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ゴーレム100 みんなのレビュー

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みんなのレビュー29件

みんなの評価4.3

評価内訳

29 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

これがSFというものですな。

2007/08/14 12:25

7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:わたなべ - この投稿者のレビュー一覧を見る

もちろん『虎よ、虎よ!』はマイフェイヴァリットSFなのだが、後期の作品はいまいちと聞いていたのでこれまで読んでいんかったのだが、ここにきての世間の大絶賛に遅ればせながら読んで見たのだった。そしたらば、いやあ、大変面白かったですよ。
二十二世紀のニューヨークを舞台に、ブルジョワの有閑マダム「蜜蜂レディ」が退屈しのぎの戯れに悪魔召還の儀式を執り行い、イドの怪物たる「ゴーレム100」を本人たちも知らないうちに都市に舞いおらせ、その残虐きわまる連続殺人事件を、担当捜査官のヒンドゥー教徒インドゥニ、何故か殺人現場にいつも居合わせる天才化学者ブレイズ・シマ、その素行調査を依頼される黒人の美人精神工学者グレッチェン・ナンの三人が追ううちに、事態は思わぬ展開を見せる、という娯楽大作である。とにかくきわめて効率的に練られたスピード感溢れるプロットに、やたら細かく設定されていると思しいガジェット満載の背景と人物、神秘思想と現代思想と科学思想がごっちゃになった地平で、馬鹿馬鹿しいほどに凝りまくった実験的な言語と馬鹿丸出しの卑語猥語の横溢でケバケバしく彩られた作品で、あれよあれよと読まされてしまうリーダビリティーも兼ね備えており娯楽小説としてはほぼ完璧な出来なんじゃないだろうかと思う。
印象としては大原まり子のある種の作品をめちゃくちゃブラックにして文章を濃縮還元したような作品である。ちょっとスキャナーズを連想させるような物語のラストの101の意味が実はまだよくわからないのだが、まあさらにパワーアップした!ということだと思っておけばよいのかもしれない。もっとも、もはやここまでくるとSFがどうとかいうよりもむしろラブレーとかジョイスとかそういうたぐいの作品の系列に置きたくなるわけだが、こんな作品が1980年に書かれたというのがちょっと驚きではある。ああ、評判が悪かったので読まなかった『コンピュータ・コネクション』も読みたくなってきたので再刊を希望。

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紙の本

1980年:67歳、パンクやってます!まだ「何もかも懐かしい…」なんて言う年齢じゃないっす!

2007/07/18 03:49

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Living Yellow - この投稿者のレビュー一覧を見る

古手のSFファンにはマストアイテムの「虎よ、虎よ!」のベスター先生の、最後から二番目の長編である(1980年刊行)。SFが好きで、かつバロウズ(「裸のランチ」)とかジョイス(「ユリシーズ」)が好きな人、ぎりぎり町田康の作品ではなんか物足りないと思える人にこそ(そういう人、多分もう買っちゃってるとは思うけど…)お勧め。でもバロウズと聞いて「ライス!」と大声で答える人にも読んで頂けたら面白いかもしれない。
 個人的にはP・K・ディックやJ・G・バラードが好きな質なのだけど、実は、彼らの「新しい波」作品は、ちゃんとじっくり読んでみると、非常にまじめな「哲学的文学」であるという面がある。一方、例えばヴァン・ヴォークト(「宇宙船ビーグル号の冒険」)やさらにエドガー・ライス・バローズ(「ターザン」シリーズ)などの「古いSF」の方が、実はもっと自由でめちゃくちゃに、本能のままイドを解放して遊び惚けられる場所を読者に提供してくれる、本質的に「反社会的」な存在なのでないか、という気が最近してきた。うまく言えないけど、ディックはいまやハリウッド映画の定番原作だし、バラードも結構映画化されてて、「ブンガク」的にも、「エンタメ」的にも評価されているけど、今はバローズのターザンとかは無理だし、「ペルシダー」は不可能だろうし。ましてやヴァン・ヴォークトの「非Aの世界」なんて。「非A」は意外にゲームソフトに向いてるかもしれないけど。本書も映画化不可能なこと、請け合いです。
 本書は要約してしまえば、「22世紀の巨大都市のカオスの中で、人々の無意識から生み出された怪物と近代的理性との抗争」というシンプルなストーリーになる。そう読み切ることは十分できるのだけど、本書の作者にとっては、ストーリー展開などはアリバイに過ぎず、限りない迷路のような世界描写、言語の構築と解体つうか、言葉遊びの限界への挑戦、様々な未来と過去のビジョンの構成の方がメインだったのだろう。
 とにかく、「ユリシーズ」みたいに朝日新聞とかで大きく扱われることはないと確信していますが、本書の訳者:渡辺佐智江先生の仕事っぷりにはひたすら感謝します。

 「あのピラミッドを見よ!」
 「岩だ!」
 「石だ!」
 「インカ男だ!」(本書p.461より)

 やっぱ、好きです。こういうの。

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紙の本

私の中では最も長い書評かもしれません。それほどに凄いか、っていうと、ちょっと違うんですが、ま、問題作であることは間違いありません。いい映画になりますよ

2007/10/05 20:43

8人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

なんていうか、幻の本、とか、超問題作、っていう言葉にスッゴク弱いんですね、私。で、そういうものを出すのが国書刊行会、となると、やっぱりな、なんて思うわけですよ、ワタシ。で、単発ものかな、って思っていたんですが、未来の文学、っていう叢書のの第二期の一冊なんですね。なぜか、私はこのシリーズ、全然読んでいないんです。

で、他の巻がどうだったかは知りませんが、この本に限ればブックデザインがかなりいい。ハードカバーで角背でしょ、基本的には分厚い本には不向きなスタイルなんですが、この本はあえてそれを選択した。なんといっても、色合いがいいでしょ。赤が基調で重厚感があります。その印象は、世紀末なわけですね、私的に。

しかもですよ、開いてみれば分るんですが、この本て、中もデザインされていて、それは多分、原本をそのまま持ってきている。要するに、ジャック・ゴーガンのイラストも含めて一つの作品のわけで、装幀の下田法晴+大西裕二(s.f.d)も、製本会社のブックアートさんもやりがいはあったろうな、って思えるシロモンです。

これってベスターの意思の反映なんでしょ、きっと。その部分だけ取り出せば、絵本みたいなものでしょうが、決定的に違うのがお話の内容です。ほとんどスプラッターと言っていい連続殺人事件ですよ。映像化はほとんど無理というか、出来たとしても私は見たくないよ、っていうようなものです。

全22章の構成なんですが、これって舞台が22世紀であることと関係しているわけじゃあないんでしょうね。まそれはともかく、先ずはカバー折り返しの案内文を読みましょう。

「22世紀のある巨大都市で、突如理解不能で残虐な連続殺人事件が発生した。犯人は、ゴーレム100、8人の上品な蜜蜂レディたちが退屈まぎれに執り行った儀式で召喚した謎の悪魔である。事件の鍵を握るのは才気溢れる有能な科学者ブレイズ・シマ、事件を追うのは美貌の黒人で精神工学者グレッチェン・ナン、そして敏腕警察官インドゥニ。ゴーレム100をめぐり、3人は集合的無意識の核とそのまた向こうを抜け、めくるめく激越なる現実世界とサブリミナルな世界に突入、自らの魂と
人類の生存をかけて闘いを挑む。しかしゴーレム100は進化し続ける・・・・・・
虎よ、虎よ!の巨匠ベスターの最強にして最狂の幻の長篇にして、ありとあらゆる言語とグラフィックを駆使して狂気の世界を構築する超問題作がついに登場!」

これに出版社の案内文をつければほとんど内容についてはいいかな、って思うので、ついでにそっちも引用。

「本書は、SF史に燦然と輝く傑作して名高い『虎よ、虎よ!』の
巨匠アルフレッド・ベスターの数少ない長篇の一つで、長らく未訳のままで邦訳が熱望されていた幻の問題作です。大量のグラフィック(楽譜からロールシャッハまで!)、そして無数の奇想・アイデアが詰め込まれた熱気溢れる異色のエンターテイメントであるとともに、30年以上前に書かれたとは思えないほどの"新しさ"をもった、ベスターSFの金字塔となっています。「未来の俗語にまみれた造語とダジャレ、言葉遊びの嵐。ほぼ全編が言語実験でありながら、謎の怪物を追いかけるアクション謎解き物語としての楽しさも失っていない。高踏的でありながら通俗。実験的でありながら娯楽作。軽薄でありながら重厚。そして強烈にして悪趣味。『虎よ、虎よ!』にあてはまったことが、相当部分までこの『ゴーレム100』にもあてはまる。」(本書解説より)
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ずるずると刊行を延ばし読者の皆様にご迷惑をおかけしていましたアルフレッド・ベスターの幻の怪作『ゴーレム100』、ようやく出来上がりました(25日)。渡辺佐智江の超絶翻訳プラス山形浩生氏の渾身一万字解説つきの500ページ(音譜、ロールシャッハ他奇々怪々グラフィック含む)、定価2500円+税! 赤くぬらぬらしたGカバーが目印です。」


22章からなる本文「ゴーレム」と山形浩生の解説「すべての読者にとってすべてのもの――万能SFとしてのベスターと『ゴーレム』」、そして渡辺智江の訳者あとがきという構成ですが、内容紹介はこれ以上やりようがありません。SFミステリとして読めば間違いはないでしょうが、むしろ殺人現場を除けば、映画にしたほうがもっと楽しめるんじゃないか、なんて思います。

主な登場人物は11人です。

一人目がブレイズ・シマ、ジャップとして登場します。この世界は水不足が悪臭を招き、香水が必須とされる世界という設定になっていて、それゆえに香水産業というのは極めて重要なものです。で、シマは百社あまりの香水製造会社のなかで一人勝ちしているCCC(波形缶会社)に勤務しています。31歳で、出自はフランス人、日本人、アイルランド人ということなので混血なんでしょう。CCC売れ筋商品全てを生み出した天才博士です。で、彼は被疑者です。

二人目がグレッチェン・ナン、シマとコンビを組むことになる、20代後半の精神力学の大家です。なめらかな黒い肌と鋭角的な顔立ちをしたツチ族の美貌の王女で、奇跡を行うビジネスをしています。精神工学者で、彼女を呼び出すことはCCCという大会社の会長でも不可能なのですが、あっさりと登場します。

三人目、街に突然現れた残虐な連続殺人の犯人、百の手を持つものを追うのが、アディーダ・インドゥニです。名前の通り、インド人で、悪が蔓延る〈ガフ〉、すなわち〈北東回廊〉にある旧大ニューヨーク地区を含む警察管区のスーパダール(インド軍人のあいだでの高い地位を示す称号。西暦2175年ともなると世界のほとんどの警察部隊に配されていた)です。

残りの八人は八杷ひとからげ、女王蜂ことリジャイナと、リトル・メアリー・ミックスアップ、ネリー・グウィン、プリス嬢、サラ・ハートバーン、イエンタ・カリエンタ、双子のウジェダイとアジェダイがそれで、八人の蜜蜂レディと呼ばれています。ま、悪戯好きの有閑マダム連(未婚の女性もいますが)といった風情でしょうか。

で、ミステリではあるものの、中盤を過ぎるあたりから本の中でグラフィックなものの占める要素がどんどん大きくなっていきます。スターン『トリストラム・シャンディ』より過激、というか全く別ジャンルの(SFとかそういう文学的な分類ではなくて、小説、コミック、イラスト集、絵本といった区分け)のものに変貌していく様が面白い。そしてシマ・ファンにはなんともいえない結末が・・・

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2007/08/27 16:02

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2007/09/16 15:10

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