紙の本
光と闇が織りなす、壮大で幻想的な世界です。
2009/03/06 10:31
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:紅葉雪 - この投稿者のレビュー一覧を見る
写真家、吉村和敏さん。
プリンス・エドワード島の写真をはじめ代表作はたくさんあるが、自分にとって吉村さんといえば、谷川俊太郎さんの詩とコラボしたフォトポエム「あさ/朝」「ゆう/夕」の写真を撮った人。
「写真にはあまり興味がない」という方の中にも、「あの本の!」と思い当たる人もいるのでは。
自分も、あの本ですっかり吉村さんの写真に魅了された一人である。
その後吉村さんがこの写真集を出したことは知っていたのだが、何故か今まですれ違いを繰り返し、ようやく今回めぐり会う事ができた。
BLUE MOMENTとは、作者の言葉によると、「夕焼けが終わり、夜の闇がはじまる時に訪れる、12分たらずの儚い時間」とのこと。
巻末の、あとがきのような作者の文章「聖なる時間へ」によると、「夜の闇がはじまる前と終わる後に数分だけ訪れる「空が藍色に染まる時間」」の事だとか。
「北欧で暮らす人々が、この時間帯を「ブルーモーメント」と呼んでいる」との作者の言葉に、思い当たった事が。
実は自分は以前、日本人女子高校生のフィンランド留学奮闘記「青い光が見えたから」の書評を書いたのだが、その本のカバー写真は、青にそまるフィンランドの風景だった。
本文中、やはりフィンランドでは、「風景のすべてが真っ青に見える」時があると書かれていた。それを「Sininen hetki」(フィンランド語で、青の時)と呼ぶのだ、と。(「青い光が見えたから」p105より)
まさに光と闇が空のキャンパスで溶け合う、そんな時間帯にみせる世界の表情。
89枚の幻想的な風景が収められた写真集。
各写真には、写真の写された場所と時間帯が小さく英語で記されている。
大自然の中の「藍色に染まる時間」は神秘的で、写真に吸い込まれてしまいそうになる。空気が張り詰め、まるで時間までもが止まってしまうような。そう、まさに『静謐』という言葉がぴったり来るのだ。
すっかり心が洗われるような感覚を楽しんだが、建物や人工的な灯りに彩られた「ブルーモーメント」も非常に趣があった。
巻末には、INDEXとして、すべての写真の写真解説(撮影データ含む)がのっている。
INDEXの注意書きによると、その撮影データは「使用カメラ/使用レンズ/撮影モード/絞り値/露光時/使用フィルム」の順に記載されているとのこと。
さらに再度撮影場所と、その国名が載せられている。
そこにつけられた、作者のメモのようなコメントも楽しめた。
実はこの写真集には日本の風景も含まれている。新宿・芝公園・富士山・白川郷・宇佐漁港・羽田空港・月島・郡上八幡・大島の9枚なのだが、この中には、ぱっと見ただけでは日本とは気がつかない写真も。逆に、「これぞ日本」というものもあった。
光と闇が織りなす、一瞬の風景。
そんな光景を心ゆくまで堪能したい方に一押しの一冊である。
紙の本
お気に入りのカメラマン
2013/07/07 10:43
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:のまペンペン - この投稿者のレビュー一覧を見る
「林檎の里物語」、「MAGIC HOUR」に続き購入しましまが、流石です。
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高校生の時、女性雑誌の広告として載っていたのを目にしたのがきっかけ。
とにかく、眺めていたい。
日が沈むまでにある15分間だけ訪れる至福の時間。それが「blue moment」
世界中の街並みと共に、撮られています。
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2007年発表。
BLUE MOMENTとは
北欧の人たちが呼ぶ
朝陽が昇る寸前と
夕方、陽が沈む直後の数分間だけ
空が青く染まる瞬間のこと。
写真家の吉村和敏さんがその瞬間を追いかけ
20年間世界中を旅してきた
結晶と呼べる写真集。
どこをめくっても
蒼、蒼、蒼の儚き時間。
気づけば時間を忘れて
数10分ボーッと眺めてたなんてザラです(笑)(^_^;)
「赤毛のアン」のふるさとである
カナダのプリンス・エドワード島、
カナダの雄大な自然、
ドーソンシティのオーロラ、
ロッキー山脈の湖、
パリのセーヌ川、
日本の富士山、
東京タワー、
新宿の高層ビル、
白川郷
など
世界各地の『蒼い瞬間』を切りとった
幻想的な写真。
夕焼け空を撮った写真というと
イメージ的に胸がキュンとするような
切なさを閉じ込めた写真に思えるけど
吉村さんの写真は
人が暮らす灯りと共に
『蒼い瞬間』を捉えているので
人の営みや
沢山の人たちの
人生が息づいてる世界をも感じさせてくれて
あったかい気持ちになります。
朝帰りに見た
蒼くオレンジな空。
人も街並みもみんなしんとして
薄闇に溶けていく時間。
地球にある全ての風景が
劇的に美しく輝き出す瞬間を克明に捉えた
妖しく息をのむほどに
美しい写真集です。
眠る前に見ると
安眠効果ありますよ(^_^)
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よく晴れた夜の帳が開かれる頃と、太陽の終焉に広がる数分の青い空気を見事に捕らえています。世界中の蒼い夜の静けさとひんやりした心地よい風が頬を撫でるようです。温かいクリスマスイルミネーションの光は今の寒くなり始めた時期にピッタリではないでしょうか。水辺に光る街のキラキラした星海も本当に美しいです。
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”夜の闇がはじまる前と終わる後に数分だけ訪れる「空が藍色に染まる時間」”を集めた写真集です。どこか幻想的で、世界が鮮やかに見えました。世界各国、すべて違う雰囲気を魅せてくれました。
私が個人的に好みだったのはオルレアン島、シャーロットタウン、ヴェネチア、パリ、マホーン・ベイ。たぶんもう一回観たらまた全然違う感想を抱くのかもしれません。
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夜明け前と夕焼け後に訪れるわずかな時間に見られる青い世界。夕焼けの後の青色から藍色に変わっていく時間の空は切なくて、儚げで好きです。その場所、その時によって青い世界は違うけれど、どれも綺麗で惹きつけられる写真でした。写真には撮った場所と時間が記載されていて、巻末にインデックスがあり写真の説明がされています。いつか表紙のようなブルーモーメントを見たいと思いました。
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22×31cmの横長の大型本。
最初の5,6枚は題名のごとくブルーの空に月がひとつ(って当たり前なんですが、こう呼びたくなります) 朝の静謐な時間か? と思ったら、吉村氏の文が出てきて、ブルーモメント 夕焼けが終わり、夜の闇がはじまる前に訪れる、12分足らずの儚い時間。だそうです。
表紙はペギーズ・コープ(カナダ)
カナダ、ノルウェー、スウェーデンなど緯度の高いところのが多いですが、パリ、日本などのもあります。日本では合掌造りの明かりが濃紺の空に映えています。
あとがきには、一日の中で好きな時間は「朝」と「夕」で、よく晴れた日に、夜の闇が始まる前と終わる後に数分だけ「空が藍色に染まる時間」を発見したという。さらに北欧に住む人は、それを「ブルー・モーメント」と呼んでいるというのを知り、さらにそれが北欧では数時間も続くのだという。さっそくノルウェーのベルゲンに行くと、その日は夜の10時45分に太陽が沈み、空は濃い藍色となり、暗い闇になる事はなく、朝が来たという。
夏など夕方、空気がピンクになっているのを感じますが、このブルー・モーメントは気が付きませんでした。これから注意してみようと思います。
検索すると、
ブルーモーメント(英語表記:blue moment)は夜明け前と夕焼けの後のわずかな隙に訪れる、辺り一面が青い光に照らされてみえる現象。天気が良かった雲のほとんど無い、または全く無い空気の澄んだ日にだけ現れる。
夕焼けが赤く、日没の前から日没直後まで見られることとは対照的に、ブルーモーメントは青く、日没後の短い時間しか見ることができない。時間が経つにつれブルーモーメントの青色は暗くなり、夜の暗闇に変わる。
もともと薄明の時間が長い北欧で生まれた言葉であり、北欧諸国においては、白夜の時期は数時間にわたってブルーモーメントが見られる。
日本においては天気の良い日没の直後、目の前の風景が青に染まる時間が数分~10数分間ほど訪れることがある。
2004.12.17第1版第1刷 図書館
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ブルーモメントはマジックアワーよりも後の時間、あるいは以前の時間。夕焼ではなく、空は青に満ちる。青に包まれた自然も美しいが、青い空の下の光に浮かび上がる建物、港も美しい。魔法の国に来たようだ。空飛ぶじゅうたんに乗って世界を巡る。
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目を奪われる程の青の世界。
意識しないと気づかない日常、美しき世界。
ブルーモーメント
夕焼けが終わり、夜の闇がはじまる前に訪れる、12分足らずの儚い時間。
広大な空の海に一番星が現れ、月はその輝きを増しはじめる。
小さな頃からいつも一緒にいたはずなのに、まだ誰も強くは意識していない。
でも立ちどまり、この宇宙への扉を開けた瞬間から、自分の中で何かが変わる。
変わりはじめる。
駅へとつづく小径を歩いていたら、行く手に連なる街灯がフッと灯った。
光はみるみるうちに明るさを増し、石畳に不思議なあたたかさを落とした。
神々しい空の青さと、照明の光が手を結び、見慣れた街が、憧れの街へと生まれ変わっていく。
春浅い日にもらった色と光の贈りものに、今いる場所が、少しだけ好きになった。
空の深い青さに抱かれたとき、異国の街で耳にした教会の鐘の音が蘇ってきた。
ビルの谷間で三日月と対面したとき、大西洋の岬に立つ灯台の輝きを思い出した。
都会を染める青い力は、手が届く景色と、心の中の風景を一つにしてくれる。
明日、青い世界が朝までつづく北国へ旅立とう。
星たちの静かな動きを、じっとこの目で追い掛けてみたい。
吉村和敏
世界各地の「蒼い瞬間」を切り取った写真集
BLUE MOMENTとは、朝、陽が上る寸前と、夕方、陽が沈んだ
直後の数分間だけ空が青く染まる瞬間のこと。写真家の吉村和敏氏が
その瞬間を追いかけ、20年間、世界中を旅してきた結晶を1冊にまとめました。
内容(「BOOK」データベースより)
朝日が昇る直前と、夜の闇が始まる寸前。12分足らずの「蒼い瞬間」の写真集。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
吉村/和敏
1967年長野県松本市生まれ。県立田川高等学校卒業後、東京の印刷会社で働く。退社後、1年間のカナダ暮らしをきっかけに写真家としてデビューする。以後、1年のうち約半年をカナダやヨーロッパ各国のカントリーサイドで生活し、旺盛な撮影活動を行っている。自ら決めたテーマを長い年月をかけて丹念に取材し、作品集として発表する。今、最も注目されている若手写真家の一人である。2003年カナダメディア賞大賞受賞。2007年写真協会賞新人賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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ヒボさんの本棚からです。ありがとうございます。ヒボさんは一番高い場所からこの作品を読まれたようですが、私は地元の図書館、しかも一階(^-^;)
とはいえ、美しい景色に心を奪われました♪夕焼けが終わり、夜の闇が始まる前に訪れる12分足らずの時間…今日も一日お疲れ様のご褒美的な景色ですよね!!そして優しい夜の時間…身体を休めて(実際には家事があるからあまり休まらないけど…)、新しい朝を迎える準備に、心も身体も、そして美しい景色も変化する…。
どこでも同じなんですよねぇ…世界中どこでも「ブルーモーメント」という優しい時間が訪れて、そして誰もがきっと癒されている…そんな当たり前だけど、とっても大事なことをあらためて感じました。癒されましたぁ~!