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本書は、著者にいる講演会録、雑誌等の掲載文、論稿の再録等、比較的短い論を集めたものであり、それだけ読みやすいものとなっている。
一番最初に感じたことは、大学経営・高等教育政策は、日進月歩、常に改革の連続だということだ。なぜならば、本書に書かれている改革懸案項目が、大学関係者にとって既に「あたりまえ」の活動となったからだ。本書の主題として繰り返し述べられているタームは、もはや特別な専門用語でなく、日常的に使う普通の語になったのではないか。
しかし、個人的には、「自校(史)教育」については示唆に富んでいて、新たな業務の視点を得た気がする。「自校(史)教育」は、今では多くの大学で実践され報告もいくつかあるし、諸答申でも話題になっているし、建学の精神を学内外に示すこともアクレディテーションの基準の1つにもなっている。著者が指摘するのは、この精神面を強調すると、冷静な学生が現状とのギャップに不満を覚えるようになる。そこで終わらないよう建設的な方向性に仕向けるべきだという。地道だが今の時代だからこそ実践を心がけることなのだろう。