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迷惑な進化 病気の遺伝子はどこから来たのか みんなのレビュー
- シャロン・モアレム (著), ジョナサン・プリンス (著), 矢野 真千子 (訳)
- 税込価格:1,980円(18pt)
- 出版社:日本放送出版協会
- 発行年月:2007.8
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紙の本
病気の遺伝子にも人類を生き延びさせてきた過去があることを示すダイナミックな進化論を紹介
2008/06/05 23:58
13人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Skywriter - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヘモクロマトーシスという病気がある。体内に鉄を溜め込みすぎてしまう遺伝性の病気だ。この病を発病してしまうと、血液中と肝臓に大量の鉄が溜まり、やがて死に至る。彼らにとって瀉血は生きていくために必要な治療である、という。なんとこの遺伝子、ヨーロッパ人を先祖に持つ人の四人に一人から三人に一人が持っている。
また、糖尿病も遺伝が深く関与している。糖尿病の遺伝子を持つ人は、持たない人よりも遥かに容易に糖尿病を発症する。これも重くなれば死をもたらす。
ダーウィンの進化論では、適者生存によって有利な体質が広がっていくはずだ。なぜ命を奪いかねない危険な遺伝子がこれほどにも広く伝えられているというのか。これは偶然なのか。
自身もヘモクロマトーシスのリスクを持つ新進気鋭の進化医学者シャロン・モアレムがこの謎に果敢に取り組む。ヘモクロマトーシスの遺伝子が広まった背後には中世のヨーロッパを襲ったペスト禍が、糖尿病の背景には氷河期が影を落としている、というのが答えだ。今では病の原因にしかならない遺伝子が、当時は生き残るための貴重なアイテムだったのではないか、というのである。
この謎解き自体がとても面白いのだが、更に本書の魅力を掻き立てるのは、病気の遺伝子が広がる背景にダイナミックな進化のシステムがあるということを明かしている点だろう。
病気にまつわる意外な事実から物語を始め、やがて誰もが避けることのできない老化と死にまで話をつなげる中で、我々人類が辿ってきた歴史から最新の進化論までを一気に紹介しているのは見事。進化論の面白さは、自然が作り上げたシステムの美しさを実感できるところにあるとつくづく思わせてくれた。軽妙な語り口も相俟って、とても楽しく読むことができた。
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紙の本
Time(時間)、Place(場所)、Occasion(場合)に応じた遺伝子
2013/02/21 22:46
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ホンカッタ - この投稿者のレビュー一覧を見る
遺伝子が全てを決めるわけではなく、環境が発現する遺伝子をきめることもあるのは今やよく知られた事実である。
この本は、人種や歴史によって、その時に都合良く生き残った遺伝子が、現代では不都合な病気となってしまっている例を示してくれている。
なぜ、この疾患は生き残ったのか・・・
その理由はもちろん、その疾患が(またはそのもとになる体質が)ある歴史の中で生き残るのに都合が良かったからだ。
少し専門的な語句を含むので、生物学を学んでいない人には読みずらいところがあるかもしれない。しかし、生物を愛するものなら誰であれ、一度は読んでおきたい本である。少し冗長なところもあるので、星4.5といったところ。
紙の本
面白い
2015/12/28 00:25
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:けy - この投稿者のレビュー一覧を見る
数々の遺伝子に関わる病気について、ユーモア溢れる文章で語る本。
とはいえ、内容はまじめそのもの。私は大学で生命科学を専攻したが、講義の中で聞いた話がいくつも出てきた。
この本は2007年に出たため科学的には古いが、重要なことが目白押し。
生物化学に全く触れたことない人だと少し読むのが大変かもしれないが、少しでも触れたことのある人なら必ず「面白い」というだろう。
紙の本
生存のための進化とその代償
2024/01/29 20:04
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ペンギン - この投稿者のレビュー一覧を見る
結びのところで「進化はまさに奇跡なのだ」とある。モアレム博士は読者に、進化の都合の悪い部分に注目して「迷惑」としてとらえるよりも、進化を「奇跡」として自分が生きていることに感謝することを願ってこの本を書いたと思いたい。