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みんなのレビュー8件

みんなの評価4.5

評価内訳

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紙の本

キリスト教っていうのは、つくづく悪魔の宗教だな、って思います。鎖国政策は正しかったんだ、って思いますよ。だって、開国した明治政府がやったのは、まさにこの小説にあるような偏見に満ちた弾圧だったんだから。いえいえ、小説はコロンビアが舞台ですけど・・・

2007/12/15 20:04

7人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

新装なってから気が向いたときに読むようにしているG・ガルシア=マルケスの本ですが、今回は読んでいて辛くなるようなお話です、なにより救いがありません。宗教というものの理不尽さ、人間の愚かさがこれでもか、と迫ってきます。おまけに、文章から立ち上る瘴気、まさにラテン文学ならではのものでしょう。

話を象徴するのは巻頭言です。

髪の毛は、体の他の部分よりもずっと生き返りにくいもののようだ
                   トマス・アクィナス
            「復活した肉体の完全性について」
                (問題第八十番、第五節)

マルケスによれば、彼は1949年10月26日、サンタ・クララ修道院の解体現場の埋葬室からあふれ出た髪の毛と少女の頭蓋骨、そして一枚岩の墓石から読み取れる苗字のない一つの名前――シエルバ・マリア・デ・トードス・ロス・アンヘレスの発見に、たまたま出会うことになったそうです。

この話は、その時の体験と、今もコロンビアに伝わる、長い髪を花嫁衣裳の尾っぽのようにひきずる十二歳の侯爵令嬢の伝説、その二つに触発されて書いた話だそうです。そのせいでもないでしょうが、時代は判然としません。18世紀らしいのですが、19世紀といわれても何となく納得してしまう、そういう話です。場所は、ティエラ・フィルメとありますが、正直どこだかわかりません。中央アメリカ からベネスエラに至るカリブ海沿岸地方、なんだそうですが・・・

この話で、主人公がいるのか、といわれると正直疑問ですが、悲劇の主人公ならばいます。シエルバ・マリア・デ・トードス・ロス・アンヘレスがそうで、彼女は12歳の時、犬に噛まれ狂犬病の疑いをもたれるのです。じつは彼女、狂犬病には罹っていません。ただ、そう思われてしまう要素が彼女の周辺に揃っていました。

まず、母親がいます。カサルドゥエロ侯爵の無爵位の夫人ベルナルダ・カブレーラは、「陳列棚の貴族階級」に属する生きのいい混血女、後妻ですが、少女の実の親です。ただし、お金目当てで出産した子なので少しも愛情を感じていません。しかもカカオの食べ過ぎで、いつも酩酊状態にあり、自分で立て直した家業をを台無しにする始末です。

父親はドン・イグナシオ・デ・アルファロ・イ・ドゥエニャス、第二代カサルドゥエロ侯爵。ダリエン地方の領主で、奴隷に襲われることを極度に恐れています。最初の妻を亡くし、そこに妊娠を武器に入り込んだのが29年が離れているベルナルダですから、妻ほどではないまでも娘に愛情を抱いてはいません。

だから少女は母の手ではなく、家の奴隷たちに囲まれ育つのです。父親は怖いから手を出せない。野生児といってもいい。で、突如、カサルドゥエロ侯爵は娘のことが気になります。奴隷から引き離す。でも、その時には彼女は犬に噛まれている。父親は彼女が狂犬病ではないことを診断してもらうのですが、周囲は彼女が病気であると思い込みます。

少女にとって人間として扱われたいとか、そのために健康であると証明するとか、そういう考えはありません。そういうように育てられていませんから。ただただ動物として行動してしまう。こういう存在に対して宗教、特にキリスト教が何をするかといえば、そう、迫害です。おまけに、それが迫害だと思っていないから始末に終えない。

聞く耳持たない司教もですが、サンタ・クララ修道院長のホセファ・ミランダというのが酷い。シエルバ・マリアを魔女として虐待し続けるのです。そして、少女に恋したという神父カエターノ・デラウラが、腰抜け腑抜け間抜けです。こんな男に少女を救う勇気も知恵もない。それがどんな様子かといえば・・・

もう絶望しながら読むしかありません。どう考えても中世、ま、舞台のコロンビアに白人がいることを考えても17世紀初頭くらいのイメージしか湧かない。それほどに酷い。こうなるとキリスト教も我が国の国家神道も同じ。それを錦の御旗に平然と残酷な行為に走り、今だって反省する色もありません。それが教科書検定に生きている。ううう

巻末についている鼓 宗編のガブリエル・ガルシア=マルケス年譜が面白いです。年表であれば、普通はその作家の誕生から始るのに、ここでは1499年、スペイン人アロンソ・デ・オヘーダが、現在のコロンビアに当たる地域に足跡を印したところから始るので、なんと197~244頁という量になっているるのです。

基本的にはマルケス年譜ではなく、文学史年譜と考えないと、500年間にわたって歴史的な事件と並んで重要な文学作品が掲げられる理由がわかりません。ま、スペイン系や中南米のそれがメインになっているのが日本人には目新しいし、楽しめるものではあるんです。

で、1927年のマルケス生誕となります。11人兄弟の長兄で、他に父の私生児である兄弟四人がいる、というだけあってそれ以降、毎年のように弟や妹誕生の記事が続きます。1928年、弟ルイス・エンリケ、アラカタカで誕生。1929年、妹マルガリタ、バランキリャで誕生。1932年、マルケスの妻となるメルセデス・ラケル・バルチャ=バルド、マガンゲで誕生。1933年、妹アイダ・ロサ、バランキリャで誕生といったように、1947年まで兄弟が増えつづけます。いやはや、凄い歴史だ・・・

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2009/07/26 11:49

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2015/01/12 10:26

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2012/03/23 18:23

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2013/03/11 15:57

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