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必要充分に貧しく、健やかな発展途上国の首都の風景
ご先祖様を思うと頭が下がる。黒船来襲から脱亜入欧、和魂洋才、日清戦争から日露戦争まで勝利。第二次世界大戦こそ背伸びをし過ぎて、首都は焼かれるは、原爆を二つも落とされるは、の散々な負けっぷりだったものの、見事に世界一をいくつか取る程の国にまで復興した。昨今の為体ぶりまでは、総じて見事な国の在り方だったように思う。
これは、戦後の復興期の東京の写真集。アメリカに喧嘩を売ったとは思えない程貧弱な首都に、しかも一回丸焼けになっているのに、雨後の筍ようにビルやら何やらが生える様子が垣間見える。
どこで間違えたのだろう、と思っても解は見えないが、祖父や祖母、父母が改めて、坂の上の雲を目指した頃の東京は、やはり魅力的だ。しかし、頂上付近から先のやり過ごし方が下手な国だなぁ、とは思う。一つ、浅草の隆盛ぶりと現在を比べても、勿体無い感じがする。敬して遠ざけるべき御上との距離感が不味いんだろうな、貸本屋を潰して図書館を作ったりとか、賭場を無くして、競馬、競輪、パチンコとか、公共交通の等級、赤線の廃止とか。
p.143の脚注によると小田急バスの発祥が三鷹市野崎!!!。
p.168の隅田川の卒塔婆
2010/05/02、読了。杉並図書館から借用。