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みんなのレビュー246件

みんなの評価4.0

評価内訳

244 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

宮部みゆきらしい問いかけに心にずっしりと重く残る一冊。

2007/08/15 14:24

9人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:エルフ - この投稿者のレビュー一覧を見る

どの家庭にも存在している他人には決して入れない領域、底なし沼のように暗い場所。
そんな暗部にいつの間にか辿り着いてしまったのが「模倣犯」事件のフリーライター・前畑滋子。

あの事件から9年が経ったにも関わらず事件のショックから立ち直れずにいた彼女の元に依頼にきたのはどこにでもいそうな婦人・荻谷敏子。
裕福ではなく傍から見ると不幸を背負っている荻谷敏子だが息子の萩谷等との二人きりの生活は楽園そのものだった。
そんな等は12歳にして事故で亡くなる。
絵の上手かった等が残した謎の絵の数々。
それは16年前に殺された少女の遺体が発見される前に、それを絵に描いていたというものだった。
12歳の息子は「事件」を予告して死んだのか!?
それとも息子は第三の目で何を誰から見てしまったのか?

ただ荻谷敏子の弔いをしようと思っていた前畑滋子は思いもしない事件に遭遇していく。
そしてまた事件の渦中へと巻き込まれていくのだ。

家庭だからといってどの家も楽園になるとは限らない。
いや逆にどの家にも暗部が存在し、それを上手く隠して生活しているもの。

16年前に我が子を殺し家の下に埋めたままその上で生活をしていた大人しいと評判の両親はその年月何を思っていたのか?
そして彼らはもう一人の娘を何から守ろうとしていたのか。
時効を迎えた今となって警察へ話した本当の理由とは。

子殺しが起きた理由は決して「衝動的」という一言では終わらず、またもし家族にこの少女のような子がいたとしたら?という答えのない切実な心の叫び。
宮部みゆきらしいこの問いかけが重くずっしりと心に残る作品でした。

模倣犯とは別物ですがやはり物語の端々にあの事件が出てくるので模倣犯を未読のかたはあちらから読んだほうがよいと思います。

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紙の本

地上に楽土を求めたり

2008/08/05 05:52

8人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:星落秋風五丈原 - この投稿者のレビュー一覧を見る

映画にもなった『模倣犯』で傷を負ったフリーライター前畑滋子が再登場。彼女のもとに、超能力を持つ少年・等の母親・敏子がやって来て、等が描いた絵の謎を解いて欲しいと言う。半信半疑で調査にとりかかった滋子だが、それは時効となった両親が娘を殺した事件の真相と結びついていて…。

親が子を殺し、子が親を殺す。果ては、「誰でも良かった」と手当たり次第に刃物を振り回す。殺伐とした時代に人々は眉を潜め、「本当に今どきの人間はわからなくなった。」と嘆く。だが大抵の場合、自分とは関わりのない事件であれば、原因を「歪んだ社会」という曖昧なもので決着させてしまう。だが、「社会」とひとくくりにしてしまうと、かたちづくっている一人一人の人間が、見過ごされがちになる。
本作品では、人間ひとりひとりが、決して疎かにされていない。「常にあらかじめ失われている楽園」を求めつづける人間のありようが、そのままに捉えられている。超能力が登場するので、「最後はこの世ならぬ力が全てを解決するのか?」と思っていたが、その予想は、半ば当たり、半ば外れていた。そして、半ば外れていた部分にこそ、決して楽しい出来事ばかり綴られているわけではない本作に『楽園』と名付けた理由がある。

先に掲げたように『模倣犯』と繋がっているが、独立して読める作品。続けて読むと、一人の女性の成長がより鮮明に感じ取れるだろう。

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紙の本

楽園行きのバスに乗っていますか?

2007/09/03 12:51

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る

『模倣犯』に登場したフリーライター前畑滋子が再び登場。
ある出版社の知り合いから、一人息子を亡くした母親に
会ってほしいと頼まれます。

その母親、萩谷敏子は12歳の息子が残した
不思議な絵を持ってきました。
彼は一軒の家に灰色の肌をした女の子が出られずにいて、
その子はとっても悲しいのだ、と生前、言っていたのです。
そしてその死後まもなく、両親が娘を殺害し
その遺体を家の敷地内に埋め、
火事を機に自首しますが、15年の時効を迎えていた、
という事件が起こります。

この息子、等には不思議な能力が備わっていて
そのような絵をいくつも残していましたが
判読できるのはそれほど多くありません。

前作同様、前畑滋子は自分の興味から
犯罪事件に首を突っ込んでいきます。

彼女にとっても9年前の連続殺人事件は
重いしこりとなり、それを一生背負っていかなければなりません。
物語が進むにつれ、世間の人が彼女を
そのような目で見るとき、
あるいは等が残した、あの山荘の絵を見たとき、
滋子の心胆をヒヤリと冷やしていきます。

そして今度の事件も等の能力、
娘を殺害した両親ともう一人残された娘との溝と
人間の業とでもいうかのような、
大きなものを追いかけます。

真実が必ずしも人を幸福にするわけじゃない。
その結末に向かってじっくりと物語は進みます。

人の情、思惑、配慮などを丁寧に重ねながら
事件と物語を語る、独特のストーリーティリング。
『模倣半』以降にもたくさんの作品を発表しているのですが
やはり宮部みゆき節といえばいいのか、
人の善性を刺激する語り口が6年ぶりに帰ってきました。

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紙の本

真実に迫る、とはいえ前畑の取材は、正直パパラッチ。これがマスコミだとすれば、真実なんてどーでもいい、っていう人もいるのでは?ま、面白いことは確かですが

2007/11/21 19:31

10人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

我が家では家族全員が読みました。重い内容の話で、いままでも宮部が書いてきた狂気を普通の人間の皮の下に隠した怪物が登場します。周囲から甘やかされ、他人を道具としてしか見ず、殺すことに躊躇いを覚えない若者。甘やかす、とは違うかもしれません。恐怖する、目をそむける、黙り込む、そこにつけ込む。本人は、親は自分が、息子が狂っているとは思っていない、そこが怖いです。

主人公は「有限会社ノアエディション」で働くフリーライター・前畑滋子です。9年前、たった一つの事件に関わったことで、それまで気づきあげてきた業界での「安定した仕事をするライター」としての実績を失いました。同時に自信も無くし自ら筆を絶ち、夫・前畑昭二との暮らしに埋没してきました。

結婚して10年になりますが、子宝に恵まれなかったこともあって3年前に仕事に復帰しています。彼女が勤めるのが「有限会社ノアエディション」で、社長は滋子の永年のライター仲間でもある野崎英治です。同僚は滋子より15歳年下の井川恵です。ライターとして後輩ですが、社員としては先輩。9年前に高校生とあるので、現在25歳前後。滋子は40歳前後となります。

2005年の東京が舞台です。滋子に取材を依頼したのが53歳になる、スーパーでパート仕事をしているごく普通のお母さん、萩谷敏子です。彼女は三ヶ月前に交通事故で亡くなった12歳の息子・等が超能力者ではなかったのか、と思っているというのです。そんな考えを敏子に吹き込んだのが同じ職場の秋吉さんで、そのきっかけとなったのが等が描いたという稚拙な絵でした。

秋吉は、それが少年の事故死を予言したものだというのです。そして、等の画帳にはつい最近、報道された事件を暗示するものまであるのです。それは北千住で起きた火災と、その家の下から古い遺体が発見されたという事件のことです。自首してきた土井崎夫妻は、15歳になる長女・茜を16年前に殺して埋めたというのです。

美術の時間には、教師すら舌を巻く天才的な絵を描き、一方では稚拙ともいえる画も描きつづけた等の超能力についての取材は、過去の事件を掘り起こし、姉の死の真相も知らずに過ごしてきた6歳年下の妹・土井崎誠子や、滋子が筆を折るきっかけになった9年前の事件に絡んだ秋津警部補も登場して・・・

話としては『模倣犯』で活躍した人たちが再び登場したり、滋子の取材に絡んで「あの時の」という形で前回の事件が出てきますが、それ以上の絡み方はしませんので、独立した物語として読むことが出来ます。ちなみに我が家では、高二の次女が『模倣犯』を読んでいませんが(なにせ、出版当時、小学生でしたから)十分楽しんだそうです。

考えてみると大学一年の長女は『模倣犯』を出版と同時に読んでいますから、中学一年だったわけで、随分恐い本を与えていたんだなあと反省してます。案外、それが彼女の男性恐怖症(ま、恋人が出来ないだけなんですが)、或は大学受験に尾を引いていたりして・・・

最後ですが、データ篇。

カバー写真:小山泰介
装丁:鈴木正道( Suzuki Design )

目次を見ると、結構構成に気を使ったな、ということがよく分ります。

上巻目次
第一章 亡き子を偲ぶ歌
第二章 第三の目
断章1
第三章 再開
断章2
第四章 見えざるもの
第五章 事件
断章3
第六章 妹
第七章 幻視
断章4

下巻目次
第八章 子供の事情
第九章 暗部
断章5
第十章 遠くからの声
第十一章 秘密
第十二章 たどりついた場所
第十三章 ピリオド
終章 楽園
あとがき

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2007/08/10 23:09

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2007/08/24 21:16

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2007/09/06 21:31

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