紙の本
本格ミステリーとは呼べないが、主人公たちの人生の苦さはある程度心に響いた
2007/04/07 20:35
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る
5つの異国を舞台にしたクライム短編小説集。
「ミハスの落日」。アンダルシアのある大富豪に招かれた男。他界した母とこの老人の過去には未解決の殺人事件が絡んでいた…。
密室犯罪と呼ぶには真相が少々強引で、作者自身も「あとがき」で、「まともに書いていたら噴飯もの」と謙虚に認めています。そのために「背景を作り込む必要が」あったといいますが、私はあまり心引かれるところがありませんでした。
「ストックホルムの埋み火」。岡惚れした女性客につきまとうビデオショップの店員。ある日彼女が他殺体で見つかる…。
読者を惑乱させる騙し絵のような展開は悪くないと思いました。その仕掛けに私は途中で気づきましたが。
事件そのものよりもむしろ、最後の1行にニヤリとさせられたというのが正直なところです。こういうのが好きな読者は結構いるのではないでしょうか。
「サンフランシスコの深い闇」。過去三度の結婚相手が次々と事故死して多額の保険金を受け取った女性。彼女は果たして連続殺人犯なのか…。
「あとがき」によれば別作品の姉妹編にあたるものだとか。そしてまたこの物語の後にも続きがありそうなエンディングが気になります。
「ジャカルタの黎明」。娼婦連続殺人犯は一体誰なのか…。
筋書きよりも次の言葉がずっと心に残りました。
「選ぶのは勇気がいるよな。じゃぁ勇気を出す秘訣を教えてやろう。選ぶ前にひとつだけ、決めておくんだ。絶対に後悔はしないってな。どんな結果になっても、意地でも後悔はしない。後悔さえしなければ、選ぶのはもう怖くないぜ。」
「カイロの残照」。アメリカ人女性旅行客のガイドとして雇われた男が辿る末路は…。
事件の真相こそさほど驚きを与えるものではありませんでしたが、この事件を生んだ過去と、事件によって生まれた未来の苦さは私の口の中に残りました。本書収録作品の中ではこれが最も印象深いものでした。
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スペイン、サンフランシスコ、ストックホルム、ジャカルタ、カイロを舞台にしたミステリ短編集です。派手さはないけれど、2重、3重もの謎がある極上のミステリといったところです。(2007/5/3読了)
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スペイン(子供による密室殺人)
ストックホルム(ストーカー殺人)
サンフランシスコ(保険殺人,犯人は子供)、ジャカルタ(娼婦の連続殺人犯は娼婦)、カイロ(カードスキミングをしていたツアーガイドを復讐)
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小説ならではの手法に、え?あれ?なんで?とページをもどしてしまいました。
なるほどー。
短編集。
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突然の呼び出しは、面識のない相手からだった。名前だけなら誰でも知って
いる会社の創業者で財界の実力者。不可解な思いを抱きつつ訪問すると、
年老いた紳士は、ある事件について語り始めた。私の母が関わっていたと
される、三十年以上も昔の、信じがたい密室殺人の真相を……。表題作他、
五つの都市に響き渡る、五つの悲鳴。
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外国を舞台にした作品だけを集めた短編集です。
正直外人名って覚えるの面倒で誰が誰だかわかんなくなるので
普段、海外作品読まないから短編じゃなかったら読めなかった(-o-;
最初「ミハスの落日」を読み始めてすぐにあれ?
この設定知ってると思い、読み進めて『パコ』という登場人物が
出てきて確信にかわりました。ただどこで読んだのか・・と調べると
【大密室】という何人かの作家さんの作品を集めた本ででした!
あースッキリ(笑)
オチが読めたりもしたけどトータル面白かったです。
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五つの都市に響き渡る、五つの悲鳴。(新潮社HPより)
海外を舞台にした短篇ばかりが収録されています。
(「ミハスの落日」「ストックホルムの埋み火」「サンフランシスコの深い闇」「ジャカルタの黎明」「カイロの残照」の5篇)
海外小説を翻訳したような文体を意識しているぽいです。
どのお話も貫井徳郎らしい企みが張り巡らされていますが…
海外を舞台にしたせいか、世界観をキッチリ構成しすぎていて、それぞれ余白がなくて小さくまとまりすぎというか、それをひとつにまとめちゃったものだから、全体的にごちゃごちゃしているというか、なんか窮屈。
海外を舞台にする必要性はあったのかなあ…日本を舞台にしていれば、短篇らしい余白も生まれて、もっと読みやすかったんじゃないかと思います。
あと、それぞれの舞台となる都市はバラバラなのに、落としどころが似た話が複数あって、最後の一篇を読み終わって、「またそのパターン?」…
そういう「パターン」が嫌いなんじゃなくて、むしろそういうのが好きなくらいなんですが、貫井徳郎のその「パターン」を一番楽しめるのは、やっぱり長編でじっくり読んだときだとおもいます。もちろん短篇でも悪くないけど、何篇も同じようなのを続けて読むと、さすがに「またそのパターン?」…
貫井徳郎は好きだし、この短篇集も、ひとつひとつはすごく完成度がたかくて読み応えがあると思います。
書いた年月がばらばらのようなので、そういうのを集めてバランスのいい短編集をつくるのは難しいと思いますが、今回は「海外を舞台にした」っていうくくりに拘りすぎてしまったのでは…。
この5篇でいくとしても、私なら「ジャカルタの黎明」と「カイロの残照」は並べない。
ひとつひとつは、面白かったんだけどなあ。
あと、あとがきもいらなかった。
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図書館で借りたもの。
外国を舞台にしたミステリ短編集。地名も人名もカタカナなので読むのに気合いるかと思ったのですが、そうでもなかったです。わりとさらっと読めて、面白かった。
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2009.1.4
「ミハスの落日」・・・スペイン
「ストックホルムの埋み火」・・・スウェーデン
「サンフランシスコの深い闇」・・・アメリカ
「ジャカルタの黎明」・・・インドネシア
「カイロの残照」・・・エジプト
それぞれの都市を舞台にした短編集
どのお話にもやたらと『美人』が登場し、それが物語に大きく影響している。
というか、主人公がそれに囚われる。
特に、ストックホルムのお話は、パッとしない男性が美人を好きになり、
なぜ容姿のいい男ばかりが好かれるのか、というようなことで嘆くけれど、
そういうあなたはどうなのよ、という感じ。なんだかなぁ〜
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海外の都市を舞台にしたミステリ短編集。それぞれの都市の雰囲気も味わえるなあ。
お気に入りは「ジャカルタの黎明」。このオチは分かったけれど、動機は読めなかったなあ。なんとも悲しい動機という気もするけれど。そして不思議と後味は悪くない。
「サンフランシスコの深い闇」もなんとなしに展開が読めたけれど、印象に残った作品。もはやこういうのが「ありえない話」じゃなくなっているのが怖い時代です。
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「ミハスの落日」
「ストックホルムの埋み火」
「サンフランシスコの深い闇」
「ジャカルタの黎明」
「カイロの残照」
と5編を収録した、外国を舞台とした短編ミステリー集。
ミステリとしてはごく軽いけど、
異国情緒もあってすいすい楽しめる。
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(収録作品)ミハスの落日/ストックホルムの埋み火/サンフランシスコの深い闇/ジャカルタの黎明/カイロの残照
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ストックホルムの最後の一行に大喜び。あとがきに何か書いてあるかしらと思ったら、残念ながら昔読んだ本を読み直してというコメントが次の話のところにあっただけなのが残念。実は主人公の一人の父親の描写がやけに細かったので、トリックには気がつかなかったが、こっちに気がついてしまった。話にも出ている主人公の姉の名前はイングリッドである。
最後に他の話も面白かったことも付記しておく。
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5本の話、それぞれに舞台の国の違うミステリー。
割と派手に動く人物たちを考えると、日本でないのは正解かな。
「サンフランシスコの深い闇」・・・3度目の夫の死 と、
「ジャカルタの黎明」・・・娼婦連続殺人 が好きでした。含蓄の多くて
人の死ぬものだけでないけど、皮肉が効いた話が多いかも。
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外国が舞台の短編集。1作目がいまいち乗らなくて、なかなか読み進められなかったけど、2作目以降は面白かったな。お気に入りは「サンフランシスコ」です。