電子書籍
どれが真実なのか分からない不気味さ
2018/02/26 06:20
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投稿者:美佳子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者はエルンストのバイオリン変奏曲を念頭に置いているため、章も「主題」、「第一変奏」、「第二変奏」...と名付けられ、山奥のホテルを貸切って沢渡三姉妹が催す毎年恒例の豪華パーティーで起こった出来事が複数の人の視点で描かれており、視点が異なるばかりでなく、語られる出来事も微妙に食い違っています。不穏な雰囲気のなか、関係者の変死事件が起きるのですが、変死する人物が毎回変わるので、どれが真実なのか分からない不気味さがあります。
そのメインの変奏曲に『去年マリエンバートで』という映画とその原作アラン・ロブ=グリエからの引用がDNAの二重らせん構造のように絡まり、独特の雰囲気を醸し出しています。これは記憶の改竄?デジャヴュ?思い込み?嘘?種明かしが最後にされているという点では「閉じている」お話ではあるのですが、何が本当に起こったのかはっきりしない点では閉じていないお話です。
紙の本
なかなか重たい作品
2021/08/16 14:16
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投稿者:ぶっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み終わっても合点がいかないというか、ストンと入ってこない作品でした。
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これを読んでから、以後、恩田陸の本を読むのをためらうようになった。
なんというか…話自体は読めるし面白いんだろうけれども…、うすっぺらな読者には良く分からない構造の話の作り方だった気がする。ラストも良く分からずじまいでした。(私には)
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贅沢なプロット。謎、あるいは謎、そして最終章の告白シーンへ。ひとつひとつの事件を一冊ずつの本格にしないのが恩田陸風です。
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祝文庫化。相変わらずお耽美。やっぱり映像引用部分は読み飛ばしてしまう。やっぱり愛憎は書ききって欲しいなぁ。全部書きかけな感じでプロット投げ出し感がしてしまう。
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内容は、
沢渡三姉妹が山奥のホテルで毎秋、開催する豪華なパーティ。
不穏な雰囲気のなか、関係者の変死事件が起きる。はたして犯人は──
そう、舞台は山奥のクラシックなホテル。
閉鎖された感じの館で起こる変死事件?!
わぁ〜いいじゃないかぁ〜!本格ぽくて。 素敵〜(笑)
と、こんな取っ掛かりだったのに
私、読後、しばし放心状態に陥りました。
本書の揺らいだ世界観、漂う濃密な雰囲気…
恩田女史の見事な筆致と相まって、心地よ〜く酔えました。
『麦の海に沈む果実』や『黄昏の百合の骨』、
三月シリーズを愛しているんです。
理瀬が好きで、好きで、大好きなんです。
『黒茶・・・』は宝ものですし(〃▽〃)
マイミクさんもそこのところを知った上で、
本書をオススメしてくれたのですよ。 よって期待大!!
前述の通り、放心状態になったわ。
ええ、期待通り(笑)。いや、期待以上の作品でした。
どっぷり、すっかり魅了され、
山頂のクラシカル・ホテルから、簡単には帰って来れなかったし、
桜子さんに感情移入してしまって、すぐには抜けられなかった(苦笑)。
本書は、第一変奏から第六変奏という
六つの変奏から構成されており、
六人のそれぞれ異なった視点で語られ、
都度変化する相関! まさに変奏。 上手いですね〜。
現実と幻想(いや妄想かな?)の間で、
錯乱させられながらも、大いに魅了されまくった(笑)。
また、三人称多視点という演出は、
グランドホテルという舞台をますます現実化してくれた。
その上、主要登場人物は六人+三人と、捕らえやすい人数(笑)
それぞれの繋がり方、人間関係、その関係性においても
効果絶大だった。
男女の距離感の描き方といったら、それはもうピカイチ。
本来ならドロドロするはずの関係性なのに、
何故なのか、サラッと乾燥していて、嫌悪感が生まれない。
恩田女史の筆致のなせる業、深〜く、感心させられました。
ラストの記憶の操作・・・ 身震いが起きました。
でも…何故ラストがあの人なのか? ちょっと腑に落ちない。
やはり、三姉妹の誰かにして欲しかったかも。
それじゃ、ダメだったのかしら、ね。 うむむ。。。
作中で物語と並行するように引用されている書籍があります。
『去年マリエンバートで/不滅の女』 (アラン・ロブ=グリエ著)。
映画 『去年マリエンバートで』 を元に書かれた作品らしいのですが
残念ながら映画そのものを見たことがありません。
『夏の名残りの薔薇』 が 映画 『去年マリエンバートで』 から
どのくらい影響を受けているのか、全く分らないのが残念です。
(本書内での引用箇所が多すぎて、途中何度もイラっとしましたww)
まぁ、機会があったらレンタルしてみようと思います。
と言っても(何とな〜くですが、フランス映画だからなのか…)
あまり、その映画に興味が持て���いので、悩んでいます(苦笑)。
その映画・・・面白いのかしら???
巻末に杉江松恋氏による
評論とインタビューが収録されています。
インタビューは恩田女史の人間性が表れていて、
もしかしたら…
本編より楽しめてしまう人がいるかもしれない、
って思ったほど、面白かったです(笑)。
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目世9うく見曲と雰囲気が似ています。恩田陸の小説は心理描写の細かさが一つの売りだと思います。・・・しかし私はこの小説に出てくる誰よりも、P.192あたりに出てくる老予言師がこの本の南下で一番気になりました。この人は作中で一番の絶望を、悲哀を背負っていると思うのです。
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とある映画から着想したというお話。
若干砂をかんだような読後感でしたが話自体は割と好きです。
恩田ワールド。
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読みながら、生きてる!?あれ?死んだ?って何回も思った。
おもしろく読めたけど全然理解できてないと思う。
もっと年を重ねたらもっかい読みたい。
読解力がついてるといいな。
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山奥のホテル、それも英国風のクラシカルなホテルで毎年秋に開催されるパーティが舞台。
それぞれ特徴のある三姉妹、美しい姉弟、三姉妹の甥、舞台女優、車のディーラー、学者・・・様々な人が集まるパーティは、華やかだけれども、漂う空気が穏やかではない。
主催の三姉妹は夕食の席で作り話を繰り広げ、姉弟は毎年このパーティで年に一度の逢瀬を楽しむ。
舞台女優は何かに怯え、学者はいつもロビーで本を読む。
そして、その年のパーティはいつもとは違う空気が漂っていた。
ホテルで見つかる変死体。
それは本当なのか幻なのか。
恩田陸特有の、各章ごとに視点が変わるスタイルで綴られる話は、穏やかでいて、冷たい雰囲気です。
読むごとに霧が深くなるような、霧が晴れていくような。続きが気になって気になって読みすすめてしまいました。
恩田陸の小説はいつもそうですが、全貌を見るには最後まで読むしかない。
こうなるんだろうな、という予想ができない小説です。
そして、映画では絶対に表現できない描写の美しさと、登場人物たちの表情。
この小説は、特に映画では表現できないなーと思いました。
それだけの、不思議な世界観がある。
推理のミステリじゃなくて、本当に不思議なミステリ。
たぶん、何度読んでも、新しい気持ちで読める。そんな小説。
この話が小説でよかった、と思わせてくれる小説です。
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沢渡一族とその関係者が集う山奥のグランドホテルでのパーティ。
一章毎に語り手が変わり、リレー形式でストーリィが受け継がれていく。しかし、各章の最後で起こった事件だけは何故か受け継がれていないという変わった構成に戸惑う。最後まで読むことでやっと一本の線に繋がる恩田マジック。
構成も登場人物たちの人間模様も複雑だけど、幾度となく挿入される長い引用文がそれを助長している。あの引用自体の役割は正直分からなかった。(4/16)
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登場人物それぞれの視点で描かれていくお話。
あれ??という不思議なカンジはラストで解明!なるほど!
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山奥で秋に開催されるパーティで次々と起こる殺人事件。しかし・・・。第二変奏に入ったとたんに混乱した。読み進めるうちに状況は読めてはきたけど、引用部分が最後ああいう結末に繋がるとは。ただ、引用部分は映像を見たことがなくイメージしづらかったので流し読みになってしまった。またしても、デジャビュがテーマ。
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ラストまでの展開が面白かった。あくまで私の好み云々の話ではあるが、本当この人の小説は頭の部分がなぁ、じれったい。スロースターターと言うか・・・ね。
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山奥の山荘で人が死ぬ。ベタな設定と思いきや推理作品ではありませんでした。
章ごとに視点が変わっていく書き方(さらに、それぞれの視点の中で死ぬ人物が異なっていること)はおもしろかったけど、何が実際に起こっているのかがわからず少し混乱。訳がわからなくなりつつも「どんな風に小説を終えるのかを知りたい」と最後まで読まされました。