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いよいよ“三崎ワールド”といった趣が際だってきた。身近に、普通に存在するモノへ投影されたストリーがどこかトキッとさせるような、あるいはゾッとさせるような、はたまた、グッタリさせるような……。でもまたそれが同時に読者を「三崎ワールド依存症」にさせてしまうようでもある。
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日常に非現実的な要素を入れるのが上手いですね!
今回はちょっと切ないような、悲しいような話が多かったですが面白かったです。
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9つの短編集。
『となり町戦争』でなんだ、これは?といぶかり、『失われた町』で少し世界観になれ、そして今回の作品。
今まで読んだ作品と同様、不思議な、妙に心に沁みいる作品だった。
一番心に残ったのは『彼女の痕跡展』。
ある日突然心を支配する、圧倒的な喪失感。
漠然とした、でも確実な喪失感を胸に抱く私がふと気付くギャラリー。
そのギャラリーを訪れた私が見たものは?
ありえないはずの出来事なのに、もしかしてこれは現実なのかととまどってしまう。
同じことは形を変えて実は私達の生活の中でも起こっているのではないか?
気付かないだけで、この瞬間に体験しているのではないか?
そんな不安を感じ取ってしまう。
同じ感覚を『校庭』でも感じた。
この話は読んでいる最中、ずっと私を落ち着かない気持ちにさせ、最後の最後にぞっとさせた。
この話も、フィクションのはずなのに、どこか現実の出来事のような錯覚を覚えさせられる。
『遠距離・恋愛』と『同じ夜空を見上げて』は『失われた町』を思い出した。
物理的な距離と心理的な距離。
届きそうで届かないもどかしい気持ち。
うまく説明できないけど、この手の話は結構好きだなぁと思う。
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「となり町戦争」以来ずっと注目している作家ですが、相変わらずけったいなことを思いつく人です。宇宙から到来する鼓笛隊とか、リアル象の滑り台とか、押しボタンのある女とか。けったいなんですけど、けったいな中にも何か考えさせられたりほっとさせられたりする、そのギャップが大きな魅力なのかもしれません。
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うわー。。。
やはりすごいです、本当。どこからこんな発想が浮かぶのかなぁ。
今回は『バスジャック』のときとは違い、これが一番!とすぐ思い浮かぶのはなかったのですが、全体として作り出される雰囲気はさすがです。
とっぴなのにすんなり入り込めました。
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SFタッチの短編集。恐怖を感じるものもあれば、恋愛小説もありで三崎さんの魅力を充分楽しめる作品です。
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となり町戦争以来の新作。
短編小説集となっています。
個人的には題名の「鼓笛隊の襲来」
「象さんすべり台のある街」「遠距離・恋愛」
「突起型選択装置(ボタン)」がおすすめ。
「校庭」は少し寒気がしたようにミステリーでホラーで恐かった。
短編なのでとても読みやすいです。
三崎亜紀氏の作り出す不思議な世界が広がっています。
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やっぱり三崎さんは短編が面白い。
『バスジャック』同様、日常の中にちょっとした「異変」を加える作風は星新一のショートショートを読んでいるようで小気味良いです。
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戦後最大規模の鼓笛隊が襲い来る夜を、義母とすごすことになった園子の一家。避難もせず、防音スタジオも持たないが、果たして無事にのりきることができるのか―(「鼓笛隊の襲来」)。眩いほどに不安定で鮮やかな世界をみせつける、三崎マジック全9編。『となり町戦争』の著者、1年4ヶ月ぶり待望の新刊。
日常のなんてことないヒトコマに潜む不思議・・・この著者の書くものはそういう話が多いですが、それが謎のままというパターンが多くて、私はやきもきしてしまいます。しかもたいていちょっと怖い系・・・今回もそうでした。ボタンの話とか、それ押すとどうなっちゃうの〜〜!?と思いましたが、結局謎は解かれずでした。でも「遠距離・恋愛」はHAPPY END(?)でよかったです。明るめな話だったし。
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シュールな短編集。
日常のなかに潜む不安を描く作家。
『鼓笛隊の襲来』と『覆面社員』が良かった。
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三崎亜記お得意の奇抜な設定が存分に堪能できる短編小説集。彼の作品を読むと、自分が今いるこの世界とは別に、常識が通用しない歪んだ世界が実在するのではないかと思ってしまう。書き出しの一文に、がしっと掴まれる。「本は三行読めば面白いかどうかわかる」という人は結構いるけれども、これはまさにそうだと思います。図書館で借りたのだけれども、手元に置いておきたいくらい面白い。濃密。
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一風変わった設定、それを受け入れる人々。奇抜なようでいて、「ちょっとありえるかも」。
知らないこと見たことないものは興味深い。「ちょっとありえるかも」は、ぐっと近づいて、わくわくしたりときめいたり、ときどき怖い。
そういうさじ加減の上手な作家さんだと思います。
言いたいことを、現実の綻びに押し込んで、ちくちく繕ってみた感じ。
ただ、短編集だからか、私はややおなかいっぱい。
もちろん、短編だからこそ映える物語ばかりで、それはそれでよかったんですが、
同じこと(テーマ?)を、手をかえ品をかえ…ってやってる印象。せっかく奇想天外な設定のはずなのに、おもしろみが薄まってしまったように感じました。
たまたま読んてたファッション雑誌とかに、この中の一遍がさりげなく掲載されていたのなら、私的には最高だったな。
「小説読むぞー」っていう気分じゃないときに出会ってみたい。そのページを切り取って、飴を口の中で転がして遊ぶように、読みたい。
どれも面白かったけど、「鼓笛隊の襲来」「突起型選択装置」「欠陥住宅」「同じ夜空を見上げて」がお気に入り。おしつけがましくなく書くのって、結構難しいと思う。
「見ているのに、見えていないものって、案外たくさんあるのかもしれないね」
人間には聞こえない音、判別できない色、そういう、この世界に在るのに「ないと思い込んでいるだけ」のもの。
普通って何だ?日常生活とか、あたりまえとか、そういう言葉に傲慢になり過ぎないように。
★
赤道上に、戦後最大規模の鼓笛隊が発生した。
鼓笛隊は、通常であれば偏西風の影響で東へと向きを変え、次第に勢力を弱めながらマーチングバンドへと転じるはずであった。だが今回は、当初の予想を超えて迷走を続け、徐々に勢力を拡大しながら、この国へと進路を定めた。
これがこの世界の秩序だ。
これから私の前に積み上げられてゆく秩序だった日々の積層を思う。私は、この世界の秩序の上を、踏み外すことなく一歩一歩だどっていく。それは惰性であり、諦観であり、安穏であり、ある種の「幸せ」であるのかもしれない。そしてそれらすべてを包含しての「日常」なのだ。
列車の光は、あまりにもあっけなく通り過ぎてしまい、私も、そして他の乗客たちも、何もつかむことができぬまま見送るしかなかった。
それは、決して手を伸ばすことのできない、幻の光だった。まるでありふれた日常というものが、ある日突然に、いともあっけなく消え去るのだということを思い知らせるように。
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読み終えたあとのなんともいえない不思議な感覚。それを味わえる短編集です。ファンタジーといっていいのか何といっていいのか。
よくこんな話を思いつくなーと感心してしまいます。もしかしたらこんなこと起ってるんじゃないか・・・と思わせてくれる現実と虚構が入り混じった感じが面白かったです。
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短編集〜鼓笛隊の襲来:ワクワクさせるモノが子供心に引き戻す・・・年寄りはとっくに戻っている。彼女の痕跡:妙な展覧会で展示されているモノは私の思い出の数々。覆面社員:労働者の権利だった覆面は一般国民にも拡大されていく。象さんすべり台のある街:郊外の寂しい住宅街の公園に懐かしい象のすべり台がやってきたが,娘はざらざらする皮に怖じ気を震う。突起型選択装置:彼女のうなじにはボタンがあり,昔はよく見掛けた女性たちなのだが,ボタンを押して選択する祐樹が出ない。「欠陥」住宅:学生時代の友人は家の中で迷子になってしまったが,そもそも人は独自の世界を持っているのかも知れない。遠距離・恋愛:1000mしか離れていないが,それは地上から離脱して周辺市町村を飛び回る遠くとなった町の高度のこと。校庭:子どもが同じ小学校に通う様になって気がついたのは校庭に建つ家と誰もが気がつかない家族。同じ夜空を見上げて:列車事故で死んだ人々が夜空を見上げる〜一発目で鼓笛隊を出してしまうと,あとは驚かない・・・というか,同じ視点で語るペースに楽に入っていける
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図書館にて。
この人の作品はどれも大好きだけれど、これも良かった。
ありえない話の中にちりばめられる現実の不条理。
好きですねえ。