紙の本
『のぼうの城』が大ブレークし、出版社から第二作を急かされたために、ついつい詰の甘い作品になってしまったというところか。
2008/09/07 23:54
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
僕が小学生のころは「忍び」とか「忍びの者」はいなかった。「忍術つかい」がいた。僕はこの忍術系が漫画、小説、ラジオ、映画、なんでも大好きだった。巻物を口にくわえ、印を結んで呪文を唱えると、ドロンドロン(なぜかこんな言い回しになっていた)、姿が消えあるいは蝦蟇や蛇に姿を変える。この型を子供心に植えつけた杉浦茂という漫画家はギャグ漫画の天才だったのではなかろうか。赤塚不二夫も真っ青!今でも記憶の片隅にある。まんまる顔の「少年児雷也」とか「真田十勇士」の猿飛佐助や霧隠れ才蔵がかわいらしかった。
そのころは忍術も仙術も幻術も妖術も区別なくて、これら今で言う超能力者モノはメチャメチャに面白かった。ラジオ番組に新諸国物語という長寿番組があって『笛吹き童子』とか『紅孔雀』など映画になったのを見るのも楽しかった。カバヤというキャラメルがあってその景品のカバヤ文庫、ここで手に入れた講談本にも忍術があった。講談社の少年少女向けの文学全集にあった西遊記や里見八犬伝も本がボロボロになるくらい友達同士でまわし読みをした。
高校生のころだろうか、エロティシズムに溢れた時代小説、五味康祐『柳生武芸帳』、柴田錬三郎『赤い影法師』『眠狂四郎』でも忍者が暗躍していたことは忘れられない。そして村山知義の『忍びの者』が「アカハタ日曜版」に連載され始めた。えっ石川五右衛門って忍びの者だったんだ!とこの意外性にうれしくなった。これを山本薩夫が市川雷蔵を主役に映画化し、小説よりも映画が大ヒット。時代背景、職業としての戦闘集団、厳しい掟と人間の誇りなどあらたな感覚が生んだ忍者あるいは忍びの者の登場である。忍術は科学的合理的に解説されるようになった。この延長線上になるのだろうか大学生になると白土三平の『カムイ伝』『忍者武芸帳』に夢中になった。そして忍者・忍びは今の時代劇には欠かせない脇役になっている。
一方別の流れではあるが、山田風太郎が想像を絶するエロス忍法を編み出している。この忍法帖ブームにも僕は取り込まれこのシリーズはすべて読んだ。最近では荒山徹の朝鮮忍法がヒットした。これは孫悟空と忍術使いと忍びと風太郎流が入り混じりSF的発想も加わったゲテモノになりつつある。
『忍びの国』、思い入れのある「忍び」とタイトルにあれば、それだけで手にとってみたくなった。
「『のぼうの城』の超大型新人が放つ第一級の歴史エンターテインメント」
「史実に基づく壮大なドラマ、われらの時代の歴史小説」
時代背景は織田信雄、織田信長と伊賀衆の争い「天正伊賀の乱」であり、登場人物に百地三太夫や石川五右衛門が加わるのだから村山知義『忍びの者』と比較して作品の出来不出来を検証してみたくなる。ところが比較するもしないもあまりにも軽口の現代風コミック。テンポよく流れているからなるほど「われらが時代の歴史小説」であるか。「伊賀一の忍び、無門は西国からさらってきた侍大将の娘、お国の尻に敷かれ………」稼いでこなければ同衾もできなければ家にも入れてもらえないという恐妻家で、この夫婦のからみの今日性?をドタバタ関西お笑い風にどぎつく描くのだが、あまりにも陳腐ではないか。
百地三太夫の『忍びの者』で見せた「謀略」はさすが忍者の頭、読者をアッと驚かす意外性となるほどと思わせる合理性があった。「織田家と味方を術にかけ、わが伊賀国を攻めさせよ。謀略、合戦………」とこの作品の百地三太夫もはかりごとをめぐらすのだがただの思いつき程度に過ぎないことが読者に露呈してしまう。
参考文献に書いてある「史実」から多くを引用しているといって それがとってつけたようでは、歴史小説と名のることはおこがましいのではないだろうか。
児玉清が「奇想天外さとリアリティの羽交い絞めに窒息しそう。久々に狂気、大満足」しているようだから、僕の受け止め方が間違っているのかもしれないなぁ。
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和田さんの第二作目。今回は伊賀者がメインなのだけど、信雄がかわええぇ(*´д`*)。偉大な父を持った者の気持ちが分かるかー!って大泣きしながら家臣団に告った頬の豊かな美男(笑)な信雄も、終盤はちょっと逞しくというか肝が据わった男に成長した、って書くと信雄の成長物語みたいだね♪(≧▽≦)。文吾は美形ってイメージがどうしてももてなかっただよ。無双のイメージが強すぎて...すまん文吾。昔は紅顔の美少年だった、って思うことにしておこう。
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「王様のブランチ」で紹介されていたので
「のぼうの城」と共に予約したら、
こっちのが先に回ってきた。
初めて読む作家で、しかも時代物だから
文体に馴染むまでにちょっと時間がかかった。
面白かったけど、わりとフツーかな。
期待しすぎだったかも。
もうじき舞台を観に行く、
五右衛門が登場したのは嬉しかった。
【図書館・初読・6/18読了】
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児玉清さんの書かれた帯に惹かれて購入の一冊。忍者の話です。人物が非常に魅力的で、夢中で読んでしまいました。忍者ってこんなだったんだ、という発見もあり、感動する場面もあり、歴史もの好きな方にはオススメです。
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伊賀忍者、無門の物語。ルールがないのがルールといった感のある伊賀者がどう動くかが戦さの局面を変えていく。
主人公のキャラクターが魅力的だ。
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非常に面白い!! 史実に基づいた伊賀忍者物語。伊賀忍者の世界がこんなにも非情であり金権主義とは思って見なかったです。しかし 描写がうまくて ぐいぐいと話に引き込まれてゆきあっという間に終わりました。とにかく面白い!!!
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好みの問題だろうけど、なんとなくいまどきっぽい感覚がしなくもない。
信雄がよかったかなぁ、無門のラストがちょっと意外だったけど。
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『のぼうの城』に続き、和田竜作品2作目。新宿ジュンク堂にサイン本が売っていたので『のぼうの城』を読む前から積読本として手元にありました。キャラ的には無門よりのぼうさんだけど作品としては『忍びの国』のほうが面白かった。
前回同様やはり前半は名前とキャラの不一致に悩まされ続け、後半はスピード感とワクワク感にさくさく読むことが出来た。忍びの術を頭の中で具体的に想像するのが面白かった。忍びに心は不要だけれど無いはずがないね。
にしても前作引き続き参考文献の多さには圧倒されてしまう。文献だけで実際にここまで生きているように表現出来ていることも素晴らしいね。新作が出たらやっぱり買っちゃうのかな。
(2008.08.18)
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「のぼうの城」作者による伊賀忍者の話。「のぼう」より史実不明の部分が多いので作者も話を広げやすかったのではないでしょうか。人情が薄くなっている現代の風刺的要素が感じられます。読みすぎでしょうか?図書館予約数は64(08/08/23現在)です。
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面白かったねぇ。主人公が誰なのか終わりの方までわからなかったよ。前作ののぼうの城に負けず劣らず、というところか。
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忍者の国伊賀を攻め落とそうとする織田信雄軍と忍者達の攻防。
自分さえよければ他人のことなどどうでもよいという忍者達の考えが
戦局を左右する様と、無門と大膳、両雄の人間離れした能力が物語を面白くしている。
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「のぼうの城」を読んだので、続けて手にした本です。評判が高いとのことですが、のぼうの城を先に読んだためか、圧倒的な感動は少なかったです。でも、面白い作品になっています。
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人間離れした技ばかりが、忍びの術ではない。親兄弟すら欺き、ひたすら出し抜くこと。でなければ、生き残れぬ。戦国大名不在の国、伊賀国に織田軍一万余が攻め込んだ。「その腕、絶人の域」と言われる忍びの無門は想い女のお国を連れて敵前逃亡をはかるが……。
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このような紹介の時代小説でしたが、エンターティメント性は高く、その内容は前作同様に三国志的なイメージすら湧きます。ある程度史実で話が進んでいるのでしょうけど、その部分にスポットを当てて楽しませてくれる構成は、今後も楽しみです。でも、私は時代小説は苦手なんですよね(^^;
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主人公の無門は天才忍者ですが、金のためなら人を殺すことを何とも思わない伊賀忍者。伊賀の忍者VS織田軍という戦のお話です。史実に基づいているので、今まで知らなかった、歴史上の人物に出会う事が出来、楽しんで読むことができます。
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『忍び』ときけば・・「影の軍団」ファンだった私はハードカバーだろうが新人作家だろうが買います。
でも、作者はあの「のぼうの城」の作者・・・
ハズレなわけなかった!!
司馬遼太郎や山田風太郎を始めて読んだときのあの感動が再び・・・
史実に基づき、ともすれば重厚になりがちな題材の中でウィットに富んだ文章、、魅せられずにはいられない主人公の描き方や、ノンフィクションの中のフィクション部分のうまさとか・・・・。
最初脚本から入った人だけに、読んでる間中映像が浮かんできました。
映画化しないかな・・こんな作品の映画化をまってるんだけどな・・・・。
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今、話題の作品。友人の薦めもあって読書
・あらすじ
周囲を欺き、人の生き死にには感情を抱かない、それが親兄弟であっても。忍びの国・伊賀を舞台に、伊賀を狙う織田軍とそれを阻止しようとする忍びの達人・無門らの戦いを描く。
無門ら伊賀の忍びの技の数々、それに負けず劣らずの織田軍の強さ。この衝突がとても面白い。いや〜、忍者の技って本当にこんなに凄かったのかなぁ。漫画のようにキャラの個性も強くて、時代物なのにとてもサクサクと読めました。今までの歴史時代小説とは一味違う感じが面白い。
ただ、重厚感のある時代小説を求めている人は、すこし軽いんじゃないと感じるかも。