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雑誌「entaxi」で連載されていた「談春のセイシュン」という連載が大好きだった僕。
これはその寄稿を一部含む、大変に面白い本です。
特殊な落語の世界のハナシで、天下の立川談志に師事し、前座から二ツ目、真打になるまでの
ユニークなエピソードの数々が綴られています。
落語家なんて特殊な世界の出来事な筈が、じつは誰でも共感する普遍的な感慨を呼ぶところにポイントがある。
それは結局はヒト対ヒトの繋がりや巻き起こるものが築きあげるドラマなのであって、身ひとつの伝統芸ならば、それが強調され引き立つのかも知れません。
まして立川談志の下で過ごした青春日記。読了まではあっと言う間のオモシロさです。
特別篇の「誰も知らない小さんと談志」では、巡る人の環、談志の矜持やら、深い余韻と味わいが有る。
何だかんだあっても、人っていいなあ。
個人的にはentaxi誌の連載時ツボにはまった強烈エピソード「骨壷女」が未収録だったのが惜しい。
(きっと家元が亡くなった際などに、何らかの回顧録として出るのだろうか)
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とても読みやすい本だった。
真打ちになるとき小さん師匠をかつぎだしたときのエピソードがドラマチックだった。
談春について聞かれた談志が「俺よりうまいんじゃないの」と言っているのをテレビで見た。
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文庫になったらか、友達に借りてか、いつか読むつもりでいた。
時間つぶしに立ち読みしたら止まらなくなり購入、むさぼるように読む。泣く。
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談志とのやりとりや落語会のしきたりなどが垣間見れる件は興味深く読めた。
後半は焦って書いた?と思うような端折った感がある。
文章が好きなタッチでないので読みにくかった。
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落語会の反逆のカリスマ、立川談志の弟子、談春が17歳のときに弟子入りしてから真打になるまでのいろいろを綴った本です。誰にもおもねらず正直にまっすぐに書かれていて読んでいてとてもすがすがしかったです。
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■P12
「落語はね、この逃げちゃった奴等が主人公なんだ。人間は寝ちゃいけない状況でも、眠きゃ寝る。酒を飲んじゃいけないと、わかっていてもつい飲んじゃう。夏休みの宿題は計画的にやった方があとで楽だとわかっていても、そうはいかない。八月末になって家族中が慌てだす。それを認めてやるのが落語だ。(中略)
『落語とは人間の業の肯定である』。よく覚えておきな。教師なんてほとんど馬鹿なんだから、こんなことは教えねェだろう。嫌なことがあったら、たまには落語を聴きに来いや。あんまり聴きすぎると無気力な大人になっちまうからそれも気をつけな」
■P65
「これはオレ(談志)の趣味だがお辞儀は丁寧にしろよ。きちんと頭を下げろ。次に扇子だが、座布団の前に平行に置け。結界と云ってな、扇子より座布団側が芸人、演者の世界、向こう側が観客の世界だ。観客が演者の世界に入ってくることは決して許さないんだ。たとえ前座だってお前はプロだ。観客に勉強させてもらうわけではない。あくまで与える側なんだ。そのくらいのプライドは持て。お辞儀が終わったら、しっかり正面を見据えろ。焦っていきなり話しだすことはない。堂々と見ろ。それができない奴を正面が切れないと云うんだ。正面が切れない芸人にはなるな。客席の最後列の真ん中の上、天井の辺りに目線を置け。キョロキョロする必要はない。マクラの間に左、右と見てゆくにはキャリアが必要なんだ、お前はまだその必要はない。加減がわからないのなら怒鳴れ。怒鳴ってもメロディが崩れないように話せれば立派なもんだ。そうなるまで稽古をしろ。」
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立川談志門下の談春の入門から真打になるまでの青春期。高校中退するところからタダ者じゃないけど、修行中もすごい。前座と二つ目の違いもしらなかったんだけど、客の前でお金を取る芸をすることの真剣味を教えられた。立川談志といえば、風変わりな落語家としか思っていなかったけど、人間味と芸に対する考え方がすごく真っ当で驚いた。談志の落語を聞きたくなった。
笑って泣ける青春といえるかどか分からないけど、成長期の人間を描いた一流の本。
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ふらっと立ち寄った書店で衝動買い。
臨場感あふれる文体は、まるで「百年目」や「芝浜」などの落語を聞くようで、希望にあふれているわけではないが清清しい。
久しぶりにいい文体の本を読んだ、そんな感じがする。
体にきっと、このリズムとメロディが染み付いている人なんだろうなあ。
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談志に弟子入りした談春の青春記。文章も読みやすく、一気に読了。破天荒なイメージしかなかった談志の理知的な部分、落語や弟子への愛情の深さも垣間見える。オススメ。
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図書館で予約して数カ月、やっと読むことができた。噺家、それも立川流という全く想像もつかない世界の話だけに思っていた以上に面白い。ルビのふり方がいい。これが更に読みやすいものにしていると思う。師匠と弟子、兄弟子と弟弟子、それぞれの想いが温かくていいな。最後の小さん師匠と談志師匠の話で思わず涙。やられた。
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落語はね、この逃げちゃった奴等が主人公なんだ。人間は寝ちゃいけない状況でも、眠きゃ寝る。酒を飲んじゃいけないと、わかっていてもつい飲んじゃう。夏休みの宿題は計画的にやった方があとで楽だとわかっていても、もうはいかない。八月末になって家族中が慌てだす。それを認めてやるのが落語だ。…『落語とは人間の業の肯定である』。よく覚えときな。教師なんてほとんど馬鹿なんだから、こんなことは教えねェだろう。嫌なことがあったら、たまには落語を聴きに来いや。あんまり聴きすぎると無気力な大人になっちまうからそれも気をつけな。
何しろ談志の落語も著者の談春の落語も知らないで読んだものだから(志の輔は聞いたことあるけど)、いくら子弟愛を語られ、「俺たちってこんなに面白いの」と自慢されても、ああそうですか、という感じ。図書館で談春のCDを検索したら、みな考えることは同じようで、かなりの予約数。
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正直「立川談春」と言う人を知りません。「立川談志」なら知ってるけど。落語も全く知りません。笑点なら知ってるけど。レベルの人でも読み始めたら絶対ハマるんじゃないかと思う1冊だと思います。
師匠「立川談志」の神ぶりが、グォーと胸にせまってきます。
伝説だらけのエピソード満載! 立川流で落語家になれる力があればこの世の中の恐れるものはないんじゃないかな〜と思っちゃう。
落語家でこれだけの筆力はすごい! 笑いと泣きが絶妙に交じり合って、なおかつしっかり心に残ります。
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もっぱら上方専門で東京の落語は聞いたことないのですが、面白かったです。
ちょっと興味が沸いてきた…
『お前に嫉妬とは何かを教えてやる』
『己が努力、行動を起こさずに対象となる人間の弱味を口であげつらって、自分のレベルまで下げる行為、これを嫉妬と云うんです』
もちろん言ったのは立川談志。
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立川談春のエッセイ。
めざましテレビでこの本が紹介されていて、そのインタビューでの立川談春の語りが心地よくて購入。すごく文章のリズムがいい。でも、自分で声に出して読んでみるとなんだか面白さが半減。談春に高座でやってもらいたい。
登場する人々は一癖もふた癖もあって、はちゃめちゃだ。いつも泣いたり、怒鳴ったりと忙しい。それが不快でないのは、お互いの気持ちや筋の通し方を知っていて、相手を許し、受け入れているからだろう。妥協した人間関係ではなく、許容していく関係が描かれている。大人の世界。
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すんごい本。
立川談春が描く、天才師匠立川談志。
「修行とは、矛盾に耐えることである」
深すぎる名言。
自分がいかにまだまだか痛感する。
個人的には、落語を聴くようになり、笑点のすごさを理解するようになった。
新しい価値観をくれた一冊。