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ロバストネス=しなやかな強さ、強靭さ。という観点から、生物、飛行機、糖尿病、癌、企業経営などをシステム的に考察した知的な本だ。哲学的でもあり、ちょっとわかりにくいけど、読後は心地よい感覚が残る。
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第1章 したたかに生きる強さの条件
第2章 強くなればなるほど弱点が生じる
第3章 ロバスト・システムとしての癌
第4章 遺伝と共生をつなぐ進化のシステム
エピローグ 宇宙の中の共生
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久しぶりに知的好奇心を刺激された一冊。したたかでしぶとい生き物の仕組みに驚き。しかしがん細胞などはそれゆえにやっかいで・・うーん。私も会社でロバストにやっていこう。
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「ロバストネス」をキーワードとした良書。
ロバストネスとは、しなやかな、したたかな強さのこと。
対:フラジャイル、もろさ
類:ホメオサタシス(ただし、ホメオスタシスが一定の状態を保つことであるのに対し、ロバストネスはそうとは限らない。)
ロバストネスを向上させる4つの方法
1)システム制御
2)冗長性+多様性
3)モジュール化
4)デカップリング
1)システム制御
フィードバックによる修正
2)冗長性+多様性
故障があっても直接パフォーマンスに影響させない(腎臓が二つあれば一つだめになっても大丈夫、のように)
3)モジュール化
細分化することで一部が壊れても全体までには影響させない。
4)デカップリング
ノイズを消去する
いくらでもロバストにできるか?
Ans.むり。
Because:ロバストネスと、フラジリティ(ぜい弱性)と、性能と資源の4つがトレードオフ関係にあるから。
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かなり平易な文章でシステムバイオロジーの世界を説明してくれる。値段もそこまでするものでもないし、買って読んでも良いし、難しくないから立ち読みでも読み終わりそう。
システム系の科学の分野の考え方は他分野を繋いでいる部分が多いから、一言でシステムといっても非常に色々な場面、分野が出て来る。この本でもそうである。遺伝子、分子レベルの話しから飛行機などの機械や会社のような複合体まで
モノではなく、コトの学問であり、コトがいかにして成立しているかを解き明かしていく。
コトという状態を考える上でも、なにかとなにかの境界を考える事は重要である。体内の免疫系が持つ膜がなぜ硬い殻でなく、柔軟なしなやかさを持ち、なぜ単細胞から多細胞生物へと進化を遂げたか、それらを境界、関係性という観点から考え直させる。
その中には、建築空間をモノではなく、コトとして捉える一つの在り方が描かれているように思う。建築空間におけるモノや部屋は記号ではなく、細胞のようだ
治療、創薬の話も、そう考えると楽しくなる。
どのような細胞を生かし、どのような細胞を殺すか、副作用を起さないようにネットワークを捉えつつ、
それはリノベーションや空間療法への新しい知見を提案してくれるように思われる。
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複雑系の生命科学について。この本で初めて知ったが、北野宏明さんというのはなかなかのようだ。ちょっと各論に偏りすぎで、せっかくの面白い分野なので総論がもう少しあってもよかったかも。生命体が、少々の環境変化に対して恒常性を維持できるように、外部からの擾乱に対してその機能を維持することを、ロバストである、と言う。ある種の擾乱(もしくはパフォーマンスやリソース)に対してロバストさを向上させることは、想定外の擾乱に対して脆弱になってしまうというトレードオフが「必ず」存在するので、一見手ごわそうな病原体でも見方を変えると弱点が見えてくる。ロバストなシステムはモジュラー構造になっており、モジュール間はweak linkageで接続される。フィードバック、冗長性、デカップリングといった特性が挙げられている。
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この社会のシステム、そして生命のシステムは、様々な状況に適応できるよう「ロバストネス(頑健さ・・しなやかさ)」が考慮されている。
しかし、どんなに優れたロバストネスを持っていようが、常に100%というわけにはいかず、どこかに穴・・・脆弱性が必ず潜んでいる。
本書は、そういったシステムを非常に身近な例で示している。
が、ちょっと横文字や専門用語が多くて若干読むのに苦労するかもしれない。
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生体機能が、制御工学の概念に似ていることは直感的には理解していても、具体的にそれが何か指摘できる人は少ないはず。本書を読むと、「あくまで仮説」と断わってはいますが、生命の進化の過程が、ロバストネスを高める方向に進んできたことが理解できます。例えば現代病の代表格である糖尿病。「そもそも生体は、血糖値が上がる方向にシフトしやすいようにできている。それは飢餓状態を克服するための進化の結果だ。」という。飽食の世にあって、そもそも緊急避難機能であったインスリン抵抗性(不要なインスリン消費を抑える)が跳ね返りとして生体に作用し、糖尿病を発症させるというメカニズムだそうです。
ロバストなメカトロシステム構築を生業とする我々エンジニアにとって、生体メカニズムはもう1つの学ぶべき分野であると気づかされた一冊でした。
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生命の進化のカギはロバストネスである。例えば糖尿病は、飢餓が起こりやすかった頃には有益に機能したが、運動量が減り、高カロリー食が増えた結果、病気とされている。
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2008-01-18
ロバストネス,ロバストネス,ロバストネス・・・・・・
ひたすらロバストネスで現象をきっていく本.
ビジネス書の多い,ダイヤモンド社が何故この本をだすのかがはっきり言ってよくわからなかったが,
システムバイオロジーや北野共生プロジェクトなどソニーCS研の北野宏明氏が書いています.
例え話がふんだんでわかりやすくはあるんだけど,
逆に縦書きで式などがない分
「ここでいってるロバストネスって日常言語?テクニカルターム?」
っていうのがよく分からなくなってしまうことがありました.
制御論の話がでてくるから,そうなるとロバスト制御の話でいいのか?
とおもいながら,どうももうちょっと広げた話になってる気も・・・.
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ロバストネス-それはいろいろな擾乱に対して対応できる能力のこと。頑健とか強靭とか訳されることもあるようですが、生物に対してはちょっと感じが違う。もう少ししなやかな強さということです。この生物の持つロバストネスという特徴を、飛行機のシステムだったり、吉野家の戦略だったりを例に出しながら話は進みます。後半の癌とか進化の話あたりになると私はついていけなくなったのですが、糖尿病のところはなるほどと感じました。今は病気ということになっているけれども、進化の過程において、飢餓状態などを考えると糖尿病の状態のほうが実は生き残るのに有利だったのだそうです。他にもこういう例はきっと見つかるのでしょう。そういえば、以前にも鎌状赤血球がマラリアに強いという理由で生き残ってきた人たちがいるという話を聞いたこともあります。生命はなんてしたたかな存在なのでしょう。もう少し、竹内さんが話に介入してくれば分かりやすく仕上がったようにも思うのですが、でも生命のしなやかな強さは感じることができました。ところで、ロバストネスの反対語はフラジリティ(脆弱さ)となるそうですが、私はスティングのフラジャイルという曲がとても好きです。
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失敗をなくすためには、同種と異種、言い換えると、冗長性と多様性の両方の要素が必要になるのです。
比ゆ的な説明になりますが、例えば上司が部下に指示を伝える場合、同じ指示をそのまま繰り返すのであれば、それは冗長です。これは、聞き漏らしなどに対して、そのようなことが起こるリスクを低減させることができます。しかし、その指示の仕方に問題があって、理解してもらえないことには対応できません。
一方、同じ命令を、表現を変えて伝えるのであれば、それは多様性(ここでは、表現の多様性)を利用していることになります。この場合、ある言い方では理解できない場合でも、ほかの表現でより正確に理解してもらえる可能性があるので、伝達上の問題を低減することができます。この二つを使い分けることにより、指示が伝わり損なって失敗する危険を回避することができます。(p.54)
今の癌治療というのは、「腫瘍のサイズが小さくなることは、非常にいいことである」という前提です。それは確かに悪くはないことですが、小さくなった結果、ロバストネスがすごく上がってしまうと、結局、もっと悪化する結果になる可能性も否定できません。ですから、「ロバストネスをコントロールする」ということを、治療のターゲットにするべきなのだと思うのです。別に癌そのものを完全になくしたり、小さくできなくても、現状維持で転移もしないような状況に眠らせてしまえばいい、という考え方も成り立ちます。重ねて明らかにしておきますが、これらは、現在、基礎的な検討の段階での仮説であって、すぐに臨床に応用できるレベルのものではありません。(p.164)
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システム生物学、というキーワードに興味を持ち読んでみたが、ピンと来なかった。生物というよりは航空機の例とか、生物以外の話題が多い印象。著者はソニーの研究所副所長、物理出身の工学博士。
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自分が「XPと生態学」で言いたかった主張のような漠然とした感覚のようなものが、もっと分かりやすく説明されている。
あのLTの続きで、本当は多様性だけでなく「移入と移出」「有意なコンフリクト」にも触れたかったのだけど、この本では「ロバストネス」という観点で見事に統一的に扱われている。
デカップリングという観点は自分にはなかったので、これは収穫。
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ロバストネス:幅広い攪乱に対して、対応できる能力
・機能の維持と状態の維持
・ロバストネスとフラジリティ
・何に対してロバストネス(フラジリティが有る)?