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金沢のしっとりと湿った、海は冷たく、柔らかな雪の降る土地で、
美しいものの中に生きた人の匂いがする本。
同じ土地に生まれ育ったからか、
その美の表現にすごく共感を覚える。
泉鏡花の文章を、その空気を、町並みを、当時の人々を、
肌で感じられる気がする。
特に雛では、モノについて語っていても、
そのモノが存在する少し暗い日本の家屋だとか、
残っている町並みだとか、
住んでいる人の感じ方、考え方、しきたりだとか。
それが感じられて、急にふるさとが懐かしくなった。
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正直読み辛いのだが、歯切れ良くかつ絢爛たる文章に陶酔させられる。高野聖、天守物語、歌行灯といった鏡花を代表する短編が収録されているので、鏡花の入門編にお勧め。
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高野聖の再読。
白桃の花かと思います。
天守物語
ただの一度の恋だのに。
山吹
魔界かな、現実か。
いや、仕事がある。
状況が呑み込めず、それでいて心地よい。
しかしはっとするような台詞や場面が挟み込まれて驚嘆。
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「三尺角」・「湯島の境内」は、
それぞれスピンオフ・元ネタがあるので
たぶん、セットで読んだ方が数倍面白いんだろうと思います(単発でも面白いですが)。
テンポのいい文体と和物ファンタジーの掛け合わせは
唯一無二の鏡花ワールド。
戯曲はもちろん、普通の小説も
脳内映像化でド迫力のエンタメに。
これで天野喜孝の挿絵がついてたら、なおのこと良かったなぁ。
印象深いのは、「天守物語」と「歌行燈」。
天守物語は、歌舞伎で見て読みたくなったもの。
富姫と図書之助はハッピーエンド版ロミジュリ関係で
「あぁもう、なんだこれは!///けしからん、もっとやれ!!///」
と言いたくなるラスト。純愛です。
歌行燈は、全く異なるいくつかのエピソードが最後に向かって繋がっていくという
「百舌1」と同じ手法。
でももう、小説の枠を越えて、
これは完全に舞台の世界。
最後の行を読み終えた時に、
カーテンの下がる光景と割れるような拍手の音さえ聞こえてくるような
完璧に勝る完璧なシメです。
言葉が古く(というか、現代では馴染みのなくなった物、場所、身分などがたくさん出てくる&漢字難しい)、
また、古典のように「誰が」「どうした」かがわかりづらいところもあり
近代文学だしーなんて思って読もうとすると
読み始めは痛い目見ます(笑)。ご注意を。
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読むのになかなか苦戦した。
もっと余裕があるとき、暇を持て余していているとき、しばらく文章を読んでなくてなんでもいいから読んでみたいとき、そういうときではないと、この作者の作品は入ってこないようだ。
ようするに贅沢品なので、気持ちがガツガツしているときではだめだということかな。
解説が紀田順一郎なのが懐かしい。
とっくに亡くなられたかとおもったら、まだご存命だったのですね。
失礼しました。
知っている人は知っているだろうけれども、猛烈な読書家で愛書家です。
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鏡花二冊目。読んだ中では、三尺角、山吹、歌行燈、湯島の境内あたりが好み。特に歌行燈の「背(せな)を貸せ、宗山」の景色はぶわっと広がった..一面の能舞台が見えた気がした..まさに絶品。
山吹、三島由紀夫好きだろうなあ笑(私も好きだから他人のこと言えないけれど)
湯島の境内もお蔦が可愛いこと...「切れるの、別れるのッて、そんな事は、芸者の時に云うものよ。...私にゃ死ねと云って下さい。蔦には枯れろ、とおっしゃいましな」後ろに流れる清元と相まってサイコー
収録作品
雛がたり
国貞えがく
三尺角
高野聖
山吹
天主物語
縁結び
歌行燈
湯島の境内
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むっちゃ古典やん難しかった
「歌行燈」は分かったような分からんような...
「高野聖」は分かりやすかったし面白かった