モンスターマザー 世界は「わたし」でまわっている みんなのレビュー

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投稿者：kumataro　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

モンスターマザー　石川結貴　光文社

　モンスターマザーのこどもたちは、いずれ母親を軽蔑するようになるでしょう。こどもたちの母親離れは早いでしょう。個々の事例は、コントや漫才のネタになりそうです。モンスターマザーに対しては、できないことはできないと言えばいいと思います。なんとかしようと思うから悩んで心がつぶれてしまいます。
　バブル経済の頃からおかしくなりました。平成３年にバブルがはじけてキャンプブームが訪れました。誰もの共有の場所を独占する若いファミリーが出現しました。自然歩道内にある美しい滝のまん前にテーブルを広げてバーベキューをしている若い家族がいました。びっくりしました。そんなことをする人たちを見たのは初めてでした。その後四輪駆動車ブームがありました。街中の道路を大きな四輪駆動車がたくさん走り回っていました。異様な光景でした。
　ひとつのパンをみんなで分けて食べるという時代が終わりました。それぞれが一個のパンを食べる時代になり、パンを食べられない人はいつまでたっても食べられません。
　モンスターマザーの正否を問うことはむずかしいと思います。彼女たちのように自分に正直であることは大切です。見方を変えれば、彼女たちの言動は、日本だから異様にみえるだけなのかもしれません。損か得かを生活していくうえでの判断基準にしていく国の国民性であれば当然の慣習でしょう。
　１９６ページの記述は先日読んだ「区画整理物語」と共通します。なにかを良い方向にもっていくために親しい人たちがグループをつくって親睦を兼ねて集まりをスタートする。最初は順調ですが、やがて破綻します。結局人は、地域とか集団全体の幸福追求を目指しません。自分が良ければそれでいいのです。自分が得をすれば相手が損をするという図式図は、たいていの人の頭の中にはありません。徹底的に自分がよければいいのです。
　モンスターマザーになる前に、結婚しない人が増えています。わたしは最近、それもやむをえないと感じています。