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藤沢周平の短編集もこれで3冊目だ。
一人の人間の人生は、大きな時代の流れからみたらとても小さなエピソードだけれど、当人にはそれが全て。様々な小さなエピソードに一喜一憂しながら、人は生きていくのだ。
そんな当たり前のことを、時に私は忘れそうになる。
自分の人生を極端に大きくとらえたり、逆に妙に小さくとらえたり。
私には、逞しさが欠けているのかもしれない。
・・・何てことを考えながら読み終えた。
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この短編集は、すごい。今まで読んだどんな短編集よりも、いい。今まで読んだ藤沢作品の中では、「蝉しぐれ」の次だと思う。
力作ぞろい。人の思いを描くのは難しいのに、いとも簡単に、しかしじっくりと、書き上げている。
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初めて読んだ藤沢 周平。映画山桜をみて原作読んでみようと思って。この本名は短編集で山桜も短くとても2時間の映画が出来たとは思いがたい。でも、古きよき日本を感じさせる作品がそろっていた気がします。
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山桜 が一番好きです。
ちょっとほっこりした気分になりました。
短編集としてはどれも秀逸です。
さすが!
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時代短編小説11作品。中に映画化された「山桜」が入っている。最初の「帰還せず」は少し落ちるが、どれも短いわりにまとまっている。ただ、読んでいて乗り切れないのは、いぶし銀みたいな重さ、暗さだと思う。軽い面白さ、ねっとりとした情の時代小説が好きという・・まだ好みは山本周五郎から抜け出てない(笑)
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「山桜」が入っているので読んでみた短編集。「裏店」に住んでいる人々の少しタイミングの悪かった人・ちょっとした運命の擦れ違いなど
そのことが歴史を大きく変えたりはしないけれど、その人個人にとっての岐路にそれぞれ考えさせられます。
ウチに元同僚が毎日のように金を無心に来る話は怖かったなあ・・。
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中学校2年生のときに初めて読みました。
この短編集のなかでは「おばさん」が一番好きです。
私もおばさんになったら、年下の男には気をつけようと思いました。
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江戸時代の商人を題材とした時代小説の短編集。と言っても扱うのは人間関係の機微なので、一つ一つは現代におきかえても成立する筋立てなんだけど、やはり江戸時代の「情緒」があってこそ小説としては完成しているのでしょう。
結構ほっこりしたオチの人情話と、ラストまで救われない話とがあるんだけど、その両者が同じ肌触りで混在しているのが興味深い。どちらも人生。人の善意も、それが及ばぬことも等価値であるという、一種の諦念にも似た眼差しが感じられる。人の意志がこの世をあれこれ左右できるわけじゃないんだと、その、この世界に対して謙虚である姿勢が心地良い。
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短編集。
今度上映される『山桜』が気になって購入。
どれもせつなかったり、その後の話が気になるもの
ばかりでした(;→д←)
『蝉しぐれ』もとってもよかったので、
映像化した『山桜』とても楽しみです。
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藤沢周平の短編集。男女の心の深層を描いた作品たち。表題作の時雨みちは過去に傷つけた女性との、けして幸せではない逢瀬。山桜は映画化もされた、淡く控えめで、そして、暖かい恋物語。
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この本の中には、30ページくらいの短編がぎっしり!短編てんこ盛り(笑)
物語の種類も様々で、隠密の話とか、女のしたたかさとか、男が昔捨てた女への責任感?とか(まぁ男が勝手に後で反省し、捨てた女に憐憫の情でもって会いに行く、みたいな)いろいろだった。
いろんな話を読んでいて思った。
やっぱり悪いことは出来ないもんだ、ってことと、幸せと不幸せは紙一重で、何かを得ようとしたり、成功するため飛躍しようとするときは、それまで大事にしてきたものも捨てざるを得ないことが多く、それは後になってから鈍い痛みとなって自分を責める。
この本の中で私が特に気に入った話は「山桜」と「おさんが呼ぶ」。
「山桜」は・・・男と女の出会いの皮肉、ニアミスしながら結ばれなかった切なさが描かれている。
嫁いだ家に馴染めずに居たある日、墓参りの帰り道に野江は、山桜の下で、以前自分に求婚した男と会う。
彼女が手の届かなかった桜の一枝を男は難なく手折ってくれて。
たったそれだけの一度きりの二人の出会い、そこから始まる野江の淡い恋心と悔恨。
自分が既に引き返せない道にいることがわかっているだけに、救われない野江の悲しみ。
この物語の冒頭で二人が出会う、その情景があまりに美しく
それだけにすれ違い、悲恋に終わる二人の恋が儚くて悲しい。
「おさんが呼ぶ」は、口が利けないわけではないのに、極端に無口な女、おさんの物語。
彼女が奉公している店に商談をまとめるためにやってきた紙漉屋の男に、おさんは恋をする。
暫く逗留した男が同業の商売敵に顧客を取られ、故郷へ帰ることになったとき・・・
そこで初めておさんはその男に恋している自分に気づき、追い駆けながら「待ってください」と叫ぶ。
その瞬間の彼女の声の表現が凄くいいんだなぁ(しみじみ)
まるでおさんの声が耳に響いてくるようで・・・
藤沢周平の書く話の中では、珍しくハッピーエンド。(^o^*
あぁ、だから気に入ったのかもしれないな(笑)。
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にがい思い出だった。若かったとはいえ、よくあんな残酷な仕打ちが出来たものだ。出入りする機屋の婿養子に望まれて、新右衛門は一度は断ったものの、身篭っていたおひさを捨てた。あれから二十余年、彼女はいま、苦界に身を沈めているという…。表題作「時雨みち」をはじめ、「滴る汗」「幼い声」「亭主の仲間」等、人生のやるせなさ、男女の心の陰翳を、端正な文体で綴った時代小説集(amazonより抜粋)
短編集です。
代表作「時雨みち」ですが、なんというか時間って絶対的なもので取り返しがつかないものだなって感じてしまう一作でした。
さらさらと読んでしまいましたが、もっと奥が深いんだろうなとは思います。
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「おさんが呼ぶ」がとてもよかったです。ラストでおさんが兼七を呼びに走り寄るシーンはその情景が目に浮かびました。人の心の奥底で揺れ動く感情を、文章の「裏側」から感じさせられる、そんな作品ばかりでした。
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武家ものあり、市井ものあり、の短編集。
いずれの作品も、安心して読め、初読ものでも、何故か、”帰ってきた”、そんな気持ちにさせる、どこかホッとする味わいがある。
それは、解説者も書いているが、主人公が「静かな意志」の持ち主であり、「控えめな倫理の実行」を課しているから、かと思う。
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帰還せず
飛べ、佐五郎
山桜
盗み喰い
滴る汗
幼い声
夜の道
おばさん
亭主の仲間
おさんが呼ぶ
時雨みち
人生のやるせなさ、男女の心の陰翳を、端正な文体で綴った時代小説集。