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紙の本
大切な何かを思い出させてくれる物語
2007/02/10 23:13
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:りん - この投稿者のレビュー一覧を見る
どんな犠牲を払うことになっても自分より相手を優先させる。もしくは相手の立場を思いやる。
今の世の中からは消え去りかけている自己犠牲。
今回のヒロインはまさにそれを実践していて、現実の世界に生きる私達に、そんな「人間らしい美徳」を思い出させようとしているようにも思えました。
そして、真摯な思いはいつか必ず報われるのだと・・・。
個人的な印象でいえば、ライトノベルというジャンルは気軽に読める、深い意味など考えずに読むものですが、このシリーズに関して言えば、ライトノベルという形をとっていながらも、読む人が一瞬立ち止まって、「今の世の中本当にこれでいいの?」と考えさせられる設定が沢山あります。
だから楽しみながらも何か大切なことを思い出させてもらっている気がします。
今回のヒロインは前作ヒロイン「聖痕の乙女」タージュの義理の姉。婚約者エルリックのお兄さんの奥さん(ちょっと複雑)ですが、二人の心がお互いへの想いを取り戻してゆく過程は悲しくて優しい物語でした。
「聖痕の乙女」というある意味特殊な存在ではなくても、人はすべて自分の物語をつむいでゆくのですね。
そして最後はハッピーエンド。これもまた癒しの物語の定番です。
この本には、「とこしえの薔薇」と別に、タージュの夫エルリック(この時点では結婚してる)の親友にしてシルヴィアナ王国の王太子殿下が主人公の短編も入っているので、副題「ブノス異聞」にふさわしくブノスが舞台のサイドストーリーが2つ楽しめます。
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