サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

e-hon連携キャンペーン ~5/31

hontoレビュー

ほしい本の一覧を見る

沈黙のフライバイ みんなのレビュー

文庫 第39回星雲賞 日本短編部門 受賞作品

予約購入について
  • 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
  • ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
  • ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
  • 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。

みんなのレビュー51件

みんなの評価4.2

評価内訳

47 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

前へ進め!僕ら。宇宙へ

2007/10/05 23:21

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る

フライバイ、孤独な言葉だ。通過。太陽系を通過するマイクロマシンの艦隊、それは霧のように来たりて過ぎ去る。それが人工物だと分かっていても、コミュニケーションは不可能なのか。然り。まったく異なる文明間のそれは必ず限界があることはS.レムの諸作に示される通りと思う。だが哲学、観念の世界と、現実にはまた違う様相がある。例えば電波を探知し、コード化し、解読できるものとできないものに分ける。それだけ。まずやりたいこと、出来ることをやってみる。多くは望まなくていい。たったそれだけで、新しい世界が拡がり始め、孤独はいくらかの共感に取って代われる。考えるのはそれからでも遅くない。理屈は手を動かしてから言え、寝言は寝て言え。技術者という立場での一つの倫理基盤であり、プラトン、アリストテレス的なものとはまったく異なる思想。独自性においても、現実の成果においても日本が世界に誇るべき思想だろう。それを小説という形でもっともよく表現し得ているのが、この野尻抱介だ。
表題作は、宇宙航空研究開発機構の一介の研究員がその担い手として、地道に淡々と、内心は熱く滾りながらそれを表現してくれる。「大風呂敷と蜘蛛の糸」ではそれは大学院生と研究チームが主役。こちらは凧で宇宙(といっても成層圏の少し上の中間圏まで)を目指すという、斬新だが、おそらくほんの少しの技術的飛躍と、予算獲得によって実現可能な夢のプロジェクト。巨大ロケットによる月や火星への旅に比べればささやかな冒険だが、最高の叡智と勇気が詰まっている。
「ゆりかごから墓場まで」では、生化学で人間の生存環境を培う新技術の開発者はタイのベンチャー企業、それを活用する主人公はインド人技術者というのも、近未来の世界のあり様を示唆している。この技術は宇宙とむちゃくちゃ相性がいいわけだが、それゆえにかえってインドの火星移住プロジェクトの悲惨さは目を覆うばかり、いや、ここは笑うところだろうか。とにかくプロジェクトはうまく進んでいるのだから。もちろん試練はある。技術者魂爆発の展開は快感。
「轍の先にあるもの」は一転、老境にあるSF作家の小惑星の地表を写したたった一枚の写真に対する懐古、そして時代は変わり、彼自らがその地に赴くことになる。時代の進歩の速度とともに、ノスタルジーの形も変っていくというところが興味深いのでおじゃる。
こういった作品で、テーマがみな宇宙開発に関わるものなのは、そりゃ作者も僕らも宇宙が好きだから。ガガーリンの時代なら、大人になったら宇宙飛行士になりたいというのは、人類でたった一人しか選ばれない、文字通りの夢と言える夢とだったけど、半世紀が過ぎて、今や努力でいくらでも叶えられる現実的な目標になっている。1000人でも1万人でも宇宙は受け入れてくれる。ちょっとしたブレイクスルーで、辿り着ける距離はどんどん伸びる。そういう移り変わりのリアルを映し出している希有な作品集だ。そして観念の世界では近くても、生身の人間にとっては広大無辺な太陽系世界の最良の案内人でもある。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

2007/03/26 16:13

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2007/05/10 00:57

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2008/03/18 14:25

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2012/01/05 01:28

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2008/12/03 01:33

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2009/07/10 00:36

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2009/07/29 08:50

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2009/11/01 20:00

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2010/05/24 17:31

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2010/05/04 23:25

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2010/06/20 21:31

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2011/06/04 09:10

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2011/06/15 17:24

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2007/06/30 11:18

投稿元:ブクログ

レビューを見る

47 件中 1 件~ 15 件を表示
×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。