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絵巻水滸伝 第5巻 天魁星受難 みんなのレビュー

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紙の本

天命を得て宿運に遇う

2007/01/12 20:51

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:こちゃまる - この投稿者のレビュー一覧を見る

 李逵と張順の喧嘩から石秀一行が祝家荘で悶着を起こすまでが収められた絵巻水滸伝第五巻。いよいよ宋江が梁山泊入りを遂げる巻であり、梁山泊がまさに梁山泊として動き始める水滸伝の大転換点である。ただ、この絵巻水滸伝においては宋江の梁山泊入りではなく、李俊ら江州勢が三覇と称されるようになるまでの話が大きく取り上げられている。
 本巻における三覇の覇権確立の話は幇の争いを絡めた武力闘争として描かれている。武力闘争の方はいつもながらの水滸伝で特に目新しいものがあるわけでもなく安心して楽しめる部分だ。そして目新しく面白いのは三覇それぞれを江州に数多くある幇の一つとして描き上げた点。絵巻水滸伝においての幇は幇会と同義とされ、第二巻の用語辞典にて『中国の秘密結社。土地や武術の流派、業界ごとに作られる。乞食が作る丐幇など全国規模の大きな幇会もあり、仲間になればさまざまな庇護が得られる。幇会ごとに入会の儀式や暗号、厳しい掟が定められている。』との説明がある。
 三覇の幇は香港台湾上海などの今日における幇と凡そ同じ、武力をもった私的経済特区を取り仕切る集団とされ、これは言うまでもなく反体制側の集団である。反体制だからといって幇の縄張り内が血生臭いものであるかというとそういうものでもなく、富の集積が体制側の望まない形で行われているだけのことである。そもそも経済圏は政治的な統制を嫌って成立するものであるから驚くようなものでもないだろう。李俊ら三覇がその私的経済特区において捌く主な品物は塩。中国では前漢武帝以降、批判を絶えず受けながらも塩鉄専売が辛亥革命まで続けられており、塩は官に拠らず取引されること自体が罪となる。その罪はたいそう重く犯したものは死刑。つまりそれだけの富を塩取引は生むのである。
 武侠が武侠集団になるには資金が必要で集団が組織化されるなら尚更のこと。宋江が梁山泊入りして梁山泊が組織化された武侠集団として始動する今巻において、その行動の資金源となりうる経済的側面を作品内に取り入れたことは実に素晴らしい。湖北省は岩塩が豊富で長江を上った四川省は昔から製塩が有名であるが、『解州の塩』を選んだところなぞニヤリとする読者も多かろう。残念なのは三覇の話を重厚に描いてしまったせいか、宋江救出のため晁蓋以下梁山泊の好漢たちが刑場に討ち入る場面が華々しさに欠けてしまったところだ。塩の取引制度をあまりに絡めると機構的に過ぎ本筋である英傑達の活躍が曇ってしまうところだが、女性を絡めて上手く浪漫譚に纏めた辺りは見事と手放しで誉めるほかないだけに惜しい。今後の期待大である。

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