紙の本
だれも信じることができない時代
2008/06/08 13:44
9人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:GTO - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者と大きく意見を異にする点がある。それは、公務員というか、特に官僚の扱いに関する点である。著者は、役人(公務員)が高給を得ていたり、住居などの面で厚遇されているというが、それは間違いである。高度経済成長以後、公務員の給与は同じ学歴・年齢で比べると民間よりかなり低い。キャリアは残業も一般企業よりはるかに多い。そのため、生涯賃金の帳尻合わせのために天下り制度が定着し、それがゆきすぎて現在に至っている。でなけでば、天下りが世の非難を浴びはじめた現在、東大卒の優秀な人材が外資系に持っていかれることことはないはずである。マスコミの誤った報道で勘違いされているが、『実は悲惨な公務員』山本直治(光文社新書)を読めば、多くの大卒は公務員にならなくてよかったと思うでしょう。
著者が、天下りを非難するのであれば、つまり現在の官僚制を非難するのであれば、公務員の給与を上げ、退職後の不安を解消し、彼らが接待にも裏金にも負けず、本当の意味で職務(国益)に専念できる職場にしない限り、単なる机上の空論あるいは、理想論でしかない。国防等では理想論を排する著者がどうして官僚の問題にだけは、理想論を持ち込むのだろう。著者の略歴を見るとなんとなく分かるのですが、ここでは述べないでおきます。
さて、本題に進むと、第一作ほどの衝撃はなかった。それは我々が次々と噴出する偽装に慣れっこになってしまったからだろう。食品、建材、治安に防衛などなど、数々偽装談合が見え隠れしているが、それぞれ本質的解決は違うところにあるのに、その実、ルーツは同じである。そして、それが日本社会を覆っている。一体誰を信じたらいいのか。
食品偽装ひとつ取っても、一料理店から中小企業、そして大手まで、最後の一線を越えるような偽装である。日本人の倫理感の底が抜けてしまったとしか思えない。何でも一括りにするのは良くないとは思うが、現在の社会の中枢世代は団塊の世代ではないのか。若き日に直情的に振り回していた正義感はどこへ行ったのか。多くの闘士は転進(?)して、体制内改革を目指すのではなかったのか。また、尻拭いは後の世代にお任せなのか。
著者は「マスコミについては、書いているとこれはもう、『偽装国家・全十巻』くらいになりそうなので、この壮大な絵巻の執筆は私のライフワークとして温存して」(p.110)と書いているが、温存してはいけない。そこが現代社会の要諦なのだから。でもメジャーな番組にも出演するようになった著者は、すでにマスコミに取り込まれていて、書けないのかもしれない。(なんとなくマスコミ批判は、取り上げられている話題が枝葉末節なものだし、甘く感じた。彼もマスコミの末席にいて糊口を凌いでいるからいたしかたないのか)そうでなければ、学者じゃないのだからリアルタイムで発表しない限り、社会を変える力にはならないし、葬り去られて日の目を見ないまま終わるだろう。
第2章「子捨て&姥捨て国家日本」、第3章「暴かれたメディアの欺瞞」には、いくつか慧眼の意見がある。前作ほどの迫力はないが、この本を読んで、知るべきことを知って考え、生活を送ろう。
最後に、私も相撲はスポーツではなく、宗教儀式として存続させる意見に賛成である。
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2008/1
現代の日本社会は偽装にまみれて存在している。最新の時事ネタをもとに強く主張しているが、あまり深みを感じない、ワイドショー的な文。
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ずいぶん前に読んでいたのを登録忘れしていた。前作と同じくかなり厳しい口調で書かれている。この2作を読んでから、ニュースを見る目が少し変わったと思う。税金からお金が出るって話になると自動的に「利権」って言葉が浮かんでくる。そういう意味ではメディアリテラシーの助けにもなる良い本だと思う。
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2008/1/11 Amazonにて購入
2009/1/8~ 1/11
前作に続き年金、建築、防衛、マスコミなどにひそむ偽装を暴く第二弾。
内容については首肯すること多しであるが、前作に続き改行の多さが目に付く。ほぼ読点ひとつにつき改行するのは、まさに偽装水増しなのではないか?
最後に第3弾の可能性について触れられているが、もし出るならそこのところを何とかして欲しい。
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赤福や白い恋人たち、不二家にミートホープなどの食品偽装、年金不正免除や消えた年金問題などの「年金管理偽装」、スポーツ界をゆるがせてしまった「高校野球特待生問題」や相撲界のゴタゴタ・・・そして防衛省問題や安倍政権の崩壊に関して(これを偽装というのはけっこう無理があるような気もするのですが)・・・などなど、読めば昨年一年間、ワイドショーをにぎわせたニュースにどんなものがあったのかがよくわかります。
だからどうなんだ!といえばそうなんですが、この本は昨年発売された「偽装国家」のあとから発覚したたくさんの偽装について書かれている本なのです。
しかし・・・1冊目が発刊されてたった1年でさらに1冊の本ができるぐらいのいろいろな偽装が発覚するってどうよ!?さすが昨年の漢字が「偽」だっただけはある(笑)
内容はこれまで「ムーブ」などで勝谷さんが言ってきた主張が、勝谷節も含めほぼそのまま文章になっているという感じで、ほぼ「おさらい」という感じでした。ただ、ちょっと「偽装」「偽装」とこじつけに近いかな?と思うようなところもあるような気もしたのですが、読んでいる間は思わず納得してしまいそうな力ワザを感じたりもしました。
ひとつ、痛快に思った話題がありました。「野良妊婦問題」です。(この表現、まさにぴったり)
私が大学病院で働いていた約5年前にはすでに現場では問題になっていました。
年に何人かは飛び込み出産(妊婦検診も受けず、かかりつけ医をつくらないまま、出産時に運び込まれて出産する妊婦のケース)される方がおりました。
産科医師にとって、飛び込み出産の患者さんは妊娠中の状況がわからないのでハイリスクになります。ひょっとしたら逆子かもしれないし、前置胎盤(秋篠宮紀子さまが悠仁さまを妊娠されていた時はこのケースでした。結局帝王切開されましたね)かもしれない。それをぶっつけ本番、手探りで母子ともに救わないといけない・・・これって実はすっごい大変なことなのです。
正直、こういう事態を招いたのは検診も受けずほったらかしにしていた妊婦が悪い・・・と思うのですが、その結果死産になったり子どもに障害が残っても訴えられるのは医師・・・ってなんて不条理なんだろうと思います。
そんなケースをこの本ではぶった切ってくれました。正直すっとしました^^;その上診療費踏み倒しのことにまで触れていたのにびっくり。こういうケースは確かに踏み倒しが多いのです。ほぼ100%の確率でこういうケースでは「出産費用が払えない」と相談され、一応「出産一時金で払える分を清算して、あとは分割で」という対応をするのですがその多くは払われず、踏み倒されます。まるで見てきたかのように書かれているのに思わず感心し、うなずきながら読み進めてしまいました。
本当に経済的に困っている人を助けたい・・・と思ってこんな仕事をしていましたが来るのはこんなケースばかり。正直イヤになってこの業界から足を洗ってしまいました。。。
ああ、私自身ち怨念をこめて書いてしまったわ、失礼。
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[ 内容 ]
食品偽装だけじゃない。
年金、原発、防衛、大相撲、政治家…みんなウソばっか!いいかげんにしろ!偽装追及第2弾!なぜ各所で「偽装」が相次ぐのか?本音と建前の間に生まれる「利権の構造」から、日本を蝕むガン細胞のありかを解明。
この「偽装理論」がわかると次の偽装も見破れる。
[ 目次 ]
第1章 安全神話の崩壊(氷山の一角だった「食品偽装」;明るみに出た「耐震偽装」の本丸;「偽装治安」が崩壊し始めた)
第2章 子捨て&姥捨て国家ニッポン(ついに底がぬけた「倫理偽装」;ダダ漏れ状態の「年金管理偽装」;税の公平を揺るがす「偽装課税」問題)
第3章 暴かれたメディアの欺瞞(高校野球「裏金偽装」と朝日新聞;大相撲「ガチンコ偽装」と迷走する大マスコミ;「偽装チャンピオン」亀田一家を生んだTBS;利権談合のとりで・大マスコミの断末魔)
第4章 利権談合国家の危機(ついにはじけた「防衛利権」;岐路に立つ日米安全保障;「空港利権」に貪られた安全意識)
第5章 懲りない談合政治家たち(化けの皮が剥がれた「偽装保守」;“KY”安倍氏辞任と福田“神輿”総理誕生;小沢一郎「偽装辞任」の真意を読み解く)
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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偽装について知りたてく読書。
偽装国家の2冊目。「たかじんのそこまで言って委員会」のコメントがそのまま文章化したような内容。
パチンコ業界と警察との癒着は、なんとかならないものかと思う。興味深いのは、タブー的な部分にも触れていること、なるほど。
マスコミを信用せずに自分の頭で調べて考える習慣を身に着けていかないと、裏で牛耳っている人たちから奪われるだけの人間となってしまう。
読書時間:約40分
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こういった本は今読むとどうしても当人の認識の検証と言う観点でみてしまう。
勝谷氏の指摘していた原発の偽装については311で明らかになってしまったし、自衛隊のことについても今も変わらずと… 問題意識あり、公にしていているにもかかわらずなぜ何も変わらないんだろうかね。外圧足りないのかな?と思えて仕方ない。自分の力では自浄できない国民なのであろう。