紙の本
権力は腐敗する、絶対的権力は絶対的に腐敗する
2011/03/26 11:16
6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Genpyon - この投稿者のレビュー一覧を見る
「権力は腐敗する、絶対的権力は絶対的に腐敗する」という前提から、だから、国家権力に余計なことをさせないために憲法を定め、憲法で権力を縛る。著者は、そんな立憲主義を軸に、国家権力観や人権観から愛国心や平和主義までの多様な内容について、本格的な憲法論を展開している。
憲法の話は、一般的には「とっつきにくい」と思われているが、著者は、キムタクやサザンの桑田さんからイチローやパタリロまで、憲法とは直接関係のない登場人物をテーマごとに登場させ、まずはとっつきにくさの敷居を下げてみせる。さらに、全体をフランス料理のコースに見立てるという凝った構成である。
こういった凝った構成が企画倒れになってしまう例はたくさんあるが、本著では、たとえば、イチローには立憲主義が要請する個人主義、といった具合に、各登場人物が立憲主義の各テーマにうまく割り当てられ、とっつきにくい憲法論をわかりやすく伝えてくれている。しかも、その内容は本格的であり、各テーマとも文量としてはコンパクトにまとめられているにも関わらず、読みごたえがある。
立憲主義は「国家権力を憲法で縛る」と一言であらわすことも可能だが、すべてのテーマは、きちんとそこに立ち戻り、そこから説き起こされる。あくまで原理原則に忠実に、そして、あえて理想論を現実論に優先させる、そういった爽快さを本著からは感じる。
理想論を語ることは「甘い」「青臭い」と言われがちだが、本著の理想論、特に憲法9条についての理想論は、個人主義的な強さを前提としており、甘さは微塵も感じられない。逆に、はたして自分にその強さがあるのか、そんなことを考えさせられる著書だと思う。
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憲法とは何か。憲法改正論が話題になっているが、多くの点で誤解されている。そのような点をつぶさに挙げながら、平易な文章で憲法論を語っている。
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身近なテーマに例えて説明してくれようとしたのはわかるけど、フツーに逆効果。タイトルから期待するよりずっと浅い;つまんなかったー(口を慎め)
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冤罪の構図 江川紹子 してもらう主義 してもらう主義は、自分の身体のことまでもお偉いさんに決めてもらって、僕たちの身体が本来持っている生命力を奪い,社会性を奪う 私の根本思想 新潮社 山口瞳
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(「BOOK」データベースより)
憲法は、国民をまもってくれる「頼れる見方」で、国民はみんなが従うべき重要なルールである…。僕らはこう考えがちだけど、答えはNO!である。憲法とは、国家=権力に余計なことをさせないための規範である。人権は国家=権力に余計なことをさせないことでまもられる。そのためには、国民は自立した個人であることが求められる。改憲勢力は、この憲法の根幹を大きく変えようとしているのだ。問題は9条だけではない。みずみずしい筆致で描く新しい憲法論
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小難しい憲法の理論をビストロのように庶民的にわかりやすく語るという趣旨の本。「憲法は国民が従うべきもの」という誤解を解いている。
国民主権とか平和主義とか基本的人権の尊重という点は置いといて、勉強になったのは個人主義に関する著者の見解。
「個人主義が行き過ぎて他者を尊重できない自分勝手な人間が増えた(だから憲法にいろいろな義務を列挙して守らせるべきだ)」というウンザリするほどステレオタイプな意見がよく聞かれるが、個人主義が浸透していないからこそ他者を尊重できないと著者は喝破する。
これは自分で何とかできないことや面倒なことは他者にお任せ(ここではするという傲慢な「してもらう主義」である。その極致はヒトラーに全権を委任したナチスドイツ。
あと、「社会の恩恵を受けているのだから、黙ってルールに従え」というのも傲慢である。例えば当書では九州某県の中学校で丸刈り強制の校則が存在した。これが裁判沙汰になった際、「理不尽であっても、ルールである以上従え」という権威主義的とも取れる意見が相次いで新聞の投書で取り挙げられた。
個人主義にしろ、丸刈り強制にしろ、国民が分かっていないのは「憲法は国民が従うべき法ではなく、国家権力から国民を守るもの」という立憲主義の考え方である。
『憲法と平和を問いなおす』よりはわかりやすい。内容はそっちの方が充実しているが。
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憲法とは何か、何のために存在するのかという最も根源的なテーマについて、豊富な実例を挙げながら専門外の人にもわかりやすく解説している。いろいろなトピックを挙げて説明しているのは、「憲法とは国家=権力を縛るためのものであって、個人を縛るものではない」という原則である。この本を読むまでは自分も”クルリン”の仲間だった。憲法とは共同体を形成していくために個人が守るべき指針や責務のようなものだと考えていた。良書。
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憲法一つ一つを審議する本じゃなくて、憲法に対してのスタンスを教えてくれる本。
身近な話題から入れてすごく勉強になった!
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「わかりやすさ」意識してかサブカルに絡めて憲法を論じているのだが、これが逆効果になって冗長で非常に読みにくい。正直苦痛ですらある。