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みんなのレビュー44件

みんなの評価4.3

評価内訳

44 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

80年代ニューアカデミズム解題

2007/10/21 20:44

10人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:GG - この投稿者のレビュー一覧を見る

戦後の日本を10年ごとに一人の思想家で代表させるという遊びを行なおう。私のセレクションは下のようになる。

50年代:丸山真男
60年代:吉本隆明
70年代:廣松渉
80年代:浅田彰
90年代:宮台真司
00年代:内田樹

70年代は誰で代表させたらよいのか、第一感では浮かばなかった。廣松渉は苦し紛れの選択だが、選んでみるとそれらしい気が自分でもしてくる。しかし、80年代については、だれが選んでも同じだと思う。やはり浅田彰である。浅田彰は1983年、弱冠27歳の大学院生のときに『構造と力』(勁草書房)で颯爽とデビューした。難解な学術書をベストセラー・リストにランクインさせた当人である。世に言うニューアカデミズムを牽引するトップ・スターだった。

本書はその当時に学部の大学生だった著者が、あの80年代を振り返り、詳細に腑分けする目的で書かれた本である(と評者には読めた)。タイトルは軽いが、中身は学者らしい手堅さでまとめられている。

第1部。前史としてマルクス主義の日本における展開を振り返る。第2部。日本における「消費資本主義」の台頭を論じる。1981年の芥川賞作品「なんとなく、クリスタル」を目印にするのがわかりやすい。そして第3部。ここがもっとも大事な部分である。フランスからの輸入思想としての日本版「現代思想」の特徴が論じられる。第4部は、その後の展開である。

文章は大変わかりやすく、勉強になる。とくに日本版「現代思想」の個々の著作を、その元本に帰って論じているところは、なるほどそうだったのですか、と膝を打つ感じである(第2部第4講のフーコー概説など)。80年代に学生生活を送り、蓮実重彦・栗本慎一郎・柄谷行人などをそれなり読んだ覚えのある人にとっては、20年後の解題というのもちょっとしゃれているのではないだろうか。

しかし。ここからは評者の思い込み感想だが、読後感はあまりよくない。同じ著者の他の本も読んでみようという気分になりにくい。著者のサヨク嫌いの湿っぽさが、楽しくないのである。ルサンチマンを文に綴るのも芸のうちだろうが、評者には同じような味わいならば、小谷野敦のそれの方がずっと面白く感じられる。

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紙の本

フランス現代思想の日本の受容と展開をシャープに論述

2007/01/06 18:36

13人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ブルース - この投稿者のレビュー一覧を見る

フランス現代思想は、下火になったとはいえ、潜在的な需要があるのか今でも解説書が時々刊行されている。しかし、その大半は教科書調の硬直した記述に始終するか、現代とのスタンスが充分でなかったりして知的インパクトに乏しいのが実情である。この点、本書は、日本における受容と展開を通して、フランス現代思想の内実を論じるというユニークな構成を取っており、平板な類書とは一線を画している。
本書は、まずフランス発の現代思想が世界を席捲する以前の日本の知的風土を論述するところから始められている。よく知られているように、1940年代後半から1960年代の日本の知識社会は、当時世界的な潮流であったマルクス主義の影響を多大に受けており、それがフランス現代思想の受け皿ともなると同時に反発する土壌になったとしている。著者は、この問題に関連して、丸山真男と吉本隆明という当時大きな影響を与えた二人の知識人を対比するかたちで詳細に論じているが、この両者の思想上の葛藤と反発は一遍の思想ドラマを見るようで甚だ興味深い。
続く章では、当初限られた学問分野に影響を及ぼしたに過ぎなかったフランス現代思想が、やがて日本社会にあれほど大きな影響を及ぼすようになった要因について論じている。その起爆剤の役割を果たしたものとして、栗本慎一郎や浅田彰らの書がベストセラーになったことを挙げ、浅田彰の『構造と力』のような難解な思想書が十万部を超えるようなベストセラーになった背景には、日本が現代思想を受け入れるだけの社会的な成熟を遂げていたことを指摘している。
以来、構造主義の提唱者のレヴィー=ストロース、その思想の限界を乗り越えるかたちで提唱されたポスト・モダニズムの旗手たち、フコー、ラカン、アルチュセール、ドルーズ、ロラン・バルト、クリステーヴァなどの著作の翻訳が奔流のごとく日本の知識社会に流れ込んで来たことは記憶に新しいが、著者は、それらの思想を咀嚼し独自の世界を展開していった知識人として、上述の栗本慎一郎や浅田彰を初めとして、中沢新一、山口昌男、柄谷行人などの業績を簡潔でありながら的確に紹介している。
ここで、注目すべきは、マルクス主義を信奉していた知識人たちのポスト・モダニズム思想に対する距離の取り方について、著者が詳細に言及していることである。もともとポスト・モダニズム思想は、激しい合理主義批判、とり分け「理性に潜む専制」批判を前面に掲げており、それが合理主義を起点にしながら民衆の社会意識を高め革命へと導くというマルクス主義とは相容れない面があった。それが故に、マルクス主義を信奉していた知識人からみれば、ポスト・モダン思想は大衆の目を曇らせ現状維持に甘んじさせる保守反動思想として受け止められたとしている。著者は、著名な哲学者の廣松渉の例を挙げ、その思想の内実にはポスト・モダニズム思想に近いものを有していながら、最後までそれとは一線を画していたことを紹介している。
本書は、この他にもフランス現代思想をめぐる幾多の思想ドラマを論じており、ポスト・モダニズム思想に影響を受けた者として興味が尽きないものがあった。
なお、本書評では字数の制約で割愛せざるを得なかったが、著者は要所要所でフランス現代思想が日本の知的社会に定着することで生じた功罪や、その凋落の要因を意を尽くして論じており、その鋭利な批判的考察には教えられるところが多かったことを付言しておきたい。

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紙の本

「何だったのか?」と問われる日本のポストモダンの「雑種性」

2022/02/10 12:35

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:あごおやじ - この投稿者のレビュー一覧を見る

この本の「序」は、「かつて、『現代思想』というものがあった」という過去形で示されています。かつて日本でブームとなった現代思想の遺産を、「若干の分析装置」として今に活かそう、という少しシニカルなトーンで、日本のポストモダンの「雑種性」を、非常に多角的に解説しています。
本書の姉妹書といえる「アメリカ現代思想」には、「リベラリズムの冒険」という副題がついています。自由を唱えるだけでは持ちこたえられなくなったアメリカが、さりとて自由の旗を下ろすわけにはいかず、いかにストレスなく「再配分の装置」をソフトランディングさせるか、というのが、リベラリズムが対峙してきた課題なのかな、と個人的に理解していますが、そういった「冒険」が不可避だったアメリカに比べ、日本にはそのような真剣に対峙すべき課題がなかった(あるいは、見て見ぬふりをしてきた?)ことが、「思想ごっこ」の域を超えなかった要因ではないか、と思いました。
本書では、丸山眞男や吉本隆明、廣松渉から、栗本慎一郎、柄谷行人、浅田彰などが、どのような立ち位置であったのか、日本社会でどのように捉えられたか、非常に丁寧に解説されています。索引も付いており、私は辞書的に使っています。本書をきっかけに、「共同幻想論」「忠誠と反逆」「日本の思想」「世界の共同主観的存在構造」「パンツをはいたサル」といった書籍にも手を伸ばしました。本書には「ポストモダンとは何だったのか」という、疑問形の副題が付されていますが、「雑種性」ゆえに、そのように問わざるを得ないポストモダンの概要が、よく理解できました。

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2007/01/12 18:52

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2007/01/15 10:23

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2007/01/27 22:50

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2007/03/10 11:31

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2008/01/23 12:20

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2009/02/03 21:26

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2010/06/03 13:46

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