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大鴉の啼く冬 みんなのレビュー
- アン・クリーヴス (著), 玉木 亨 (訳)
- 税込価格:1,210円(11pt)
- 出版社:東京創元社
- 発行年月:2007.7
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紙の本
舞台は、シェットランド諸島、、地味ながら好作品です。
2008/04/29 17:47
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:読み人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
英国より過酷な気候なのが、その北部に位置するスコットランド。
で、そのさらに北に位置し北海に浮かぶ島こそ、シェットランド・アイランド。
その殺伐とした天気たるや、想造するに難しくありません。
しかも、本作で扱われるのは、その冬。
本作は、そのシェットランド島を舞台したミステリ。
一人の寂しい知的障害を持つ独居老人の家を女子高校生二人が興味本位に訪れます。
その後、そのうちの一人の女子高校生の死体が発見。
その近隣では、数年前にも、少女の行方不明事件があったのですが、、、。
著者のアン・クリーヴスが描くのは、この殺人事件のトリックなどでは、ありません。
彼女が描くのは、このシェットランドアイランドに暮らす人々とその地域共同体。
だれもが、顔見知りでありながら、みんな他人に言えない秘密を抱えて生きている。
他人のことなど、関係ないなどと思いながらも、他人の行動や考えに束縛されながら生きている。
そしてお互いに干渉しあうように暮らさざるをえない。
そんな人間模様が、しっかりと描き出されています。
正に人間関係の縮図です。
著者の筆力も確かで、読後感は、謎解きミステリを読んだというより
味わい深いいい小説を読んだなぁと、いう感じです。
(数年前の少女行方不明事件は兎も角)
本作内のリアルタイムの事件の犯人の設定は、ちょっと反則っぽいですが、正に本格推理です。
翻訳ミステリで本格派というと、
トリック重視の国内のミステリと違い、このような、中間小説っぽい作品をいいます。
派手さはないけど、質実剛健のしっかりした作品です。
紙の本
シェトランド諸島の四季を描く連作、スタート。
2015/11/28 16:10
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る
まるでブリューゲルの『雪中の狩人』の一部を切り取って、より寂しくしたかのような表紙絵と、タイトルがずっと気になっていて。
そしたらこれも<四季シリーズ・四部作>だそうで・・・。
半身浴をしながらちょっと読むだけのつもりが、途中でやめられなくてお湯が冷めました(勿論、お湯を足しながら続行)。
イギリス、ロンドンから北へ960キロの北海海上にあるシェトランド諸島が舞台のこの物語は、イギリスなのにもかかわらず天候描写はほとんど北欧(北緯60度なので当然といえば当然)。
バイキング伝説が残り、本土から来た人間を“イングランド人”と呼ぶ田舎独特の排他性といい、近所の人々のことをみなが知っているような関係性といい、なんだか横溝正史的で妙に親しみを感じる(別におどろおどろしさはないのであるが)。
“REVEN BLACK”という原題も素敵。
が、それ故に読み始めは登場人物の把握に一苦労。 4人の中心人物の視点で事件と町が描かれるのだけれど、名前と関係が把握できるまでは「これ、誰?!」と登場人物一覧表に戻りまくった。 でも把握できたらぐんと進み、だから湯ざめしそうな破目に・・・。 海外物は最初の3分の1が勝負だ!
女子高校生が死体で発見される。 その周囲では8年前に少女が行方不明になったまま今も発見されていない。 これらの事件にある類似点は同一犯の仕業だからなのか。 違うのならば犯人は二人存在するはずだが・・・というのがメインのストーリー。
しかし、町に住む人々の生き方そのものがこの物語の輪郭をつくっていく。
知っている人が自分の思っているような人ではなかった、自分の知らない一面を持っている、というのは当たり前のことなのに、そのことを忘れてしまっているのは何故なのか。そんな事実におののくのは何か事件が起こってから。 つまりはそういう話なのだけれど、それが面白いですなぁ。
こういうのを読むとその土地に妙に親しみを覚えてしまう(行ったこともないし、多分行くこともないのだが)。 なるほど、シェトランド諸島(舞台は本島であるが)の四季を知りたくなってしまうではないか。
紙の本
大鴉が啼く冬
2013/05/24 18:56
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ホームズ - この投稿者のレビュー一覧を見る
物語の雰囲気が良く読みやすかった。小さな町の中で起きた事件で関係者が色んな所でつながっているのが面白かった。過去に起きた少女失踪事件との関連など気になって読むのがとまらなかった(笑)四重奏の第1作ということなので次からの作品も楽しみだ(笑)