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特に小津作品の着物の柄と背景との調和の分析が見事。あれだけ徹底して同じ柄でほとんどの作品を通しているのに、それを指摘する人間がいなかったのは不思議に思える。
やたら性的な側面から小津作品を解釈する見方に対する異議申し立てにも同意したくなる。
どちらも男性原理からは出てこない見解だろう。
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コラムニスト中野翠さんによる小津安二郎論。
いままで男性による小津論しか知らなかったが、さすが女性である中野さんらしく、役者の衣裳や背景のカーテンの柄、小物に至るまで目を光らせ、独自の分析を展開する。特に、着物や女優の分析が鋭い。
男性の評論家が場面や台詞を性的に解釈しているのに対して批判的な意見があり、頷ける。
これまで小津の映画を観ていて、言葉にしづらいが感じていたものを、うまく書き表してくれたという印象。
この本を頼りに、小津作品をあらためて観返してみたい。
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小津安二郎とか原節子などという名前がタイトルに付いているとおもわず手にしてしまう。中野さんは本当に小津ファンなんだなぁ。登場人物の着ているものを分析する。無地か柄物だったら格子か縞でブラウスはほとんど白。これは室内のインテリアにも言える。そうか原節子の清楚な淑女というのは監督が作り上げたものなのか?場面場面に出てくる小物を検証する。このスタンドは、この映画とあれにも登場する。また以前見た、監督の書斎にあったものとか。監督はしばしば私物を使っていたらしい。とにかく自分の気に入るものしか使用しない。それは俳優でも、茶碗ひとつにしても。筆者はまたそれを楽しく検証する。四畳半一間住まいの人に、こんな上等なものが着られるだろうかとか、いろいろ。小津作品というのはこだわりの映画なのだなぁ。とても贅沢な。私もちょっと探してみよう。
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小津の風情をしっかりと味わえる一冊であると言える。
僕は一度東京物語を観ただけだけれども、
うつろに覚えている恐ろしさをしっかりと書きとめていてくれた。
けれども、小津が好悪を基準に作品を発表することと、
レビューにおいてそれを出していくことは
やや、意味合いが異なるはずだ。
なので、肝心なところで、踏み込み切れていない気もする。
語らないほうがよい場合も何事によらずあるわけだが、
彼女の場合、語れないことを率直に告白してしまっている。
それもまた、ガールズトークらしいところを持っていて味わいではあるけど。
僕は男の子なので、ね。
自分の好き嫌いを確信を持って表明すること。
それと、日々無常の世界観はうっすらとつながっている。
無条件に世界を賛美などしないが、
美しいものを拾い集めていくことは十分にできる。
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新たな視点から小津安二郎作品を分析、評した一冊。黒澤作品とは違った意味での「男の映画」という指摘は興味深い。
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小津監督に関して書かれた本は実に多いが、中野翠さん評を
聴きたくて一読。タイトルの「小津ごのみ」ってつけかたがウマイ。
そして小津ごのみは中野ごのみでもあるらしい。
着物の柄や民藝調度品、器に関してたっぷりと書いてある。
私は中野さんの「小津映画に出てくる女性感」を最も興味深く
読んでみたが、やや物足りなかった。着物や民藝ほど熱心に、
深くは掘り下げていないようで。そんなに関心ないことだったのかな。
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中野翠さんが好きなもの「だけ」について語った本だからつまらないはずがない。「斎藤祐樹くんと日本人」は勇み足だったけど。
時事ネタを斬りまくるサンデー毎日の連載も好きですけどね。