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紙の本
もわんとした窒息しそうなよそよそしいぬくもり
2011/10/04 07:45
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:道楽猫 - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんともキモチワルイお話であった。
もちろん、主題は家族の再生なんだろうけども、全然清々しくなく、すっきりしない。
なまあたたかい風がずっと顔に当たっているような不快感。
そう、なんだかエアコン暖房のような、つくりもので、無理矢理なイメージ。
もわんとあったかいけど、窒息しそうでちっともぬくぬくしない。
そいでもってここの家族の食卓が、タイトルにそぐわず、ちっとも幸福な気がしないのはどうしたことだろう。
そうだな。割れちゃったお皿をセメダインかなんかでくっつけて、接着剤のニオイが明らかにしてるんだけど、みんなその事には触れずにニコニコとガマンしながらお料理を平らげる、みたいな。
もしかして、これって、実は家族という形をとったお人形が、そろって食卓を囲んでいるというオカルト話なのだろうかと思ったほどだ。
ああでも。
"家族"って、ひょっとしたら元々そういうものなのかもしれない。
「百鬼夜行抄」という漫画の中に、こんな印象的なセリフが出てくる。
親子だと思っていた男女が実はそうではなかったというくだりで、主人公のお婆ちゃんが
「そうじゃないかと思っていた。親子ってもんは、もう少し遠慮があるものよ。」
とつぶやくのだ。
読んだ当時は、ちょっと腑に落ちない気がしたもんだけど、よくよく考えれば確かにそうなのだ。
親子だから、家族だからこそ言えない、触れられないことがある。
暗黙の了解がまかりとおる狭い狭い領域。
そう考えれば、こういう形の思いやりは、理解できる。
お互いを思い合うが故に、父親は父親をやめ、母親は家を出る。
それもまたひとつの家族の在り方なのだろう。
けどなぁ。
理解できる、ということと、賛同する、ということは別問題であり、私はこういうキモチワルイ解決方法は好きではない。
別に体育会系のノリで
「みんな、もっと腹を割って話そうぜ!」
なんて能天気なことを言うわけではないけれど、何故、もっと単純に夫は妻を抱き締めず、母親は娘を抱き締めないのだろう。どうしてこんなにお互いの距離が開いているのだろう。
うちの夫婦喧嘩は時にとてもヒサンで
夫が星一徹のように卓袱台をひっくり返し、私は醤油差しをぶん投げて応戦し、かべ一面が醤油とカレーまみれになってしまったことさえある。それで
「あんたなんかとはもう一緒に暮らせない!別れてやる」
とお互い喚き倒すのだが、小一時間もすれば、そんなことはすっかり忘れて一緒にテレビを観て笑っていたりする。
子どもたちからすればとってもハタ迷惑な両親だろうが、たぶん夫は自殺しないし私は家出をすることもない。
もちろんべたべたくっつくだけが良いわけではない。
家族にはそれなりに距離もありお互いに秘密もあるだろう。
何を幸福と感じるかも、人それぞれである。
けれど、ムスメの最大の悲しみに、あんな形でしか寄り添えない父親と母親は、私にはとてももどかしく腹立たしい。
少なくとも、私があの家族の一員であれば、幸福な気持ちで食卓を囲むことはないだろう。
電子書籍
終盤は残念な出来。
2020/12/13 10:25
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
「お父さんをやめようと思う」から始まる家族の物語。作者の読みやすい優しいユーモアを交えた文章に引き込まれてどんどん読み進んだ。家族のありようについて結構印象的な言葉がちりばめてある。
ただ終盤は残念な出来。主要登場人物を死なせてしまう という手法は、大きく話を動かすことができるため多くの作家が多用しているが、私はこの手法は安易に使うべきではないと思っている。折角 ふんわりとした雰囲気で進んできた話が、一気にシリアスなものになってしまった。
この作者の力量からしてもっともっとよいまとめ方があったと思う。
電子書籍
思春期の感覚
2018/12/30 15:41
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:はるりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公が思春期の中学時代から物語が始まるんですが、その感じ方というか、友達関係が全てっていう感じとか、懐かしく感じる感情の書き方が上手いなぁ、と思う。
そうだよね、高校生にとってみれば、学校で起きるたった15分が苦痛で仕方ないんだよね。
主人公が、付き合うことになる男の子のキャラがお調子者で、そのふたりのやりとりとか、お兄ちゃんのキャラとか、面白かった。