。そこからリンクしていく途方もない物語は、まさに島荘節と呼びたくなるダイナミックな味わいを持っている。
 最初はタイトルやカバー画からバリバリの球界ミステリかと思い、野球に興味ない私が読みこなせるか不安に感じたのだけれど、読み始めれば杞憂だった。多少最近の作品が薄味だったり強引な面があろうとも、やはりこのお方は凡百の小説家の及ばぬレヴェルのページターナーなのである。
 読み終えて、これは御手洗シリーズでなくとも成立する話だな、と思ったけれど、最初の奇妙なテイスト、そしてラストの爽快さはやはり御手洗の存在あってこそなのかもしれない。
 内容は地味に感じられるかもしれないが、私は好きだ。最後の一球に込められた想いと力に打たれる。
 現代の少し冷酷な歪んだ社会で、第一線に出るわけではないが努力を惜しまず真面目に懸命に生きる人々、そんな人々を暖かな眼差しで見つめ、エールをおくる小説であると思った。

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2006/12/05 15:29

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2007/01/06 21:58

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2007/04/04 23:17

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2007/10/10 22:11

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2008/05/13 01:37

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2011/01/07 07:26

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2008/07/29 13:20

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2009/05/05 22:12

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2009/06/13 13:57

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2010/01/11 17:22

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2010/01/10 23:43

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2011/09/15 21:52

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