紙の本
もっと素直に読む必要があるかもしれません
2008/04/27 18:22
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
この「移植編」、このシリーズで時々出てきていた赤城看護婦の腎移植にからんだ話と、斉藤君と皆川さんの行く末の話などが並行して描かれているのだけれども、3巻目である意味象徴的なセリフが出てきている。
腎移植を執拗(?)に勧める斉藤君に赤城が「君はやっぱり自分が一番大事なんだね」と。
これはもちろんこの3巻に限ったことでなく、「ブラックジャックによろしく」の最初から一貫していることだとは思うのだけれど、セリフの中でこうもはっきり出てきてしまうとやっぱりそうだなと思わざるを得ない。このマンガがなぜこんなに重く、ぐじぐじしているかと言えば、どの診療科へ行っても斉藤君が患者や医療のことを考えているふり(?)をして、その実自分の思いをいかに全うするかということしか考えていないからだと、ずっと思っていたのだけれど、やっぱりそうだったのだ。
このマンガが時に現在の医療の隠された部分を告発しているとして注目を集めたのだけれど、そして確かに脳死や小児医療や精神医療などを訴える部分も多かったのだけれども、それはあくまでもこのマンガの要素の一部分にすぎなかったのかもしれない。
むしろこのマンガは、たまたま医者という仕事を選んでしまった一人の青年の成長物語(と考えても、あまり成長していないように思うけれども)として読むのが素直な読み方なのかもしれない。
うがった見方をすれば、このマンガの掲載雑誌が変わったのも、医療告発の部分が注目されすぎたので、方向修正するための大胆な方策だったのかもしれない。
そんなことを改めて考えさせられた、1冊だった。
紙の本
むちゃくちゃでしょ
2019/06/25 22:53
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:melon - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公が恋人でもない人に対して、腎臓を差し出そうと必死になっている姿はあまりに滑稽にすぎる。もう移植してしまえばいいのでは。そんな現実味のない話を続けられるのであれば、スパッと突き抜けて非現実路線で進めばよいのでは。
ただ、この主人公にはイライラする。それは腎臓を差し出そうなどというあまりにおかしなことを考えて突き進むからだ。そして皆川も早く別れればいいのにと思う。そこも非現実的なのだ。
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超一流、永禄大学附属病院の研修医・斉藤英二郎。その最後の研修先で待ち受けていたのは、臓器移植だった…! 医療の理想と現実を描き、社会的大反響を巻き起こした名作の続編が満を持して登場!!
▼第15話/僕のために▼第16話/心象風景▼第17話/仕事の相手▼第18話/邂逅▼第19話/対面▼第20話/道行き▼第21話/吹雪く夜▼第22話/ホームにて●主な登場人物/斉藤英二郎(永禄大学附属病院の研修医。現在、最後の研修先・泌尿器科で研修中)●あらすじ/ひょんなことから、赤城の実家の連絡先を手に入れた斉藤。早速その番号に電話をかけたところ、母親らしき女性が出てきたため、斉藤は自分の腎臓を提供したいという意思、それを受け入れない赤城を説得してほしいと願い出る。だが、その女性は「ウチとは関係ない」と言い残して電話を切ってしまう。それでも諦めきれない斉藤は、人工透析を終えて帰宅しようとする赤城の前に再び現れ…(第15話)。●本巻の特徴/かつて腎臓移植に失敗し、二度目の移植を頑なに拒絶する赤城。一方、斉藤と別れた皆川は失恋の痛みの中、脳外科での仕事に喜びを見いだしていく。そして、どこまでも赤城の生命にこだわる斉藤は、八方塞がりの中、ある行動を起こし…。●その他の登場人物/赤城カオリ(永大附属病院の看護師。手術部勤務。斉藤にとっては先輩に当たる。幼少の頃にI型糖尿病を発症した)、皆川(斉藤の恋人。永大附属病院の看護師。NICU[新生児集中治療室]から最近、脳外科に異動)、近藤ムツミ(永大附属病院泌尿器科の医師。斉藤の指導医)、近藤〔夫〕(近藤ムツミの夫。泌尿器科兼先進移植医療が専門の、いわゆる移植医)
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普段はマンガは買いません。
立ち読みもしません。
このシリーズだけは例外です。
ここ10年間で買った唯一のマンガです。
「新BJ」になってからストーリーがまどろっこしい・・・、
すこし引っ張りすぎな感じがします。
もうすこしテンポアップの展開を期待します。
そうはいっても、いい作品です。
なんか切なくてヒリヒリします。
いい大人が泣きながら読んでいます。
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斉藤先生は、患者のため自分の腎臓を提供することを決意したこと、医者として患者にできることを考えて行動している。
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医者は患者を救いたいと思うものだから、場合によっては自分の腎臓を提供してもというユニークが医者論が前回から延々と続いているがよう分らんですね。突き抜けて腑に落ちるってなるかと思ったのですが。
出版社とトラブルが続いてるという独善性と似たようなものを感じるのは考えすぎでしょうか。
それにしても絵はうまい。
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斉藤とケンカ別れをした皆川さんは、脳外科で植物状態の患者を担当することになり、仕事に新たな目標を見出して、ようやく前へ向かって歩み始めます。その後、斉藤は赤城の両親を説得するために、北海道へと旅立っていきます。
本巻には、皆川さんが赤城と直接対面するシーンがあります。そこで彼女は赤城に対して「かわいそう」という言葉を投げかけますが、皆川さんは自分のいやらしさを自覚しているぶんだけ、斉藤より罪が軽いと言えます。赤城は、自分に憐れみをかける皆川さんを憎むことができるからです。
他方、赤城は自分の実家にまで押しかけていった斉藤を追いかけ、2人きりの夜を過ごしてもなお「僕は医者です」としか語らない彼に対して、腎臓提供の申し出を受けてもいいと語っています。このとき彼女は、自分と一緒になる覚悟もなくドナーになりたいという斉藤の臓器を得て生き長らえるというその後の人生を見通した上で、引き受けることを決意したはずです。それは、彼の身勝手さを憎むことも許されず、彼に寄り添って生きることもできない人生を、命の続く限り生きていかなければならないということにほかなりません。本巻の最後には、そんな彼女のみずからの人生に対する静かな決意が秘められた表情が描かれています。
私自身は、聖母のようなそうした彼女の決意が正しいものだとは考えませんが、それを描くことでヒューマニズムの残酷さを浮き彫りにしようとする著者の狙いは十分に理解できますし、そのような困難な課題に取り組もうとする試みは評価されるべきだと考えます。