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本書は、マーケティングの概念からはじまり、消費者行動を考え、広義での製品のデザイン、価格の考え方、広告や消費者からのフィードバックなどのコミュニケーションデザイン、流通させ方のデザイン、そして、サービス業のマーケティング、消費者と企業のあいだで関係性を築くリレーションシップ・マーケティング、最後に、ブランド構築のブランド・マーケティングでひととおりざっくりと学べます。顧客生涯価値やブランド・エクイティなど専門用語も盛りだくさんで、それらをキーワードにいろいろ検索すると、知見に幅が出そうですし、そういった言葉を知っておくだけで、自らの今後の選択肢が増えていくでしょうし、意味をちょっとわかっているだけでも、持ち合わせる視点が増えるでしょう。この本を起点に、何冊も焦点を絞った本が生み出せることがわかります。それだけ、広い分野です。お金が絡むだけあって、それだけ必死に掘られてきたんじゃないかと思うくらい。ただ、まあ、マーケティングの手法や視点といったものには、消費者にバレていないものだとして裏側で考えるものだというスタンスを感じます。だから逆にマーケティングは周知のものとしたほうがよくて、みんながわきまえているという前提で、そこから何ができるのかが大切じゃないのか。そこにこそ、世の中を豊かにしていく鍵が眠っている気がしませんか。「ここまでこうやってお客様の事情にあわせて弊社の商品を勧めるのは、顧客生涯価値の視点やリレーションシップマーケティングの観点から行っている、と言えるものではありますが、それよりずっとお客様視点というものを大事して、お客様に満足し喜んでいただくことが豊かさの創造でもあり、重視しているのです。」というほうが、モノとして存在しない無形のものを生みだすことだとしても、働く人はみんなクリエイターになれますよね。「そんなきれいごとを!」なんて冷たく、あるいは興奮しておっしゃる人もいるでしょうが、それでちゃんと回るんだから、わざわざ汚くしなくていいぶん、よくないですか。