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ちょっと興味があり読んでみました。
「渋滞学」より簡潔に書かれているかと思われるが、
数学の話も含まれているので、数学音痴は自分にとっては若干難しいような気がしました。
ただ何となく、
渋滞の起こる事象や理由は分かった気がします。
でもまだまだ研究が足りない分野らしく、
渋滞の解決する画期的な手段はまだまだ未解明とのこと。
そのような方法が見つかったら是非とも実践してもらいたいです。
我々が渋滞解消できる簡単なことは、
・歩きケータイをやめる
・歩きタバコをやめる
・電車の中でリュックサックを背負わない
等があるとのこと。これぐらいは簡単に実践できそうです。
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中学生向きに書かれた「渋滞学」の本。新潮選書版より、さらに分かりやすくなっている。子供だましの分かりやすさとは異なり、大人が読んでも十分に楽しめる。車やアリだけでなく、我々の日常で見られる様々な行列(や人混み)の実例をこれでもかと出しまくっていて、よくこれだけ気がつくものだと思った。
そんな本書の一番の見せ場は、最終章において、公共空間で皆が効率よくスムーズに歩くための個人の心得を列挙しているところである。ここには、科学者としてではなく、行列ウォッチャーとしての西成先生の人となりがストレートに反映されているように思えて、とても興味深い。
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渋滞学を扱ったものの中では、入門書としては分かりやすい良書だと思う。
渋滞を密度と一定時間内に通過する数としてとらえる「基本図」が始まり、数学者のノイマンが提唱した「セルオートマン」のモデル(モデルはモデルであって、実際とは異なるが数式化、データ化がしやすくな)をもとにいろいろな渋滞に対して、科学的なアプローチをしている。
準安定状態、フォーク待ち、電車、踏切、スーパーのレジ、動物の渋滞なども扱っており、渋滞学に興味がある人は、この本から入る方が例示がわかりやすいと思う。理論化が少し進んだほうが、図解雑学「渋滞学」だと個人的には思う。
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セルオートマトンをもっと深く知りたいなと思える本。たまに脱線する部分もあるが、楽しんで読めた。渋滞学は奥が深い。
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なにげなく手にとってみた本だったのだが、意外に内容が面白くてお気に入り。セルオートマトンとか馴染みのある単語が日常生活のイライラ要素(渋滞/行列)に深くかかわっていたせいだろうか。
まだ新しい学問分野らしいのだが、これをうまく(わかりやすく)紹介している一冊。これからこの分野の学問がどのように進展していくか、興味を持って眺めていきたい。そんな気持ちにさせる本でした。
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テレビの渋滞を科学する番組を見て著者を知った。タイトルも面白く、値段もあまり気にせずに購入した。車の渋滞で「サグ部」という言葉を覚えたのも本書だった。スーパーのレジ待ち、アリの行列、そして災害発生時の避難方法など、取り上げる例も判りやすくて良かった。
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水を冷やすと0度以下になっても水である状態がある=過冷却。ちょっとした振動で凍る。
渋滞も渋滞の前に準渋滞状態がある。ザク部などのちょっとした刺激で渋滞に変わる。
モデル化のためのセルオートマトン法。
渋滞部分は後ろへ移動する。
スロースタートルールにすると準安定状態が作られる。
出口に手すりや小さな柱を置くのはアーチ効果を防ぐのに効果的。
踏切はノンストップにすると渋滞緩和になる。
山手線のような環状線は、少なすぎるとダンゴ運転になりやすい。多すぎると渋滞する。
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フィリップ・ポール『流れ』、郡司ペギオ‐幸夫『群れは意識を持つ』あたりの「個と集団」のつながりで読んでみた。
本書のタイトルは「クルマ」となっているものの、おもに日常生活で出くわす様々な人の流れについて解説してある。アリがどのように渋滞を避けて行列を作っているのかというあたりがもう少し知りたかったのだけど、それはそれとして読み物として楽しめた。
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数学入門書的なものを書いているこちらの先生の実績が「渋滞学」を編み出したとか、図書館にあったのがこの本。
第1章「渋滞学とはなんだろう」横が密度、縦が流量のグラフ、原点から山形を描く。臨界密度で流量の極値の前後で、最初は自由流、超えると渋滞流に相転移、密度が多すぎると流量0に。(詰めれば互いに接触して押し流される普通の粒子ではなく)決して接触しない前が空いていないと動かない自己駆動粒子ならではの挙動。さらに高速で車間を詰めるとちょっとした「ゆらぎが成長」して渋滞になる準安定状態(過冷却と相似)、慣性が大きい/前への追従反応が遅い車や子供で起こりうる。
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「渋滞」という言葉から先ず連想されるのは高速道路の車の渋滞だが、渋滞という現象はより一般的に見られるものである。例えば、スーパーで会計のためレジに並ぶ列もそうだし、インターネットでWebページの読み込みが遅かったりするのもパケットの渋滞である。渋滞の本質とは、「自己駆動粒子が、ある臨界密度を越えると自由な流れを続けられなくなり、流量が減少していく」ということである(渋滞学における渋滞の定義)。あるいは、堅い表現が好きなら「自己駆動粒子からなる系の、自由走行相から渋滞相への相転移」と言うこともできる。「渋滞学」とは、このような渋滞の性質を研究しその解消法を検討すると同時に、「自然な『創発的アプローチ』による『渋滞ストレス』の緩和(p.218)」を目指す学問分野である。
待ち行列の理論というのがあるのは名前だけ知っていたが、筆者が研究しているのは、コンピュータの発展とともに注目されている、セルオートマトンを用いた渋滞のシミュレーションである。そもそも自己駆動粒子という概念がニュートン的な力学には無いものなわけだが、セルオートマトンという手法と非常に相性が良い(セルオートマトンとは、粒子が各時間ステップでどう動くかを粒子の周りの局所的な状況から決定するルール(と適当な初期条件)を設定し、主に計算機を用いて粒子系の時間発展を調べるというものである。)。例えば、車の場合だと運動が一次元なので、「一つ前のセルに別の粒子がいなければ一つ前進する・別の粒子がいれば、そのまま」などとルールを決めれば良いわけである。実際、このような単純なルールでもシミュレーションすればちゃんと渋滞相が現れるのが確認できる、というのが本書で紹介されている。他にも今まで行われてきた様々な研究が紹介されているのだが、出口の前に故意に障害物を配置しておくと部屋の中にいる全員が退出するまでに掛かる時間が短縮されることがある、というのは結構有名な気がする。また、超音速状態の流体と渋滞の類似性は、丁度流体力学を勉強したところだということもあって、興味深く読んだ。
「創発的アプローチ」とは何かと言うと、トップダウンではなくボトムアップによる渋滞解消の試みのことだそうである(「創発」というのは社会心理学の分野で研究されてきた概念で、「部分が集まってできた全体が、単なる部分の総和とは質的に異なる、高度なシステムになる現象のこと(p.164)」である)。渋滞の解析から提案される創発的アプローチの例として、個人の行動だと「人混みの中では傘を真ん中の辺りを握りしめて歩かないよう心掛ける」(握りしめて歩くと腕の振りに合わせて傘の先端が大きく動くのが危なく、その人の後方に無駄な空間が生じる)、施作だと「買い物が少ない人のためのレジを別に設ける」(渋滞ストレスが軽減される)が挙げられている。
直感で考えて「確かに」と思える日常的な例が非常に多く(それだけ渋滞が身近なものだということだろうが)、読んでいて楽しかった。本書は専門書ではなく一般向けの本で、数式もほとんど登場しないが、誤魔化しが少なく、説明も丁寧かつとても分かりやすい。