紙の本
問題点と、その解決に挑戦するの数学者の意気込みの雰囲気だけは、感じ取ることができた
2008/04/10 21:33
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
これまで位相幾何学の門は眺めても、門をくぐったことはない。この本の内容についても、位相幾何学の研究の歴史に関する各数学者の研究内容や業績に関する部分については、理解はできなかった。また、近代数学の大きな研究分野である多様体に関する部分も、理解できなかった。しかし、その時代時代における問題点と、その解決に挑戦するの数学者の意気込みの雰囲気だけは、何んとなく感じ取ることができた。素人としてはそれで十分ではないかとも思う。
本書には、数学の解説と数学者の伝記、文化、歴史の話が入り混じっている。この本の主題は、1904年のポアンカレの位相幾何学に関する五番目の補稿の末尾の問い、すなわちポアンカレ予想を、2006年に解いたロシアの数学者グレゴリー・ペレルマンにつながる数学史、である。位相幾何学が作られる背景として非ユークリッド幾何学があり、さらにその背景として平面幾何学としてのユークリッド幾何学がある。そこでこの本では、ユークリッド幾何学の成立とその問題点から位相幾何学の発展の歴史を解説している。位相幾何学と幾何学について、地図から地球の形を推定する方法などの、面白い比喩をいろいろ使って説明している。
ポアンカレ予想は2000年に百万ドルの懸賞金のついたミレニアム問題となり、数学の門外漢にも有名になった。又、ペレルマンが数学者の最高の栄誉であるフィールズ賞の受賞も、百万ドルの懸賞金も断って、消息不明になったことも、日本の新聞等でも報道された。放浪の天才数学者エルデシュや日本の岡潔のように、世俗の欲とは無縁な人が、数学者には多いようだ。欲まみれの俗人には、それが魅力ともなる。
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これもすごい!! 宇宙の形がわかるなんてシンジラレナイ。宇宙空間である方向に向かって果てしなく飛んで行くとまた同じところに戻ってくるんだそうです。 すごすぎる…涙。この話が信じられない人は地球が丸いって信じられなかったコロンブスの時代の人と同じなんだってさ。でも厳密には人間は3次元動物だから、(恐らく)4次元で表現される宇宙の形を見ることはできないんだって。残念だなぁ。ポアンカレ予想を解いたグレゴリー・ペレルマンは金にも名誉にも興味がないって言ってます。ほら、やっぱりね。さらにさらに、大数学者ユークリッドは、幾何学を学ぶ実用性を問うた弟子についてこう言い放ったそうです。「あの小僧に小銭をくれてやりなさい。あいつは、学んだことを何としても金儲けに利用したいようだから」(76項)。さすが天才はちがうわ。因みに、本の構成はサイモン・シンの『フェルマーの最終定理』とよく似ているけど、それと比べるとだいぶ専門的で俺にはわからないところが多かったなぁ。だから★4つ。やっぱり俺は文系か。。。
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ペレルマンによる解決は、リーマン~ポアンカレ~ミルナー~スメール~サーストン~ハミルトンと連綿と続く数学研究の流れのなせる業だった。2006年8月、フィールズ賞受賞を辞退したペレルマンを、2003年4月のMITでの歴史的講演から追ってきた数学者オシアが描くストーリー
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ユークリッド幾何学と非ユークリッド幾何学の違いが分かった。小中学校で習うのはユークリッド幾何学なんだね。第5公準(平行線公準)と呼ばれるものから、端を発して、よくこんなことを考え付くもんだなと思う。もしボクが、若いときに読んでも非ユークリッドの考え方は受け入れられなかっただろうと思う。ポアンカレ予想もなんとなくでしか分からないが、宇宙の形について関係しているのは面白い。なんとなくでも、分かるだけの数学の基礎が自分にはあってラッキーだった。読後、ちょっと得した感じ。でも学問っていろんな形でつながってくれるから時々、「はっ」とするなあ。
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ポアンカレ好きを加速させてくれた本。
難解なポアンカレ予想を、なんとなく掴めた気分にもなってくる。
数学者は芸術家に似ている。
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ミレニアム問題として提示されて、すぐに解かれた最初の問題。
ポアンカレ予想を解くための理論を詳細に説明しています。
ポアンカレ予想をどうやって解くことができるかを掴めます。
数学に興味があれば、証明の展開について、道筋が分かります。
数学が専門でなくても、トポロジーという学問が、他の学問と協調して発展してきたことがわかります。
数学のすばらしさを教えてくれる本です。
なぜ、ベレルマンがフィールズ賞を受賞しないかについては、あまり書かれていません。
第15章に、ヤウから訂正記事を出すように要求が出たという紹介が、P306にあります。
フィールズ賞の受賞拒否については、「ポアンカレ予想」という本を参照するとよいかもしれません。
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歴史に登場する人たちは実にドラマチックな生涯を歩んで、中にはそうでない人もいるが、華々しく散ってゆく。それこそ一年がかりの連続ドラマができるほどです。
数学の系譜の中にも同じように様々なドラマが繰り広げられている。といっても、剣や銃で戦うのは稀ですが。(中には恋人を取り合って決闘で散った、なんて人もいるけど…)
この「ポアンカレ予想を解いた数学者」ではポアンカレ予想という数学界ではかなり有名な定理(当時は証明されてなかったので予想)を軸に古代ギリシャから現代までの数学や数学者の系譜を著しています。
ポアンカレ予想は100年ほど前にポアンカレという人が提唱した課題で、100年の間誰も解くことができずについには他の未解決問題6つとともに100万円の懸賞金が掛けられるようになりました。
(詳細は、一松 信 他「数学7つの未解決問題」森北出版株式会社(2002)等を参照。この本は結構難しめに書いてあるので注意)
タイトルにある通り、2003年に完全に解かれるわけですが。それまでに様々なドラマが繰り広げられます。
例えば、・地球は本当に丸いのか・戦争に巻き込まれる数学者たち・予想を解いたペレルマンのフィールズ賞の辞退
センセーショナルに書き立てられる事柄の裏に人々の生き様を見ることができます。
「私が書くのを楽しんだのと同じくらい、読者にもこの本を読むことを楽しんでほしい。」というのは、まえがきに書かれた著者の言葉です。数学が中心の本ですがあまり分からないことに拘らず、大河小説を読む気分で読んでほしいと思うのです。
(ラーニング・アドバイザー/ IIJIMA)
▼筑波大学附属図書館の所蔵情報はこちら
https://www.tulips.tsukuba.ac.jp/mylimedio/search/book.do?bibid=1302048
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ポアンカレ予想とは、「多様体の基本郡が単位元であれば、その多様体は3次元球面と同相である」という命題である。数学を専攻しなかった人の為にいくつかの専門用語の解説をする。・多様体 局所的にはユークリッド空間と同相である連続した図形。球面や、平面などが代表例。・多様体の基本郡が単位元 その多様体の任意のループが一点に収束すること。・ループ 多様体上の一点から出発し、そこに帰ってくる曲線のこと。・ループが収束 多様体のループをヒモだと考えたとき、このヒモをどこにも引っかかることなしに引き寄せられること。球上の任意のループは、引っかかることなしに引き寄せられるので収束する。2次元トーラス(ドーナツの表面)は、真ん中の穴を周回するようなループが存在するため、ループは収束しない。・3次元球面 二つの向かい合う球面(2次元球面、普通の球面)の対応しあう点を同一とみなすことで造られる多様体。この内側に入ると、出てこれなくなる。片一方の球の中に入っているところを想像してみよう。その後その球から出るために、球面を突破する。と、もう一方の球の中に入ってしまう。この多様体は、コンパクトな3次元多様体の中ではもっとも単純である。 これでポアンカレ予想の命題自体が何を意味するかわかったと思うが、一応わかりやすく書き直すと「ループが収束する3次元多様体は、必ず3次元球面になる」ということ。20世紀最高の数学者の一人であるポアンカレが残した予想であるだけに、単純ながらも非常に難解である。どうやって解いたらいいのかの糸口さえ見つかりそうもない。事実、100年の永きにわたり、多くの数学者から挑戦をはじき返してきた。もしかすると、この問題はゲーデルの不完全性定理の落し穴にはまっていて証明不能であるのではないかとの憶測も生み出した。 この難問を解いたのがペレルマンというアマチュア数学者である。アマチュアといっても、彼は若いことから超一流の数学者として名をはせ、その後突然引退した。そしてまた突然、この難問の解をネット上に公開し数学会を激震させた。 本書はペレルマンの論文の解説書ではない。この問題がペレルマンの論文により終わりを告げるまでの数学の経緯を綴った歴史書である。 ユークリッドに端を発する平行線公理(ある点を通ってある直線と交わらない直線は唯ひとつだけ存在する)。それを定理として扱おうとした数学者の数々。結局は公理であり、これを否定した幾何は矛盾なく創れることにいち早く気づいたガウス、ボヤイ。これを定式化したリーマン。これとはまったく別の場所で、全く同じことに気づいたポアンカレ。このリーマン幾何学の手法では解決不可能なことを回避するために、ポアンカレによって創始された位相幾何学。その位相幾何学の中の難問中の難問であるポアンカレ予想を位相幾何の手法を使うことなく独創的に解いたペレルマン。 この数学の歴史を知りたい人には、実に興味深い本であると思う。一級品といってよい。しかし残念ながら数学を専攻したことがない人には、難しすぎる。位相幾何を得意としていた私にもいくつかわからない部分があった。もし、読まれるのであれば、そのあたりを覚悟して読んでください。
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この手の本だと、「そもそも何が問題になっているのか」を説明するのが
大変だったりする(その意味ではフェルマーの最終定理は異様にわかりやすい)のだけど、
地球の形の想像から始まって、それを3次元に拡張する、と言う形で、
「そもそもポアンカレ予想とはどういう問題か」ということの説明は
かなりわかりやすい。
そこからペレルマンが証明するまでの数学者の奮闘の歴史が
語られるのだけど、さすがにそこはちょっと辛かった。理論がわからないことも
あるのだけど、人がたくさん出てくるのよね。この辺もうちょっと整理されてると
わかりやすかったかも。
読むのは大変だけど、わからないところは適当に流し読みして分かった気に
なるためにはいい本かも。
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【琉大OPACリンク】
https://opac.lib.u-ryukyu.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BA82388645