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紙の本
バカばっかり書いてあるからと言ってバカにしてはいけない。
2009/05/15 23:22
10人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yama-a - この投稿者のレビュー一覧を見る
穂村弘という人のことは実は前々から気になっていた。とは言え、この人は歌人である。ということはその作品は歌集である。俵万智とか林あまりとか、まあ、長い人生、買った歌集も何冊かはあるが、さりとてそんなに手当たり次第に買ってみる類の書物ではないしなあ・・・。
などと、思っていたら、この本に出会った。本屋で見つけて(そう、今回は bk1 で買ったのではない)適当にパッとめくったら、いきなりこんな文章に出くわした。
初めて女性をホテルに誘おうとするとき、緊張する。
(「性的合意点」の冒頭、p36)
なんだ、この素直と言うか、直截と言うか(笑)
やっぱり思ってた通りの人である。──という訳でレジに持って行った。
愛の文集である。それももっぱら性愛の──。しかも、笑える。
どう考えてもネタっぽい話の連続なのだが、まあ、確かにネタっぽく語ってはいるが、世に言うネタではないと思う。作った話でも誇張した話でもない。ただ、多分に自分を戯画化した話ではある。彼のこの一貫した態度があるからこの本はこんなに面白いのである。
しかし、よくもまあ40歳過ぎて、こんな中学生みたいなドキドキ・ハラハラ感を女性に対して持ち続けられるもんだと半ばあきれながら、実は読んでいる僕と非常に近い面があり、分析も深く表現も巧みなので、読めば読むほど笑って感心して親近感を深めるのである。で、その、僕と近い面とは如何なる面かと言うと、それはひとことで言える──自意識過剰である。
それを著者は恥じたりはしない。もし、そのことに引け目を感じているとしたら、それは「自意識過剰だと女性にもてないのではないか?」と感じたときだけである。
この本の中にも似たようなことが書いてあるのだが、自意識過剰こそがむしろ愛の源泉なのである。
それにしても、彼女から「このフタ、固いの。開けてくれる?」と頼まれたときに「彼女の握力<私の握力<フタの固さ」だったらどうしようかと考えてさっと緊張する(「男子力と女子力」、pp133-134)なんて状況描写と考察はどこから出てくるのか、そして、なんと適切で面白い例だろう!
さすがに短詩の作家だけあって、それぞれの文章の締めの1行には得も言われぬ切れ味がある。バカばっかり書いてあるからと言ってバカにしてはいけない。案外恋愛の神髄とはこういうところにあるものなのである。
by yama-a 賢い言葉のWeb
紙の本
この面白さは中々ない!!
2007/05/28 12:53
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:由季 - この投稿者のレビュー一覧を見る
これはダ・ヴィンチに連載されている「もしもし、運命の人ですか。」をまとめたものです。
雑誌でほとんど読んでたのですが、このエッセイの雰囲気は絶品。まとめて読みたくなって借りました☆
しかし、このエッセイの面白さは中々表現し難いものがあります。
ゲラゲラ笑えるとかでもなく、シュールかというとそうでもなく、なんというか…「そういうこと」を、「そういう切口」で書く人って中々いないよなぁ。と言った感じです。
そういうことというのは、ありがちな話題なんだけど、この作者にかかると、ありそうでなさそうな題材になるということ。
例えば、自分の車を運転するスキルについて語る章では、作者は運転が物凄く下手で、駐車が出来る駐車車が限られている。
横浜へ行くにも最寄りは東京駅のコインパーキング。(そこから電車)
四ッ谷に行くにも、東京駅のコインパーキングへ駐車(笑)
女の子に、車で来てると知られれば「わー☆送ってぇ♪」と言われ、その女の子の家が東京駅にありますようにと祈る作者(笑)
あーこの感じを伝えるのは難しい!!
とにかく弛くて面白い一作なので、是非読んでみてください!
紙の本
穂村弘さん以上? 以下?
2011/02/14 08:15
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
歌人穂村弘さんの「恋愛エッセイ」です。
このエッセイには、穂村さんご自身の恋愛体験やまわりの人々の恋愛風景が小気味いいタッチで描かれています。読者自身が「なるほど」と感じるか、はたまた「???」と首をひねるか、それはその人の恋愛体験に因るのではないかな。
あなたは穂村さん以上? それとも穂村さん以下?
穂村さんはかつて女性からこんなことを云われたことがあるそうです。
「誰もことも、一番好きな相手のことも、自分自身に較べれば十分の一も好きじゃないよね、あなたは」って。
この文章を目にした時、びっくりしました。同じようなことを云われたことがあったからです。この文章がおさめられているのは「恋と自己愛」。このような言葉って結構使われたりするということは、自己愛に陥る男性も多いのでしょうね。
そう云われて穂村さんがどう答えたのかは書かれていませんが、そういうさりげない日常のなかで恋愛とか自分自身とかを見つめることはたくさんあるのだと思います。
書名にある「運命の人」が本当にいるのかどうかはわかりませんが、少なくともそういう存在を信じていたいものです。それは、いくつになっても、と急いで書き足しておきます。
◆この書評のこぼれ話は「本のブログ ほん☆たす」でお読みいただけます。
紙の本
初めて会ったそのひとは。
2007/07/13 22:29
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オクヤマメグミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
歌人でもある著者のエッセイ集。
これを読むまで実は著者の作品を読んだ事がなかった。
何故か名前だけを知っていて、ずっとどんな人なのだろう…と思っていたのである。
ようやく巡りあえたその人は、とても純粋でかわいらしいひとだった。
巻末のプロフィールを見て愕然とする。
少年みたいな中年じゃないか!!
そんな著者が主に恋愛について考えまくる。
針小棒大。彼はささいなことでこんなに考えるのだ。
行動を起こす前に悶々と悩んでタイミングを失ってしまう事も、余計な誇大妄想で夜を過ごす事も、その世界の果てしない広がりに感心すらしてしまう。
目次を眺めるだけでも楽しい。
何よりも本書のタイトルにやられてしまった私だ。