紙の本
「アフォーダンス」という20世紀後半に出された革命的な理論を分かり易く解説した入門書です!
2020/03/12 13:13
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、20世紀後半にアメリカの知覚心理学者ジェームス・ギブソンが提唱した驚くべき理論である「アフォーダンス」について、誰にでも分かるように、簡潔にかつ丁寧に解説した入門書です。著者によれば、アフォーダンスとは「与える・提供する」という意味を指す「afford」から作られた用語で、動物(有機体)に対する刺激という従来の知覚心理学の概念とは異なって、環境に実在する動物がその生活する環境を探索することによって獲得することができる意味あるいは価値であると定義されるものであると説明されています。実は、この理論は、これまでの常識を覆す革命的理論なのです。一体、どこがそうなのでしょうか。同書では、そのあたりを非常に明快に説いてくれます。
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宮沢章夫氏の日記で知ったアフォーダンスだったが、いい気になって小難しい本を買って読んだら全く理解ができなかった。サブナードの福武書店で偶然見かけたので本書を手に取って読んでみることにした。
アフォーダンスを一言でまとめるなら「環境が与えるもの」ということで構わないのだろうが、その言葉の意味するところの模糊とした感じは何だろう。顔は判っているのに名前の思い出せない役者。十年前に転居した時の電話番号。マンションが建つ前にそこにあった筈の建物。そんな不確かさでアフォーダンスが存在している。
確かに存在した筈の過去と違いアフォーダンスはそこかしこにあり続ける。作者が語るようにアフォーダンスを言葉で表現するのは難しい。
机に腰を下ろした途端に机は我々に座ることをアフォードするのだ。やはりよく判らない。
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よく聞きはするアフォーダンスという言葉。これまでに自分が理解した内容を自分なりに表現すると、
意思を持ってモノを見るときに立ち現れる意味。
となる。
でもそれだけでは不十分な気がする。
モノ(の形)から連想される意味に触発されて意思が生まれること。
というのもアフォーダンスに含まれるのではないだろうか。
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2009.06 アフォーダンスに興味を持ち、まずは入門書ということで読んでみた。アフォーダンスの考え方がざっくりつかめたが、やっぱり難しい。
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ものすごく読みやすい。といってさくっと分かる概念でもないのだが。アフォーダンスとリソースと認知、それと足場がけをこれから考えてみるかな〜。まずは「あそび」が大切、と思った。
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環境とは単なる容れ物にあらず。生物の行動を様々にアシストし、生物は自己と外界の境界に己の取りうる次の一手を模索していく、そんな双方向コミュニケーションを提供する場、それが環境であり、そうして環境が生物の行動に提供する意味群をアフォーダンスという。僕らが普段取る行動は自律的なものではなく、不断に環境に促されていると考えてみるとき、知性は個体に内在するものではなく、個体と環境との協働から生まれるものということができる。ということは、僕らを包むこの世界それ自体が、僕らを含む一つの巨大な群体と捉えられる……ってこと?
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最初延々とサンゴの話が続いて心配になった。その後も更にミミズの話が長々つづくけど、読み終わればちゃんとアハ感がある面白い本。
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岩波のブックレットの方も、直球勝負でインパクトがあったが、この本は別の意味で、インパクトがあった。それはダーウィンの生物をありのままに観察する、その虚心坦懐さである。ダーウィンとギブソンが重なるとは!!!である。
以下、気になった記述。
・行為は何もない「空間」ではなく、アフォーダンスの充満しているところ、すなわち「環境」でおこなわれている。
・(ベルンシュタインの「協調」をうけて、)1980年代以降の運動研究のモデルは「指令からシステムへ」という方向へと大きくシフトしつつある。
・ダーウィンが見たかったことは二つのこと。一つは植物にも動物にもあるはじまりの「ありのままの運動」、そしてそれがその後にたどらざるをえない変化の運命。
・ギゼリンの「ブルート・ファクツ」
・なぜ行為の発達を見るときにブルート・ファクツからはじめなければなないのか。その理由の一つは、はじまり(オリジナル)の動きから観察を開始しないと、結果から動きに起こっていることを説明してしまうという誤りを犯す可能性があるからだ。(悪い例:ピアジェの赤ちゃんのリーチング)
・ダーウィンのメッセージ:ぼくらが行為(生き物)に観察できることは「はじまり」と「まわり」と「始まりからの変化」しかない。
・知覚情報には自分以外の「外部」についての情報と、自分の身体についての情報という、二つのことが、切り離せないかたちで存在している。
・身体は環境と多重に接触している。
・世界には知覚システムをこえた複雑な情報がある。
・(解説)ブルート・ファクツから見ると、SSTがなぜ失敗するかの考察が面白い。
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アメリカの心理学者ジェームス•ギブソンが造った造語、アフォーダンス。『環境が動物に提供するもの』をダーウィンの研究等を紹介しながら平易な言葉で紹介した本。人間を含む全ての生き物のまだまだ知らなかった一面に面白さを感じた!
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皆さんが仰っておられた通り、ミミズの件は面白かったが、アフォーダンスについてはもう少し他の本も読んでみたい気持ちにさせてくれた。
第1章 さんご礁の心理学
第2章 生きものはこのようにはふるまわない
第3章 「まわり」に潜んでいる意味―アフォーダンス
第4章 知覚する全身のネットワーク
第5章 運動のオリジナル
第6章 多数からの創造
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デザインとかに興味を持ち始めてから、
ずっと気になっていた「アフォーダンス」についての入門ということで読んだ。
今は、
「モノなどから、人間が見出す価値」という意味で使われている(と思う)が、
本来は、
「環境に実在する動物(有機体)がその生活する環境を探索することによって獲得することができる意味/価値」
という意味なので、
生物の本の感じがし、高校以来生物にトンと疎かったので、しんどかった。
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アフォーダンスとは、「環境が動物に提供するもの、用意したり備えたりするもの」であり、わたしたちの行為を導くリソースである──ちょっとわかりづらいこの理論を、ダーウィンが明らかにした動植物の生態などの実例を交えながら説明した入門書。
アフォーダンス云々以上に、ミミズの生態の話─一年間に1エーカー当たり1000トンの土をかきまぜている!─とかの話に心を奪われてしまいましたが、あたらしいものの見方を提供してくれるいいきっかけの一冊だと思います。
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【レビュー】読了してもどうもスッキリしなかった。ダーウィンの研究結果を起点にして「アフォーダンス」の概念が説明されていく。その規定概念については理解できた。ただ、そのような概念を規定することで、規定しない場合と比べて具体的にどのようなことが成し遂げられるようになったのか、その点について詳しく述べられていなかったために、最後煙に巻かれたように感じてしまったのかもしれない。
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アフォーダンス理論は思っていたよりもすんなりと理解できたが奥深くて興味を持ってよめた。具体例、とくにダーウィンのサンゴ礁、ミミズの研究についてが面白かった。
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日常の視点が変わる目からウロコ本。
アフォーダンスとはafford:与える、提供するの名詞系。例えば、なぜ人間が立っているか。それは地面には人間を立たせるというアフォーダンスがあるから。また、なぜ人間が歩けるか。それは地面には人間を歩かせるアフォーダンスがあるから。という感じか。要するに、生物の行為は意思や本能や反射で生じるのではなく、常に環境との相互作用で発生し続けるということ。
本書は、このアフォーダンスについて生物学や心理学といった分野の実験から紹介していく。
専門が環境で、研究がシステムだったのでとっつきやすい考え方だった。だけどまだ思考の道具としては使えないのでいろいろ考える必要があるようだ。いろいろ応用ができそうな考え方なのでものにしておきたい。
例えばどんな応用ができるだろう。人と人のやり取りで考えると、相手の行動が相手の意思に起因するのではなく、自分の意見や社会情勢の持つアフォーダンスと複雑に絡まりながら為されるとすることができる。そう考えれば、相手の行動が決まりきったものではないことが分かる。
アフォーダンスの考えを利用すると、環境問題とはアフォーダンスが変化したり、それ自体を持てなくなる状態になってしまうことでシステムに影響を及ぼすことになるのかな。こうすると、環境問題の解決策は、1.アフォーダンスが正しく提供できるようにすること、2.他のもので代替する、3.変わったアフォーダンスに適応する、というとこ。うん、それっぽい。しかしシステム的に捉えるのと