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紙の本
文学と演劇からフーコーに近づく
2007/06/06 16:57
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:わたなべ - この投稿者のレビュー一覧を見る
フーコー二度目の来日の際に行われた対談や講演、著書の読解を中心に編まれ1978年に刊行された本に、その後書かれた追悼文と論考二篇と、石田英敬との対談を付した増補改訂版。旧版が出た時は私はまだ十一歳なのでもちろんフーコーのことなど知らないし、この本の存在もずっと意識になく、増補版が出て本屋で実際に手に取ってこれは面白そうだと思い購入した。
で、実際とても面白かった。元本はフーコーがちょうど『知への意志』を刊行した直後で、フーコーの方法論がドラスティックに変容するまさに直前であり、おそらくは日本という西欧から遠く離れた環境でいつになくリラックスし、みずからの仕事について単純化も辞さずに説明するフーコーの言葉にはその著作でのバロック的とも形容したくなるような華麗にして難解な記述からすると驚きを禁じえない。私はいわゆる「思考集成」を二巻までしか読んでいないので、フーコーの講演や対談をもっと読みたいと思った。渡邊守章はフランス文学と演劇からフーコーの思考を多様な問いに向けて解きほぐしていくような誘惑的な文章を書いていて、最近のアメリカ経由の生真面目なフーコー受容とはやはり一線を画した日本独特のフーコー論の面白さを再確認させてくれる。また、そういうことを感じつつも実はあまりきっちり読んでいないしよく知らない最近のフーコー論について、石田英敬が巻末の対談できれいにまとめてくれているので、これはフーコーの入門編としても割合といい本なんじゃないかと思ったりもした。
あと、あとがきで渡邊守章が難病に冒されて病床にあると記されているのは驚いた。せっかく東京に来て彼の舞台も見られるかと楽しみにしていたというのに。残されたマラルメ全集の一巻はどうなるのだろうか、など、いろいろ気がかりだが、奇跡的な回復はやはり難しいのだろうなと思う。
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