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著者は京都の老舗染屋の当主、化学染料には出せない日本の伝統の色、朱.赤.藍.黄.黒.白.紫を求め全国を旅するなかで、染色と色の知識が存分に語られてゆく。
既に各所に掲載されたエッセイを、再構成、再編集されたものだが、随処で些か無理のある、ミスマッチの感あり。 -20101202
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[ 内容 ]
化学染料には出せない日本の伝統的な色がある。
京都の染屋の当主が、朱・赤・藍・黄・黒・白・紫を求め、紅花の里、三重県伊賀市と山形県河北町を訪ね、阿波徳島の農家で藍栽培の苦労を聞き、熊野のお燈祭に参加し、正倉院の宝物を観る…。
全国を旅するなかで、染色と色の知識が存分に語られる、味わい深い自然派エッセイ。
[ 目次 ]
第1章 朱の色を歩く
第2章 赤の色を歩く
第3章 藍の色を歩く
第4章 黒の色を歩く
第5章 白の色を歩く
第6章 黄と黄金の色を歩く
第7章 紫の色を歩く
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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「色」という視点から、日本を眺めている。
視点が変わると景色も変わる。しかし、それらは根底ではしっかりとつながっている。
「逆説の日本史」シリーズで得た知識と、本著で得た知識とが、歴史の時間軸の中でつながることもあり、本と本の垣根を越えた知識の飛行が心地よい。
さて、本著で書かれている、朱・赤・藍・黒・白・黄・紫については、どれをとっても興味深い。
日本人のものづくりの精神が太古の昔から連綿と続いているのを実感する。
しかし、それと同時に
「文明の利を教授している現代の私たちは、古い時代を偲ぶとき、物資も充足せず、どんなにか不便で原始的な生活をしていたことだろうと思いがちである。
ところが、正倉院の宝物や、おなじく飛鳥天平の遺宝を伝える法隆寺の伝世品を観ると、いかに人間は進歩していないかを思い知らされる。」
という著者の言葉も、ずっしりと心に刺さる。
そして、
「日本人がものづくりをしていく上で長く育んできた手順と、その工程で必要な素材は、今日のように便利というか合理的な面ばかりが強調されるなかでは、さまざまな矛盾をはらむこともたびたびである。」
という著者の言葉には、現代を生きる我々に一筋のヒントとなるのではないだろうか。
またひとつ、心のアンテナが研ぎ澄まされた。
これだから読書はやめられない。
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染色家である著者が、染料の産地を訪れ、その歴史から風土まで自由に語っている。それぞれの色に、生まれるまでの背景があり、色に愛着を感じることができる。著者の、色に対する敬意も伝わってくる。
ちなみに、文章も素晴らしい。無駄がなく、品のある文章で、著者の染めた品々もいかん、と思わせる。
(2012.10)
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色への強い情熱を持つ著者は、自然から取れる色を求めて、日本全国を訪ね歩きます。人工的に作られた色ではなく、自然のものから取れる色の美しさを伝えています。
芸術に触れることが多くなりそうな秋ですが、今年の秋は、“色”の歴史をたどりながら、本書で日本を旅してみませんか?